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I.エクランド「偶然とは何か」

2020-01-12 | 数学・科学
 先日買った本を読み終えた.I.エクランド著,南條郁子・訳『偶然とは何か』.

 ギャンブルの研究から数論,量子力学に至るいくつかの科学ジャンルと,それのみならず,北欧の王朝史および神話を背景にして,ランダムネスが持つ統計学的な性質がさまざまに語られる.その解説は個々のトピックに深入りすることを避けながらも,丁寧かつ平明で分かりやすく,実例や思考実験の豊富さにも事欠かない.また,このテーマに元来付きまとう「つかみにくさ」に対して,直視するいっぽうで畏怖の念をあらわにし,それでも何とかして意味付けしようという慎重な試みを行なっていることは,この手の入門書には珍しい特徴だ.なお,訳者が終始原書から一定の距離を取り,読み手のために十分にかみ砕いた文体を整えているのは有難い.


イーヴァル・エクランド 著,南條郁子 訳: 偶然とは何か ―北欧神話で読む現代数学理論 全6章―
創元社,2006,
ISBN978-4-422-40019-8

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