M.ザンデルリンク+ドレスデンフィル=ショスタコーヴィチ「交響曲全集」

　先日買ったCDを聴き終えた．M.ザンデルリンク指揮+ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団による，ショスタコーヴィチ・交響曲全集．

　どのナンバーも，譜面を正確かつていねいに描き分ける演奏で，ザンデルリンク率いるドレスデン・フィルは，持ち前の技術の高さと，強奏時にもうるさくならない品やかな音色が魅力．なお，テンポや強弱，フレージングの扱い方において，作曲者の指定からいくらか離れた自由な振舞いがところどころに聴かれるが，いずれも「そうすることに前から決めていました」というような，どこか窮屈さをまとったもので，ごく即興的な遊びとしては成功していない．その点，とかく軽やかに(悪く言えば能天気に)駆け抜けるイメージの強い「9番」では，ねっとりしたテヌートとルバートを利かせるのが意外で唯一面白かった．録音優秀．


SHOSTAKOVICH: THE FIFTEEN SYMPHONIES (11CD)
Dresdner Philharmonie，
Michael Sanderling (conductor)，
SONY CLASSICAL，19075872462