goo blog サービス終了のお知らせ 

ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

曽我大介+東京NC管=伊福部「シンフォニア・タプカーラ」他

2020-09-27 | 音楽 - 伊福部昭
 昼過ぎ,東京芸術劇場にて行なわれた,曽我大介指揮+東京ニューシティ管弦楽団による,定期演奏会を聴いた.めあてのタプカーラは,正確かつ前のめりのテンポの演奏で,フレージングや打楽器群のアクセントなど,細部への眼差しにも事欠かない充実の曲作り.ライヴに起因する瑕疵も少ない.ただし,緩徐部では長大な旋律に聴き入るあまり,進行がいくらかもたついたのは残念.

 プログラム全体としては,賑やかなナンバーが多いながらも,この夏の日本の祭や,ウクライナの人々,アイヌの歌と踊りといった,現代社会によって抑圧されてきたものへのオマージュに一貫しており,意味深い時間だった.


東京ニューシティ管弦楽団 第133回定期演奏会
【出演者】髙木凛々子 (ヴァイオリン),曽我大介 (指揮),東京ニューシティ管弦楽団
【日時】2020.9.27 14:00-
【場所】東京芸術劇場 コンサートホール
【曲目】
■曽我大介: 上溝のお囃子による幻想曲
■スタンコヴィチ: ヴァイオリン協奏曲第2番
■J.S.バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番より ガヴォット (ソロ・アンコール)
■伊福部昭: SF交響ファンタジー第1番
■ 〃 : シンフォニア・タプカーラ
■ 〃 : 同 第3楽章より (アンコール)

石丸寛+新星日響=伊福部「日本狂詩曲」他

2020-02-26 | 音楽 - 伊福部昭
 先日買ったCDを聴いた.石丸寛指揮+新星日本交響楽団による,伊福部昭「日本狂詩曲」ほか.

 終始やや速めのテンポで,正確かつ力強く駆け抜ける演奏.石丸率いる新星日響は,一流とは言いがたいものの,安定した技術とアンサンブルに一貫し,伊福部の巨大なオーケストレーションを,すっきりしたアクセントと強弱のコントラストのなかに聴かせる.ただし,「夜曲」に関しては,やたら軽やかな進行が楽想に馴染まず,もう少しじっくりとしたところがあると良かった.録音は鮮明であるが,ホールの残響やオーケストラ全体の雰囲気に少々乏しく,また,弦セクションのドライな音色も残念.

 本盤,ライヴレコーディングを謳いながらも,大方が直前のリハーサルから採用した音源であることを,ブックレットの解説文に何のためらいもなく暴露した,ディレクター氏のデリカシーの欠如に,思わずあんぐり.


おもしろオーケストラ VI: 日本の響
石丸寛 (指揮),新星日本交響楽団 ほか,
ビクター エンタテインメント,VICL-2148

広上淳一+札響=伊福部「日本狂詩曲」他

2020-02-22 | 音楽 - 伊福部昭
 昼すぎ,札幌コンサートホール Kitaraにて行なわれた,広上淳一指揮+札幌交響楽団の『ねこの日にラプソディー三昧』を聴いた.めあての伊福部は,やや遅めのテンポを採り,打楽器群始めオーケストラをじゅうぶんに鳴らした,溌剌の演奏.広上率いる札響は,曲の静かな場面で若干の流れの悪さが感じられたほかは,技術的にも安定した明るい音色のアンサンブルだった.

 それにしても,ラプソディばかりを並べたプログラムに接するに,土着の音楽を紹介することがこのジャンルなのではなく,それをどのように,何のために紹介するのかという部分にこそ,その真価はかかっているのだと実感する.なかでも,リストやエネスクほどの作曲家たちが,ラプソディの名のもと,品のない創作を行なったことに,改めて興ざめするのである.


札響名曲シリーズ ねこの日にラプソディー三昧
【演奏者】トーマス・エンコ (ピアノ),広上淳一 (指揮),札幌交響楽団
【日時】2020.2.22 14:00-
【場所】札幌コンサートホール Kitara
【曲目】
■アルヴェーン: スウェーデン狂詩曲第1番「夏至の徹夜祭」
■ガーシュウィン: ラプソディー・イン・ブルー
■トーマス・エンコ: ウォッチング・ユー・スリープ (ソロアンコール)
■伊福部昭: 日本狂詩曲
■リスト (ミュラー=ベルクハウス編): ハンガリー狂詩曲第2番
■エネスコ: ルーマニア狂詩曲第1番
■アンダーソン: ワルツィング・キャット (アンコール)

和田薫+東京フィル=伊福部「シンフォニア・タプカーラ」他

2019-12-09 | 音楽 - 伊福部昭
 先日買ったCDを聴いた.和田薫指揮+東京フィルハーモニー交響楽団による,伊福部昭「日本狂詩曲」「シンフォニア・タプカーラ」ほか.

 どのナンバーとも,極めて遅いテンポを採り,譜面をていねいに追った演奏.和田率いる東京フィルは,ライヴレコーディングに起因する平凡なミスや,アンサンブルの甘さこそ散発するものの,持ち前の技術の高さで,概ね安定かつ迫力あるサウンドを出している.ただし,然したる理由の感じられないスローテンポや,スコアリーディングの入念さを誇示しただけの,いちいちめいっぱいに行なうクレッシェンド・デクレッシェンド,リタルダンドなどのために音楽の流れはいっさい失われており,伊福部ほんらいの生き生きとした作風と,ひたすらなリズムオスティナートの魅力は台無しである.言ってみれば,まるでアマチュアグループか何かが,遅めに設定したメトロノームに合わせて稽古しているのを延々聴かされているような,つまらなさなのである.録音は各セクションを間近で捉えて鮮明であるいっぽうで,オーケストラ全体の雰囲気にはやや欠ける.また,終結音に伴うわざとらしい人工残響にも興醒め.


伊福部昭の芸術12: 壮 ― 生誕100周年記念・第4回 伊福部昭音楽祭ライヴ
和田薫 (指揮),
東京フィルハーモニー交響楽団,
KING RECORDS,KICC 1155

高良仁美=伊福部「ピアノ作品集」

2019-11-11 | 音楽 - 伊福部昭
 先日買ったCDを聴き終えた.高良仁美のピアノによる,伊福部昭・ピアノ作品集.

 高良の演奏は,どのナンバーも譜面を正確に追いながら,むやみにお祭り騒ぎの強奏に任せることなく,あくまで作曲者も願ったはずの古典的な舞曲集としての明るく丁寧な曲作り.ただし,緩徐楽章では,音の少ないシンプルな曲想につい欲が出たのか,アルペッジョの多用がワンパターンで耳に煩わしい.「日本狂詩曲」のトランスクプリションは,パーカッシヴなオーケストレーションをピアノソロに置き換える際の試行錯誤と新しいアイディアこそ聴かれるものの,トレモロやグリッサンドが頻出するなど,独立した器楽曲としては弱く,やはり編曲ものの域を出ない.録音は楽器を間近で捉えて鮮明.


伊福部昭: ピアノ作品集 (2CD)
高良仁美 (ピアノ),
Altus Music,ALT298/9