先日買った本を読んだ.小出裕章・著『100年後の人々へ』.
改めて福島の原発事故の被害の大きさを振り返る(といっても事故は今なお進行中である)とともに,戦後日本で脈々と続けられてきた原子力開発の,組織的な欺瞞・犯罪性を断じる.また,それは私たちの社会が抱える戦争の暴力や差別,貧困,国際問題などの数多くの暗部と,一繋がりのものであることが重ねて述べられる.大きな利権を取巻くコミュニティが暴走し,そのために人々を犠牲にしようというときに,科学者は,市民一人一人は,彼らにどう向き合いたたかうべきかについての,社会的あるいはヒューマニスティックな助言にも豊富である.ただし,全編は小出氏が口頭で述べたものから書き起こされたためか,平易な文体が親しみやすいいっぽうで,トピックによってはいくらか説明が足らなかったり,前後の脈絡が滑らかでないなど,一冊のまとまったレポートとしては弱点あり.
小出裕章: 100年後の人々へ
集英社,2014,
ISBN 978-08-720726-2
改めて福島の原発事故の被害の大きさを振り返る(といっても事故は今なお進行中である)とともに,戦後日本で脈々と続けられてきた原子力開発の,組織的な欺瞞・犯罪性を断じる.また,それは私たちの社会が抱える戦争の暴力や差別,貧困,国際問題などの数多くの暗部と,一繋がりのものであることが重ねて述べられる.大きな利権を取巻くコミュニティが暴走し,そのために人々を犠牲にしようというときに,科学者は,市民一人一人は,彼らにどう向き合いたたかうべきかについての,社会的あるいはヒューマニスティックな助言にも豊富である.ただし,全編は小出氏が口頭で述べたものから書き起こされたためか,平易な文体が親しみやすいいっぽうで,トピックによってはいくらか説明が足らなかったり,前後の脈絡が滑らかでないなど,一冊のまとまったレポートとしては弱点あり.
小出裕章: 100年後の人々へ
集英社,2014,
ISBN 978-08-720726-2