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ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

R.トレヴィーノ+マルメ響=ベートーヴェン「交響曲全集」

2020-08-15 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴き終えた.R.トレヴィーノ指揮+マルメ交響楽団による,ベートーヴェン・交響曲全集.

 どのナンバーも,やや遅めのテンポを採り,譜面を正確かつていねいに追った演奏.トレヴィーノ率いるマルメ響は,一流とは言いがたいものの,技術・アンサンブルともによく安定しており,随所で内声の動きに傾聴しているのは特色.明るくさっぱりした曲作りは清潔な印象をあたえるが,いっぽうでフレージングや表情の変化に乏しく,ライヴレコーディングならではの溌剌さをまったく感じさせないという難点も.とりわけ,無機的に刻まれるスタッカートは,いちいち音楽の流れを遮断するかのようで,つまらない.録音は鮮明で,各セクションをわりあい間近から捉えた率直なもの.使用楽譜はベーレンライター新版で,慣例に倣った若干の補筆あり.


BEETHOVEN The 9 Symphonies (5SACD-Hybrid)
Malmö Symphony Orchestra,
Robert Trevino (conductor),
Ondine,ODE 1348-5Q

久石譲+FOC=ベートーヴェン「交響曲全集」

2020-07-16 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴き終えた.久石譲指揮+フューチャー・オーケストラ・クラシックスによる,ベートーヴェン・交響曲全集.

 どのナンバーも,速めのテンポを採り,譜面を正確かつ率直に描き出した演奏.久石率いるオーケストラは,高い技術とアンサンブルに安定し,細部への丁寧さやほどよいアクセント,スムーズな音楽の横の流れを持ち併せた曲作り.ただし,小編成による迫力不足を補おうとしたのか,めいっぱいに付けられるヒステリックな強弱が,かえって全体に余裕のない硬直的な印象をあたえるのは残念.このなかでは,リズムを主体とする作風の第7・8番あたりは,彼らのシンプルな音色に馴染んで,わりに面白かった.録音は,各セクションを間近から捉えた鮮明なもの.使用スコアは,新ベーレンライター版.


ベートーヴェン: 交響曲全集 (5CD)
久石譲 (指揮),
フューチャー・オーケストラ・クラシックス,
Octavia Records,OVCL-00700

Y.リ=ベートーヴェン「悲愴・月光・熱情」

2020-06-26 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴いた.Y.リのピアノによる,ベートーヴェン・ソナタ「悲愴」「月光」&「熱情」.

 どのナンバーも,やや遅めのテンポを採り,正確かつじっくりと描きこんだ演奏で,フレージングやリズムの即興的な揺らぎ・不統一をも排さない柔らかな曲作り.ただし,何か所かで譜読みミスが聴かれるのは残念.録音は,楽器を間近から鮮明に捉えた良好なもの.


ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ《悲愴》《月光》《熱情》 (SHM-CD)
ユンディ・リ (ピアノ),
ユニバーサル ミュージック,UCCG-51084

F.ブリュッヘン+18世紀オケ=ベートーヴェン「交響曲全集」

2020-05-07 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴き終えた.F.ブリュッヘン指揮+18世紀オーケストラによる,ベートーヴェン・交響曲全集.

 どのナンバーも,やや遅めのテンポを採り,終始正確かつ念入りに描き込んだ演奏.ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラは,ライヴレコーディングに起因する若干のアンサンブルのラフさはあるが,高水準の技術に安定した明るい音色で聴かせる.何より,たっぷりした息遣いと,音楽の流れを作るものとしてのアクセントを併せ持った曲作りは,生き生きとしたベートーヴェン像を引き出している.ただし,第5・7番に関しては,トゥッティでの強奏をむやみに抑えており,抑揚豊かな両題の楽想に対して,いくぶん気取った感じ.録音は鮮明で,オーケストラ全体の雰囲気やホールへの反響をも美しく捉えた,奥行きのあるサウンド.使用楽譜は,ブライトコプフ旧版にベースを置き,適宜校訂を加えたもの.

 付録映像でのインタビューに答えるマエストロの,意外なまでの謙虚さは胸を打つ.自分たちのパフォーマンスが,たとえベストは尽くしたとして,作曲者や聴き手の望むものになっているか,いつでも不安であるし,だから変化し続けなければならない,というのだ.


ベートーヴェン 交響曲全集 (5SACD+DVD)
フランス・ブリュッヘン (指揮),
18世紀オーケストラ,
東京エムプラス,GBSADV 001

河村尚子=ベートーヴェン「熱情&ワルトシュタイン」他

2020-05-02 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴いた.河村尚子のピアノによる,ベートーヴェン「熱情&ワルトシュタイン」ほか.

 どのナンバーも,正確かつ念入りに譜面を描き出した演奏.河村は,わりあいきっぱりした力強いタッチで弾き進め,定番とも言うべきこれらのレパートリーに対して,いったん先入観を排した新しい気分で臨むようである.ただし,それが裏目に出て,ところどころで音楽の横の流れが損なわれるのは残念.慣例上のノウハウへの見直し自体はもちろん有意義にちがいないが,それを拒絶することも,結局は一種の方法論にほかならないと思うのだ.録音は鮮明で,ベーゼンドルファーの温かな音色をよく捉えたもの.


ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ集② 熱情&ワルトシュタイン (SACD-Hybrid)
河村尚子 (ピアノ),
Sony Music Labels,SICC 19044