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F.ブリュッヘン+18世紀オケ=ベートーヴェン「交響曲全集」

2020-05-07 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴き終えた.F.ブリュッヘン指揮+18世紀オーケストラによる,ベートーヴェン・交響曲全集.

 どのナンバーも,やや遅めのテンポを採り,終始正確かつ念入りに描き込んだ演奏.ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラは,ライヴレコーディングに起因する若干のアンサンブルのラフさはあるが,高水準の技術に安定した明るい音色で聴かせる.何より,たっぷりした息遣いと,音楽の流れを作るものとしてのアクセントを併せ持った曲作りは,生き生きとしたベートーヴェン像を引き出している.ただし,第5・7番に関しては,トゥッティでの強奏をむやみに抑えており,抑揚豊かな両題の楽想に対して,いくぶん気取った感じ.録音は鮮明で,オーケストラ全体の雰囲気やホールへの反響をも美しく捉えた,奥行きのあるサウンド.使用楽譜は,ブライトコプフ旧版にベースを置き,適宜校訂を加えたもの.

 付録映像でのインタビューに答えるマエストロの,意外なまでの謙虚さは胸を打つ.自分たちのパフォーマンスが,たとえベストは尽くしたとして,作曲者や聴き手の望むものになっているか,いつでも不安であるし,だから変化し続けなければならない,というのだ.


ベートーヴェン 交響曲全集 (5SACD+DVD)
フランス・ブリュッヘン (指揮),
18世紀オーケストラ,
東京エムプラス,GBSADV 001

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