mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 【夏より秋へ】その六

2014-05-26 16:45:41 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
何人も幸住むと云ふことをうたがはず立つ春の戸口に


きよらにも薄桃色に眠りたる児のけはひの春の日となる


あけぼのや雀かすめし山烏血をこぼし行くうまごやしかな


夕ぐれの光に透きて動く人高楼にあり水色を著る


があちこちの房うち叩き声づくりする秋の朝かな


おのが身のつながれし綱かみそりをもて切るごとし初秋の風


しら玉はくろき袋にかくれたりわが啄木はあらずこの世に


死ぬまでもうらはかなげにもの云はぬつよき人にて君ありしかな


目に見えぬ不可思議国の手枷をば我れもはめらる若きならひに


草むらに欝金のひと葉まじりたり透きとほりたる秋風の中

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