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記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 【夏より秋へ】その七

2014-05-26 16:47:08 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
桐の木の片側濡れて幹青ききさらぎの雨なつかしきかな


たらちねの石の御墓に黄なる粉をちらせし椿かなしき椿


五月雨かびのにほひのする床に水のおと聞くふるさとの家


本を読み流行の衣を欲しがりし娘も思ふふるさとのこと


欲しがりしだんだら染もうづまきの模様も旧りぬ忍びて笑ふ


匂ひする春の空より落ちきたり我を照すと思ふ小鏡


南風吹きあほる日はすさまじき老女の手見ゆ春の日ながら


南宗寺大安寺いと尊かりこれらの寺のあかつきの門


はかなきは恋することのつたなさの昔も今もことならぬこと


雨ののち棕梠の広葉のみどり葉に紅梅うつる春ともなりぬ

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