mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

樋口一葉和歌 その二十二

2014-05-04 10:50:38 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
いにしへの春にかへれとまねくらんふりにし里の青やぎの糸


鳴つれてこし路へかへる雁ならんおぼろ月夜にこゑのきこゆる


尋ねこしかひおありけりみ山路の花の終りはわれぞ見にける


誰が夢を出でてきぬらん桜花匂へる園に遊ぶこてふは


散そめし桜を見れば今宵ふる雨のうちに春は行くらん


つれづれと雨ふりくらす春の日の夕べはわきてのどけかりけり


青やぎの糸にしづくの見えながら軒に音なきけさの春雨


いにしへをいざとひてみんこれも亦我が身に似たるおそ桜花


また更にあふべき夜半もあるものをなど死ぬばかりつらき別ぞ


庭もせに生ふるよもぎの露分けて訪ひくる人を待つもわりなし

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