mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

樋口一葉和歌 その二十一

2014-05-04 10:48:44 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
こよひふる此はるさめにほころびん咲くも間ぢかき庭のさくらは


はかなしや田面をてらす稲妻のつゆのやどりもなし果てずして


秋の野の薄おしなみ吹く風に思ひ思はず人まねくらし


庭の面につもる紅葉の色見れば散りての後もにしきなりけり


ふりまよふ雪もいとはでいさりするあまにやあらん沖の火かげは


きのふけふ氷とけにし池水に春をうつせる青柳の糸


青柳のなびくを見れば谷川の水にも春はうかびそめけり


かげうつす柳の糸は池水にうかぶ玉藻のここちこそすれ


わたつ海の波のいづこに立ち初て果なくつゝむ春の霞ぞ


打ちなびく柳をみればのどかなる朧月夜も風はありけり

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