万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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2336 作者未詳

2012-05-25 | 巻十 冬相聞
寄霜

甚毛 夜深勿行 道邊之 湯小竹之於尓 霜降夜焉

はなはだも 夜更けてな行き 道の辺の 斎笹(ゆささ)の上に 霜の降る夜(よ)を


霜に寄せる

「まあ大変! 夜も更けてゆくではありませんか。道端の、清らかなササの上に、霜が降りる夜だというものを (もう少しゆっくりしていっては)」

2335 作者未詳

2012-05-24 | 巻十 冬相聞
寄露

咲出照 梅之下枝尓 置露之 可消於妹 戀頃者

咲き出照(でて)る 梅の下枝(しづえ)に 置く露の 消(け)ぬべく妹に 恋ふるこのころ


露に寄せる

「花が咲きほころぶ、ウメの下の枝に、降りた露(を連想させる)、はかなげな妻が、恋しい今日このごろ」

2334 柿本人麻呂歌集

2012-05-23 | 巻十 冬相聞
阿和雪 千重零敷 戀為来 食永我 見偲

沫雪(あわゆき)は 千重に降りしけ 恋ひしくの 日長(けなが)き我れは 見つつ偲はむ

右柿本朝臣人麻呂之歌集出


「淡雪が、幾重にも降り続く。(あのひとに)恋して、久しい私は、(雪を)見ていて(報われない恋を)しのぶ」

右は、柿本朝臣人麻呂の歌集に出る

2333 柿本人麻呂歌集

2012-05-22 | 巻十 冬相聞
零雪 虚空可消 雖戀 相依無 月經在

降る雪の 空に消ぬべく 恋ふれども 逢ふよしなしに 月ぞ経にける

右柿本朝臣人麻呂之歌集出


「“降る雪の” 空中で消えてしまうように、恋しても、会う手段がないまま、月が過ぎてしまったよ」

右は、柿本朝臣人麻呂の歌集に出る


2332 作者未詳

2012-05-21 | 巻十 冬雑歌
詠月

左夜深者 出来牟月乎 高山之 峯白雲 将隠鴨

さ夜更けば 出で来(こ)む月を 高山の 嶺の白雲 隠すらむかも


月を詠む

「夜が更けて、出てきた月を、高山の、峰にかかる白い雲が、隠してしまいそうだ」