NBA INS 'N' OUTS

かんたん解説 NBAなんでもとーく

アンビリーバボーⅡ

2010年04月07日 | '09-10 シーズン

前回は予想外の成績を残した選手を特集しましたが、今回もその続きを。。
というか、驚くような数字を残した選手がまた出ちゃったんで、また紹介しなきゃ・・・・と思っただけなんですけどね。

まずはダラスのルーキー、ロドリーク・ボブア。
ボブアは今年1巡目25位で指名された新人で、トニー・パーカー2世とも呼ばれるフランス人ガードです。
スピードとキレのある動きが最大の武器ですが、アウトサイドからのシュート力も持ち合わせています。
ただ、ジェイソン・キッド、ジェイソン・テリー、ホセ・フアン・バレアと小さくて優秀なガードが多いマブスのバックコートにおいて、新人が出場時間を得るのは至難の業でした。

しかし、3月に入ってテリーが戦線を離脱すると、その能力がようやく日の目を見ます。
持ち前のスピードを生かしたドライブインと正確な3Pで、スコアラーとして活躍。
3月の月間成績は、平均20分の出場ながら14.5点・FG56.7%・3P46.9%・FT77.8%という成績を残しました。
そして極めつけがこの試合
なんとベンチからの出場で、40点・FG15/22・3P9/11(!)
わずか30分の出場時間で、です。

いやはや、スゴイ。

現在はテリーが復帰して再び出場時間が減っていますが、ダラスはもっとうまく彼の能力を使うべきだと思います。
例えば、現在バトラーとマリオンを先発起用していますが、両方ともSFの選手なのでバランスが取れているとは言えません。
サイズのあるキッドとボブアを組ませて先発として使い、バレアとテリーをバックアップに。
そして、バトラーかマリオンのどちらかをベンチに回すということを検討してもいいんじゃないかな?と思います。
せっかくの戦力はうまく使っていかないと。



この人がボブア。トニー・パーカー2世なんて呼ばれてました



スピードがあってシュートも打てる。バルボサみたい?



先発バックコートにしたいな


次に登場は、デビッド・リー。
なんかよく出てきますが、別にひいきしているわけじゃありません。
実際スゴイ成績を残してんだから、紹介せなしゃーないw

例えば、1試合20リバウンド。
これは長いシーズンの中で何人か達成する人が出ますが、そんなしょっちゅう聞く数字じゃありません。

それから、トリプルダブル。
これはまあ単純にスゴイですよね?
ルブロンじゃなければ、そう簡単に出せるもんじゃありません。

さらにガード系選手ならまだしも、センターのビッグマンがトリプルダブルを達成するのは稀です。
しかも、ブロックではなく、アシストで達成するのはさらに稀になります。

今挙げたようなことは、それぞれ1個1個が難しいことなので、達成できただけでもスゴイことです。
リーはこれを全て達成したことがあるので、それは賞賛に値します。

でももっとスゴイのは・・・・
なんとこれらを全て1試合で達成したんですね(!)
それがこの試合です。

37点・20リバウンド・10アシスト。
超絶トリプルダブルです。。

このスゴさは、過去の記録を紐解けば一目瞭然。
NBA史上、「35点・20リバウンド・10アシスト」以上を達成したのはわずかにこれだけ。

'10 David Lee 37-20-10
'76 Kareem Abdul-Jabbar 35-20-12
'76 George McGinnis 38-21-10
'72 Kareem Abdul-Jabbar 44-20-10

リーの前にはたったの3回しか達成されてないんですね(!)
しかも全て70年代の話です。
ジャバーが2回達成しているので、リーで通算3人目ということになります。

これは歴史的なことなんですねえ・・・・



リーのオフショット



私服だと近所のお兄さん(笑)


そしていよいよ真打ち登場、われらがまにゅ~です(←勝手に言ってるだけですw)
シーズン前半は鳴りを潜めていたまにゅ~ですが、トニー・パーカーの長期離脱が決まるとスターターに復帰。
そこから水を得た魚のように縦横無尽に動き回り、オフェンス全体を活性化。
自らのショットだけでなく、トリッキーなパスからチームメイトの得点機会も演出。
一度は死にかけたスパーズを再び蘇らせました。

まず今季トータルの成績がこれ

・合計:70試合・16.6点・3.8リバウンド・4.9アシスト・FG44.2%・3P38.8%・FT86.6%

そして先発した16試合の成績がこれ

・先発:16試合・24.1点・3.8リバウンド・5.4アシスト・FG51.0%・3P45.3%・FT86.3%

うーん、これでも十分スゴイんですが・・・・ちょっと伝わらないかもしれません。
例えばこう見方はどうでしょ?

・リーグ43位 28.6分 16.6点

シーズントータルだと平均得点はリーグ43位という平凡な順位になるんですが、ジノビリの場合16試合しか先発がなく、あとの54試合はベンチスタートだったため、出場時間が少ないんですね。
なのでこれを48分間出場した場合で換算すると・・・・

・リーグ14位 48.0分 27.9点

一気にリーグ14位にまで跳ね上がります。
もしまともに35~40分出ていたら、リーグTOP15に入る得点力を持っているということですね。

しかし、平均得点だけではジノビリの良さはわかりません。
最大の魅力は、大舞台に強い、勝負所に強い、という「大事な場面で力を発揮できる」ところにあるんですね。
例えば、ここ6試合で優勝候補の4チームと対戦しているのですが・・・・

3/26 CLE 102-97
30点・6リバウンド・6アシスト・FG10/19・3P3/5・FT7/8

3/28 @BOS 94-73
28点・3リバウンド・7アシスト・FG9/19・3P2/8・FT8/8

4/2 ORL 112-100
43点・6リバウンド・5アシスト・FG13/25・3P3/6・FT14/17

4/4 @LAL 100-81
32点・5リバウンド・5アシスト・FG10/22・3P2/5・FT10/11

個人的にも素晴らしい数字を残していますが、最も重要なことが、この4試合全てに勝っているという事実です。
しかも、結構大差をつけての快勝です。
セルティックス戦とレイカーズ戦では、アウェイでのゲームでありながら約20点差をつけて大勝しています。

そのセルティックス戦ではこんなプレーもありました。
クウォーターの終わりにブザービーターを決めたんですが、ハーフウェイラインから走りこんできて、3Pラインの後方からワンハンドのフローターでスリーを決めたんです(!)
この距離からワンハンドですよ!?
僕はビックラこきました。

ビデオ



レイカーズをアウェーなのに大差で撃破



止めるにはこうするしか・・・・


そんなこんなで、ひとしきりまにゅ~の自慢話をして満足したので、もっと大事なお話を(笑)
大事と言えばプレーオフですね。
もう目前まで迫ってきているわけなんですが、ここでもアンビリーバボーな状況になっています。

こちらの順位表を見てください。

ウェスタンの2位~5位までの4チームが、キレイに50勝27敗で並んでるんですね。
あと残り5試合ですよ。
その5試合の結果で、シード順が2位~5位まで上下しちゃうわけです。
サンダー、スパーズ、ブレイザーズもすぐその後に続いてますから、連敗でもしようものなら2位~8位までが変動する可能性を残しています。

いやあ~、これぞダンゴレース。
今後の1試合1試合でシード順が変わってきますし、それはすなわち、プレーオフでの対戦カードも変わることを意味します。
最後の最後まで、どこ対どこの組み合わせになるのかわからないというおもしろさもあるわけです。

これはもう毎日毎日、各試合の結果と順位表をにらめっこしないといけませんね。
というか、1日1日その状況が変わりゆくのを追っていくだけでも楽しいと思います。
今日はどこ対どこ、明日どこ対どこ、と日々プレーオフでのマッチアップが変わっていくわけですから。

このページが更新されていくことになると思うんで、チェックしてみてください。
直接対決の成績なんかも載ってますんで、どことどこが当たったら有利かなんていうのも見極めながら流れを追っていくとおもしろいですよ。

大詰めとなった残りシーズンもしっかり楽しみましょう!


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20 コメント

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Unknown (ラッシュ)
2010-04-07 19:44:31

ボーボアは確かにトニー・パーカー2世ですね。スピードはありますしクイックネスもあります。この後の成長が楽しみですね。


デビッド・リーは206㎝のサイズで得点やリバウンド量産するんですよね。今年のオールスターにも選出されましたし素晴らしい選手です。ニックスのチームではなくサンズにいけば面白くなるんじゃないでしょうかと思うのですが…



ジノビリはスターターに定着してから活躍してますね。ジノビリを止めれる選手は今のところはいないと私は思います。勢いがあるので。

そういえば、トニー・パーカーがケガから復帰するらしいですが、ジノビリはどうなるんでしょうかね?ベンチスタートに戻りますかね?
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ラッシュさんへ (manu)
2010-04-08 00:42:37
ボブアはフランス代表ってことでパーカー2世と言われてますが、プレースタイル的にはバルボサに近いかもしれませんね。

リーは、今オフのニックスの動き次第でどこにいくかわかりませんので、楽しみですね。
ダントーニのスタイルには合っていたので、サンズなら間違いないでしょうね。

パーカーの体調によるでしょうね。
20点以上が計算できるぐらいに回復しているならば、ジノビリをベンチに温存できるかもしれませんが、おそらくすぐに元に戻るとも思えないので、しばらくは先発のまま置いておくんじゃないかと思いますね。
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manuさんへ (ラッシュ)
2010-04-08 02:32:31
バルボサに似ているのですか。凄いルーキーですね~

今年のルーキーのPGは素晴らしい選手ばっかりです。マブスのボーボアはもちろん。バックスのジェニングス、キングスのエバンス、ウォリアーズのカリーなどmanuさんは新人王誰だと思いますか?


メディアではエバンスと言っています。平均20ポイントっていうところとルーキーチャレンジでMVPを獲得しているいますから最有力候補です。

私は、ジェニングスでも新人王の可能性はあると思います。チームを4シーズン振りにプレーオフを導いたからだと思います。
後、ウォリアーズ戦で55点は驚異です。
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タイトルを見た時絶対こないだのスミスのブザビダンク(ry (shin)
2010-04-08 03:33:51
「大事な場面で力を発揮できる」

正にジノビリの最大の魅力ですよね!
スタッツだけで選手の価値は計れないって見本だと思います。(最近はスタッツも半端ないですけどw)


ここに来てスパーズまで調子上げて来たらプレイオフはどこを見たらいいか困るんでやめてもらいたいw
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Unknown (tera)
2010-04-08 16:33:15
ジノビリは大好きなので活躍は非常にうれしいんですが、ジェファーソンとマクダイスがいまいちハマってないのが…。大丈夫なんでしょうかね?

スパーズはいつもオールスター明けから調子を上げてプレイオフへ入りますが、今年は調子は上がってますがチームとしてではないので心配です…。
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Unknown (tokotoko)
2010-04-09 10:00:21
manuさんは以前の記事でルーキーのエバンスが開幕からスターティングPGとしてプレーすることに対して懐疑的な見方をしていたと記憶しているのですが、20ppg、5.3rpg、5.8apgといった成績を残している現時点でもそのお考えは変わっていないのでしょうか?
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ラッシュさんへ (manu)
2010-04-12 02:23:03
プレースタイルが、ですよ。
つまりは、スピードと3Pが武器のアンダーサイズなSGタイプ、という意味ですね。
バルボサよりはもっとPG寄りですが。

新人王は・・・・個人的にはカリーにあげたいところですが、スタッツ的にタイリークが選ばれるでしょうね。

ジェニングスはチーム成績的には一番いいんですが、FG成功率の落ち込みがひどすぎますね。
月を追うごとにどんどん悪くなっていった点もマイナスですね。
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Shinさんへ (manu)
2010-04-12 02:25:57
そうですねえ~
バスケットセンスという言葉で片付けてしまうと簡単ですが、ここぞというところで大事なプレーをする、ポイントを押さえた活躍が光りますね。

今年のプレーオフは本当にわからないですね。
ウェスタンはどこが勝ち上がってきてもおかしくないと思います。
レイカーズもここにきて調子を落としてますんで、まったく読めなくなってきました。
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teraさんへ (manu)
2010-04-12 02:35:51
今年のスパーズの誤算はRJですね。
BIG3が抜けても大丈夫なように、裏エース的意味で取ったはずが、鳴かず飛ばずですからね。。
キラーパスを出せるまにゅ~が先発に上がってから、RJがフィニッシャーとして生かされる場面も出てきましたので、そこはプラスかと思います。

マクダイスも思ったほどの働きは見せられていませんね。
年波が押し寄せてきたんでしょうか・・・

そうですね。
勝つか負けるかは、まにゅ~が爆発するかしないか的なところがありますんで、不安定ですね。
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tokotokoさんへ (manu)
2010-04-12 03:30:05
はい、考えは1mmも変わってないですねw

問題はスタッツではないです。
プレースタイルです。
これが25点あげようが、30点あげようが一緒ですね。

例えば、ルブロンを例に考えてみます。
ルブロンはルーキー時代、SGとSFが空いていなかったため、PGとしてプレーしました。
もちろん能力が高いので、無難にこなすことはできます。
でも、ハンドリングとパスができるからといって、PGにしておくのが本当にいいのか?

あの体躯とパワー、ジャンプ力があれば、ポストアップもできるし、リバウンドも取れるし、ブロックもできます。
でもPGにいる以上、ゴール下でのプレーはしにくくなります。
マッチアップ相手についていれば自然と3Pラインより外が主戦場になるし、カウンターを食らったら真っ先にディフェンスに戻らなくてはいけなかったりするからです。

PGもこなすスキルがあることはわかります。
でも、だからと言って、必ずしもPGに据えるのがベストではないと思います。
ルブロンの体格とオールマイティさを考えれば、外も中もできるSFで、時にはポイントフォワード的にボールハンドリングをしたり、時にはゴール下でブロックに跳んだりと、様々な能力を発揮できるポジションに置いてあげた方が、ルブロンの能力を最大限に生かすことができます。

タイプは違いますが、デュラントもそうです。
ルーキー時代のデュラントはSGをやらされ、外から3Pばっかり狙っていました。
新時代の長身SGと言えば聞こえはいいですが、それではPF並みの身長で何でもできるデュラントの能力が生かしきれません。
昨季の途中以降、HCの交代を機に本来のSFに戻ることができたことで、デュラント本来の動きができるようになり、スタッツも飛躍的に伸びました。

僕に言わせれば、“伸びた”のではなく、本来のプレーに“戻った”だけです。
カレッジ時代から既に、リバウンドも2ケタ取りながら、スリーまで決められる大型オールラウンダーでしたから。
無理やりSGに仕立て上げようとされたことによって、その能力が抑えられてしまっただけのことなんです。
そして、僕がそのことにずっと異議を唱えていたのは、過去のブログを見ていただければわかると思います。

さて、本題のタイリークです。
タイリークも基本的にルブロンに似ていると思います。
ルーキーながら既に体格はNBAクラスで、SGにしては横幅があり、パワーとスピードを併せ持っています。
つまりは、NBAのほとんどのSGに対して力負けしません。
であれば、もっと意識的に中でプレーさせてもいいと思います。

ボールハンドリングもうまいんですが、それはプラスアルファのボーナスみたいなものとして生かせばいいと思います。
場面場面でPG的にハンドリングを任せる、というやり方で十分だと思います。
ジョー・ジョンソンやブランドン・ロイのようなスタイルですね。
2/3ぐらいがSGで、1/3ぐらいがPG、みたいな。

ハンドリングがうまいことと、フルタイムのPGが向いているかどうかは、イコールではありません。
アイバーソンのようなサイズの足りない点取り屋と組ませたいとか、そういうチーム事情があるならまだわかります。
でも今のキングスに、そういう縛りはありません。

近未来型の長身PGを作ろうとしているのかもしれませんが、それは体格に優れたタイリークの能力を最大限に生かせる方法ではありません。
また、パスファーストのメンタリティではないので、周りのチームメイトにとってもよくありません。
ナチュラルなSGですから、どうしてもまずは自分で点を取りにいこうとトライして、それがダメだった時にパスという流れになりがちです。

パスができると言っても、ドライブ&キックの単調なパスだけでは、他の4人のチームメイトにイージーなシュートチャンスを作り出すことはできません。
ハンドリングやパスの前に、全体の組み立てや誰にどう打たせるといったようなことをコントロールするのが司令塔の役目です。
それはやはりナチュラルなPGに任せるべきで、そうしないとチームオフェンスは円滑に回っていかないと思います。

タイリークには、SFからPGまで3つのポジションがこなせるオールマイティな選手として、多才な能力を発揮させればいいと思います。
そしてゴー・トゥー・ガイとしてオフェンスの中心に据え、周りに精度の高いシューターやボールを分配できる司令塔を置く。
そうすればもっとバランスのいい、無理のないチーム構成ができあがり、タイリーク自身も持てるポテンシャルをさらに発揮できるようになると思いますね。
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