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オールスター選考の問題点

2007年02月04日 | オールスター

前回のブログで「オールスターの選考システムは改良が必要だ」と書いたところ、「じゃあどこが問題なのか?」というご質問をいただきましたので、ちょっとこの場を借りて説明させていただこうと思います。なるべく簡単に書くつもりですが、ちょっと小難しい話になってしまったらスイマセン。現状、大きく分けて問題は2つあると思います。

①ポジション固定制の緩和
現在のファン投票用紙を見ると、各選手のポジションがあらかじめG、F、Cのいずれかに固定され、決められてしまっています。でも現実的に選手の分布には偏りがあり、イーストはGが豊富な反面Fが少なく、逆にウェストはFが豊富でGが少なくなっています(Cはどっちも少ない)。例えば去年のイーストではアイバーソンやウェイド、ピストンズ勢らがいたお陰で、30点近い得点をあげていたにもかかわらずアリーナスが落選しました(後にケガによる代替で出場)。同じく昨年メロがウェストで落選したのも同じ理由で、F部門に人材が多すぎたあおりを食いました。

解決法の一つとして考えられるのは、G/F、F/Cと複数のポジションをこなせる選手は、どちらの部門でチョイスするか選択できるようにすることです。つまり、ルブロン、カーター、ピアース、T-MACといったスウィングマンはG/Fとし、必要に応じてどちらのポジションで選んでもいいとする。同様にドワイト・ハワード、ジャーメイン、ボッシュ、ダンカン、ガソール、アマレといったビッグマンはF/Cとし、センターで選んでもいいとする。そして最終的にその選手個人に入った得票数を合計し、多かった5人を選んでスターターとする。これだけでもポジション別の不均衡はかなり是正され、「あれ?このポジションで選ぶ人いないよぉ~」と困るようなことはなくなるでしょう。

②リザーブ選出プロセスの改良
①でウェストには優秀なFが多いから不公平が生じると書きましたが、今回メロが落選した理由はこれだけではありません。もしそんなにFが溢れているなら、Fが制限枠いっぱいの4人選ばれてもいいはずです(控えの枠はG×2、F×2、C×1とポジションに関係なくあと2人)。しかし実際にはGが3人(ナッシュ、アイバーソン、パーカー)とFが3人(ノヴィツキー、ブーザー、マリオン)ずつ選ばれています。「GとFが同数選ばれてるなら、別にFの候補が多すぎるってわけでもないんじゃない?」と思われそうですが、そんなことはありません。正確には、「Fに優秀な人材が多いのに、Gが3人も選ばれてしまった」のです。

ESPNの専門家は、そのカラクリをこう分析しています。
「G部門はまずナッシュが満票で選ばれる、そして2人目の枠はアイバーソンとパーカーの間でちょうど票が二分されたと推測される。F部門はまずノヴィツキーが満票で選ばれ、ブーザーも大多数が選んでいると予想できる。しかしその後は、マリオン、メロ、ジョシュ・ハワード、エルトン・ブランド、ザック・ランドルフといった間で票が分散してしまったと思われる。その状況を仮の投票数イメージで表すとこんな感じになる。

(投票はウェストのHC15人による。自チームの選手には投票できないので満票は14)
ナッシュ(G):14票
ノヴィツキー(F):14票
スタダマイアー(C):12票
ブーザー(F):10票
アイバーソン(G):8票
パーカー(G):7票
マリオン(F):7票
メロ(F):6票
ハワード(F):5票
ブランド(F):5票
ランドルフ(F):5票

つまり、Gは対象となる候補が限られていて、しかもちょうど半々に意見が割れたために得票数としては多くなった。それに対してFは、候補が多かったために票がいろんな選手に分散し、結果として1人1人の得票数が少なくなってしまった。そして最後のワイルドカード2人に選ばれるのは、ポジションに関係なく得票数の多い順。これによって、メロやハワードを押し退けて、パーカーが選ばれてしまったのだ。」

この分析はあくまで推測ですが、かなり信憑性が高く、実際こんな感じだと思います。そしてこの問題への解決策も示しています。
「まず最初にG×2、F×2、C×1だけ各HCに選ばせる。そしてその結果を発表した後でポジションに関係のないワイルドカード2人を改めて投票させる。」
この方法で投票を行うと、例えばGの2人目にアイバーソンが決まれば、ワイルドカードでパーカーに投票しようという人はほぼいなくなるでしょう。ガードのもう1人と考えるからパーカーに入れたわけで、ワイルドカードとして新たに選ぶならF勢から誰かを選ぼうとするからです。そして仕切り直して行われるワイルドカード投票は、マリオン、メロ、ハワードらF勢の争いから2人が選ばれていたはずです。こうすればかなり公平性はアップしますし、より選ばれるべき人が選ばれるようになるでしょう。

<まとめ>
現代のNBAは、7フッターでも3ポイントを打ったり、SFでも司令塔役ができたりなど、以前よりポジションのボーダーレス化が進んでいます。そんな時代を象徴するオールスターならば、ポジションなんかに縛られず、本当に最高の12人を選んで欲しいものです。それで仮にCがいなくなったり、Gが少なくなったりしたとしても、現在Cなしでラインナップを組むチームはどんどん増えてますし、ルブロンが司令塔を務めたりノヴィツキーがシューターを務めたっていいわけです。逆にそういったことが現代NBAのトレンドを映し出していると言えるのではないでしょうか。一NBAファンとして、オールスターが“真のオールスター”になることを切に願います。

追記:ウェストはヤオとブーザーがケガで欠場が予想されるため、代替選手としてメロとジョシュ・ハワードが選ばれるのではないかと言われています。ただブーザーが出られないと好調のジャズから1人もいなくなってしまうので、メメット・オクールが選ばれる可能性も残されています。もしハワードとオクールなんてことになったら、またまたメロの悲劇が続いてしまうのですが・・・


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2 コメント

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ご解説、ありがとうございました (takee)
2007-02-06 22:30:48
なるほど。
ワイルドカードという枠があるんですねー。

ワイルドカードをもっと有効に選んでもらえば、もっと面白面子になるかも!ですね。

ご解説、ありがとうございました(^^)
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スイマセン・・・ (manu)
2007-02-07 00:00:53
書き始めたらやっぱり小難しい内容になってしまいました・・・(反省)。
ファンもHCも、選ぶ方に落ち度はないと思うんですね。
ただ現行のシステムがちょっとゆがんだ結果を招いてしまっているので、残念だなあと思っているんです。
とりあえずポジションの選択制は是非解禁して欲しいなと思います。
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