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メロの悲劇

2007年02月03日 | オールスター

オールスターの全メンバーが発表された。
ファン投票によってスターターが、リーグ各HCの投票によってリザーブのメンバーが選ばれたわけだが、今年もまた異論の残る結果となった。
選ばれるべき選手が選ばれない、という残念な事態が起きているのだ。
イーストではマイケル・レッドとジョー・ジョンソン、ウェストではレイ・アレンやジョシュ・ハワード、そしてカーメロ・アンソニーだ。

傾向として、ファンが選ぶのは当然「人気のある選手」になってしまうのだが、それに対しHCが選ぶ選手は「チームを勝たすことができる選手」となることが多い。
これはHCが「勝利」を追い求める立場であるがゆえに、「良い選手=勝てる選手」という図式で物事を判断するためだ。
つまり、いくら活躍をしていても所属チームが勝っていなければ評価されず、逆にチームが勝っていれば個人成績以上の評価を得られる。

今年の場合、レッド、JJ、アレンらがその「個人成績はいいがチームが弱い」ために選ばれなかった例だ。
しかし僕は個人的に、“平均25点以上”の選手はそれだけでオールスターになる資格が十分あるのではないかと思う。
25点超えはリーグでも一握りの選手しか到達できない領域であり、チームが弱かろうが何だろうが、それだけでも評価に値することだと思う。
ちなみに3選手の数字は、レッド(27.7点/リーグ4位)、アレン(26.6点/リーグ8位)、JJ(25.3点/リーグ9位)である。

そして最もかわいそうなのが、“オールスターに出場できないベストプレーヤー”メロだ。
NBA入りしてから4シーズン目を迎えるメロだが、これまでも毎年いつ選ばれていてもおかしくはなかった。
もしメロがイーストのチームにいたなら、もう4年連続4回目の出場になっていただろう。
しかし最も狭き門であるウェストのフォワード部門の壁に阻まれ、未だ一度も選ばれていない。
ただ今季はプレーヤーとして大きく成長し、アメリカ代表ではエースを務め、シーズンに入ってもリーグ得点王を突っ走る大活躍を見せた。
選ばれなかった理由はただ一点、あの乱闘事件による出場停止、これに尽きるのだろう。

しかし、である。
出場停止があったとはいえ、平均得点は規定数を超えてリーグトップのまま(31.3点)であるし、復帰後も同様のペースをキープしている。
先に挙げたレッド、JJ、アレンらは、途中ケガで戦線離脱したことが評価に大きく影響した。
要するに何が言いたいのかというと、彼らが選ばれなかった一番の理由はそこにある。
“HCたちがオールスターを選ぶ時期にちょうどプレーしていなかった”からなのだ。
だから印象が薄まり、HCたちは“その時活躍していた選手”を選んでしまった。

しかし思い出して欲しい。
例えばレッドやJJは、シーズン序盤30点に迫る平均得点をキープし、リーグ3位と4位につけていたほどだった。
メロは言うに及ばず、ずっと得点王の座を譲っていない。
休んだ時期があったとはいえ、ここに挙げた選手たちは皆規定数をクリアしているわけで、それはつまり“十分出場している”という証になる。
ポール・ピアースやクリス・ポールのように規定数に達しない選手は仕方がない。
だが彼らは正当な評価に値する選手たちだ。
「途中いなかったから序盤の活躍度を忘れてしまった」というのなら、それは悲しすぎる。

もう一つ、ジョシュ・ハワードの話は今までとニュアンスが異なる。

冒頭に「勝てる選手は評価が高い」と書いたが、それが証拠に、今季17連勝をマークするなど絶好調のサンズからはナッシュ、アマレ、マリオンと3人が選ばれている。
昨年も70勝ペースで勝ち進んでいたピストンズから、チーム好調のご褒美的に4人もの選手が選ばれている。
だが、サンズ(37勝9敗)を上回るリーグトップの38勝9敗を挙げているマブズからはノヴィツキーただ1人しか選ばれていない。

今季のノヴィツキーはMVP級の評価を得ているが、実はここ3シーズンで一番平均得点が低い(25.1点/リーグ10位)。
これは別にノヴィツキーの調子が悪いわけではない。
事実、FG成功率はキャリアハイ(49.6%)をマークしている。
ただ単に、以前ほどいっぱいシュートを打たなくてもよくなっただけだ。
その大きな理由は、チームの2大エースに成長しつつあるハワードの存在があったためだ。

「でもまだオールスターまではいかないんじゃない?」
そんな声もあると思うので、ここでオールスターに選ばれたトニー・パーカーの成績と比較してみよう。

●ハワード:平均19.4点/7.2リバウンド/1.9アシスト/1.2スティール/1.0ブロック
●パーカー:平均19.0点/3.3リバウンド/5.5アシスト/1.0スティール/0.1ブロック

両者はほぼ互角か、どちらかというとハワードの方がやや上ぐらいだ。
そしてチーム成績も、マブズ(38勝9敗)>スパーズ(32勝16敗)と圧倒的にマブズが上。
つまり、選ばれてもいい資格は十二分にあるということになる。

全体の結論としては、何も個人成績が絶対だとか言いたいわけでもないし、言うつもりもない。
ただその一貫性のなさ、統一見解のなさが気になるだけだ。
個人成績の方が優先されるならそうすればいいし、チーム成績の方が優先されるならそうすればいい。
しかし現状はそのどちらでもない。バラバラに見えて仕方ないのだ。
誰もが納得できる選び方を実現するには、現状の選考システムの改良が必要だろう。


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2 コメント

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Unknown (takee)
2007-02-03 15:05:27
現状の選考システムって何が悪いんでしょうか??
HCによる選出方法とかって、よく分かっていないもので…。
ごく簡単に教えてくださいm(__)m
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次のブログに・・・ (manu)
2007-02-04 01:12:02
簡単に説明しようと思ったのですが・・・どうも長くなってしまいそうなので、次のブログでご質問への返答をアップさせていただきます。悪しからず。。
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