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かんたん解説 NBAなんでもとーく

“The 30/30 Club”

2007年01月23日 | '06-07 シーズン

15試合という長い出場停止期間が明け、メロがようやく復帰を果たす。
メロがお休みしていたこの1ヶ月半の間、チームメイトの顔触れは大きく変貌した。
アンドレ・ミラー、アール・ボイキンス、ジョー・スミスらが去り、先発バックコートはアイバーソンとスティーブ・ブレイクという2人の新顔が務めている。

アイバーソンとメロの超高得点コンビの誕生は、平均30点ずつを叩き出すことから“The 30/30 Club”なんていうかっこいいネーミングもついた。
NBAファンなら誰でもワクワクしてしまう、エキサイティングな組み合わせだ。
しかし外野は、「本当にうまくいくのか?」と懐疑の目を向ける輩が多い。

ここで鍵を握るのは、やはりアイバーソンだ。
このコンビを生かすも殺すも、アイバーソンがどういうマインドセットでゲームに臨むかにかかっている。
多くの批判の素はこうだ。
「トップスコアラー同士が同一チームになれば、エゴがぶつかり、お互いにボールの取り合いになるからうまくいかない」と。

しかしナゲッツ加入後のアイバーソンのプレーを見た人なら、アイバーソンの強い意思の表れを見て取れただろう。
移籍後のアイバーソンは、鋭いドライブインをしては、自らをおとりにしてチームメイトへ積極的にパスをさばいていた。
メロやJR・スミスが出られず、自分以外に頼れるスコアラーがいない状況下だったにもかかわらず、だ。

シクサーズ時代も、アイバーソンはパスをしていなかったわけではない。
しかしチームメイトが何本か外したり好調でなかったりすると、やはり自分でやるしかないという感じでガンガン打ちにいっていた。
それがナゲッツに来てからは、得点力には疑問符が付くマーカス・キャンビーやレジー・エバンス、若手のリーナス・クレイザやヤクバ・ディアワラといったあたりに対しても積極的にシュートのお膳立てをしている。

成績を比べてみてもそれがわかる。
シクサーズでの15試合とナゲッツに来てからの14試合を比較すると、シュート回数が平均24.4本→21.4本へと減り、それに伴い平均得点も31.2点→27.7点へと下降。
だがFG成功率は41.3%→45.3%、3P成功率も22.6%→36.1%へと上昇しており、シュートの調子自体は逆に上がっているということがわかる。
つまり、自分で打てば決められるのにあえてそれを控え、周りのチームメイトを生かそうというマインドセットでゲームに臨んでいるのだ。

目ぼしいスコアラーがいない時にもパスを回そうとしていたのだから、メロとJRというスコアラー2人が揃えば、アイバーソンはもっとパスを回してくるはずだ。
楽に得点機会を演出できるようになり、アシスト数は今よりもっと増えていくだろう。
おそらくアイバーソンの個人成績は、得点は下がってアシストが上がり、平均25点、10アシストというレベルで推移していくのではないだろうか。

アイバーソンとメロはプレースタイルも重ならない。
アウトサイドとペネトレイトが中心のアイバーソンに対し、メロは高速スピンムーブを生かしたポストプレーが得意。
ゴール下のフィニッシャーとしても優秀であり、アイバーソンがドライブインで相手守備を寸断してからのラストパスで得点を量産するだろう。

ペネトレイター/プレーメイカーのアイバーソン、インサイドとフィニッシャーのメロ、そして3ポイントとダンクのJR・スミス。
この3人のトップスコアラーがプレースタイルでぶつかることはない。
アイバーソンがメロを無視して、自分のシュートに走ることもない。
よってこの2人がうまくいかないとする説はすぐに忘れ去られるだろう。

アイバーソン&メロの豪華コンビを擁したナゲッツは、プレーオフ1回戦で最もあたりたくない相手として、上位チームの脅威となるに違いない。


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