温故知新 by メゾンゴルフ

ゴルフクラブの歴史と伝統 そして現代技術の融合により
摩訶不思議なゴルフクラブが出来上がりました(^^)v

クラブ製作現場~ドライバー~その5

2015-12-13 00:06:20 | 工房作業

 

 

 

 

では最終組み付けに行きましょう。

シャフト先端にソケットを装着します。

そして振動数チェックをし、ここでシャフトのグリップ側をカットしバランスを計測
最終バランスを考慮した事前バランスを確認しておきます。
ここでオッケーが出て、やっと接着となります。

 

 

 

基本的に72時間硬化タイプを使用し、寝かせる時間をとります。
ゆっくりと硬化を促すことで、均一な仕上がりにすることができるからです。

 

 

 

対して速乾性のものもあります。
これは急を要する場合、明日にどうしてもシャフト(ヘッド)を試してみたいという場合のみ使用しています。

 

 


接着剤が硬化したようですので、仕上げに入りましょう。

当然ながら、この時点でも設定数値になっているかどうかの確認をします。
総重量、バランス、振動数にヘッドアングルにいたるすべてです。

オッケーですね。

 

 

 

シャフトに取り付けたソケット
そのままではヘッドのネック径とあっていませんので、アセトンという薬品を使って仕上げます。
段差が無くなり光沢が出たのがわかるでしょうか。

 

 

 

で、最後にグリップ装着です。

シャフトに両面テープを巻き、グリップを挿入すれば、シャフトとグリップはくっつきます。
ですが、これでは使用者のためのグリップとはなりません。

 

 

全体に太め(細め)
部分的に太め(細め)
また、シャフトやグリップもそれぞれに形状が異なります。
ですので、この下地処理
ビルドアップテープにより、形状を整えた後に両面テープを巻き、挿入します。

 

 

 

 

グリップは人間とクラブとの唯一の接点
ここを蔑ろにしてしまうと、せっかくのゴルフクラブも台無しになってしまいます。

あとグリップで注意する点は重量です。
これもグリップによってかなりの違いがありますので、交換の際は確認することをおススメします。

 

 

今回のようにオーダーメイドの場合は、そのグリップ重量を考慮した重量設定によって作業を進めています。
その重量差は仕上がりバランスに大きな影響を与えてしまうものですので、交換の際はご注意ください。

 

(続く)

 


クラブ製作現場~ドライバー~その4

2015-12-10 01:05:48 | 工房作業

 

 

 

 

では続いてヘッド調整に入ります。

先ほど付けた鉛をはがし、その重量分をヘッド内部にグルー(粘着材)を流し込み、目的重量に合わせます。

全体に重くということでしたので、今回はトゥとヒール
2ヶ所にグルーを分散させます。

 

 

 

このグルーは常温ではお菓子のグミ?のような状態です。
これに熱が加わると、このように液状になります。
(うっかり触ってしまうと火傷します)

トゥ側に粘着させている状態です。
液状のグルーが熱を保っている間のわずかな時間を利用してすばやく目的の位置にくるよう作業します。

 

 

そして再度グルーを流し込み、今度はヒール側にくるようセットします。

これで鉛を貼った状態が内部で出来上がったということになります。

 

 

温度が下がり、グルーが接着したら再度重心位置を確認します。

今回程度の重量であれば、目に見える変化はありませんでした。

これで重心位置効果と重量増効果
あわせてヘッド性能が引き出せるでしょう。

 

 (まだ続く)

 

 


クラブ製作現場~ドライバー~その3

2015-12-08 00:13:34 | 工房作業

 

 

 

さらに今回はヘッド重量を若干重めにというご注文でしたので、先ほどの状態にヘッドに鉛を貼って再度計測してみます。

 

シャフト方向の条件は先ほどと同じですが、また振動数が変化しました。

最小値が247
最大値が251

それぞれ1cpmの変化ではありますが、先の最大値と後の最小値との差は5cpm
これで完全に0.5フレックスの違いです。

 


で、設定数値はというと250cpmに合わせたいと考えています。

ここまでの作業で、そのポイントは見つかってはいるのですが、

「構えた際にこのロゴを正対するよう挿入する」
という条件を加えるとやはりシャフトのプリントが弊害になります。

この調整にこれから入ります。

 


この赤のラインがロゴ方向になります。
その時の振動数が248
ということは、2cpmの調整が必要ということです。

このシャフトは新品ですので長さに余裕があります。
そこで先端カットによってこの振動数を調整できます。
(あまり多くは出来ませんが)

 

 

これはミリ単位のカット作業になります。
しかも何度かカットを行わなければなりませんので、グラインダー系の摩擦で行うのは危険です。
シャフトはその性質上、熱に非常に弱いものです。

その点、ウチでは水冷式の高速カッターを使用しています。
加えて0.7mmの極薄刃ですので、シャフトに与えるストレスは最小で済みます。

これでシャフト調整は終了です。

 

さらに作業は続きます

その前にちょっと休憩(^^)

 

 

 

 


クラブ製作現場~ドライバー~その2

2015-12-06 00:40:41 | 工房作業

 

 

 

現時点ではヘッドとシャフト
どちらもアレンジしていない、いわゆる純正の状態です。

ヘッドネックへのシャフト挿入長さを30mm
クラブ長さを44.75インチ
という設定で振動数を計測してみます。

 

 

先ほどのセンターフレックス測定を基準に4方向
時計で言うと、基準方向を12時とし、3時、6時、9時を測定したものです。

最小値が248
最大値が252

ですのでその差4cpm

この4cpmというのがどれほどの差になるのか

 

 

 

シャフト硬度(軟度)はフレックス表示で区分するのが一般的ですが、その1フレックスの差は約10cpmです。
つまり今回の場合、シャフト挿入方向によって約0.5フレックスの差が出るということです。

その数値を頼りに挿入方向を決められるとよいのですが、通常シャフトにはそれぞれプリントされたデザインやロゴがあります。

これは持ち込まれるシャフトによく聞く話なのですが、知り合いのシャフトを使った時によかったので、同じものを購入したら、なんだか違う…

そのプリントがシャフトに対して均一に入っていれば問題ないのですが、それはなかなか無理な相談です。

これにはこういった理由があるのです。
勿論、装着したヘッドの相性というのもありますが。

 

戻ります。
これはなにも悪い事ばかりではなくて、使って頂く方にとって、そのままのSフレックスではちょっと硬い…
そういう時には、低めの数値の方向を採用できますし、逆に硬めにしたい場合も同様です。
どちらにしても振動数と相談しながら、決定していくことになります。


その設定数値に近づくよう、仮組みして数値をとる
この繰り返しの作業になります。

 

(続く)

 

 

 

 


クラブ製作現場~ドライバー~

2015-12-04 00:28:28 | 工房作業

 

 

今回の使用パーツのご紹介(^^)

ヘッド:ミステリー CF-445 ツアーリミテッド

ミステリーのNewモデル

http://www.mystery-jp.com/driver/cf-445_tl.html 

 


シャフト:フジクラ ジュエルライン プラチナムスピーダー

スピーダーを超えるスピーダー

http://www.fujikurashaft.jp/material/platinum_onyx.html

 


グリップ:ゴルフプライド MCCホワイトアウト

ハーフコードタイプの新色

http://www.fawick.co.jp/gp/products/m_mcc/#3

 

これらのパーツでドライバーの製作過程をご説明いたします。

しばしお付き合いくださいませ(^^)/

 

 

 

 

まずはシャフトの下準備から進めていきます。

重量

基準となる振動数

センターフレックス

そしてトルク

 

 

 

 

 

これらを計測することで、仕上がりイメージをします。
調整のためのたたき台数値です。

なぜこういう数値をとるのかといいますと、シャフト単体での個体差というのもありますが、
装着するヘッドとの相性に合わせるためというのが最も大きな理由です。

 

ヘッドが持つ機能があります。

そしてシャフトが持つ機能もあります。

 

それらが一体となる、それぞれの長所が引き出せるよう組む
そのために面倒ではありますが、ひとつひとつこれらの作業をしています。

 

 

 

 


次にヘッドです

重量

基本となる角度測定

そして重心位置の確認です。

 

 

 

 

こちらも一応のデータはありますが、重量調整(増量)する場合
その後の変化を見るために、手を加えていない状態での数値が必要になりますので欠かせません。

それらが数値化された時点で、やっと製作作業に入ることができます。

 

(続く)