ヘルダーリン記
ウルリッヒ・ホイサーマン 「ヘルダーリン」 139頁
『ヘルダーリンの答えは雄大で、ただ集中された敬虔性のエネルギーだけでなく、ディオティーマの《学校》でよみがえった心情の力によって説得している。
「愛するエーベルよ、あなたのように、これほど失望し傷ついておられるのは、りっぱなことなのです。真理と正義に対する関心が深すぎるために、それが存在しないところにまでそれを見ようとすることは、誰にでもできるということではありません。たとえ真理と正義を求める気持ちのあまり、冷静な観察ができなかったとしても、それはその気持ちが余りにも気高かったために時代に合わなかったのだと、みずから考えることが許されるでしょう……人類のありとあらゆる実りと花がふたたび開くのを、希望のうちに見たと思ったその場所から、絶望して別れを告げることがどんなに限りなく悲しいことか、わたしも知っております。しかし、ひとには自分自身があり、また少数ながら自分と結ばれたひとりひとりがあります。この自分自身と少数の個々人のなかに一つの世界を見いだすことは、これもまた美しいことです……わたしは未来の、心の持ち方の革命を信じます……」
・・・ このエーベルにあてた手紙で、おそらくはじめて、成熟するものを純粋に内面的に静かに育てようとする決意が、もともと内面的な力にふさわしいものであるにがい確信をもって行なわれたのだ。』
同141-142頁