見えない鳥の存在: Blog版

Blog: L'oiseau Invisible
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映画「サガン-悲しみよこんにちは」日本上映始まる

2009-06-03 | Blog内News速報

現在Click My Heartに移動させている昨年紹介した映画「Sagan」、いよいよ6月から日本での上映が始まる。タイトルは「サガンー悲しみよこんにちは」と「悲しみよこんにちは」が入る。ここでは主役の女優よりArielle Dombasleに注目した。彼女が演じている人物の本名がなかなか出てこない。ニックネイムで登場しているからだ。今日ようやく突き止めた。Ingrid Mechoulamという大富豪だ。サガンが博打で得たお金で衝動買いした邸宅やら何やらを、Saganの破産後、買い戻してSaganに自由に使わせていた、スポンサー兼アミだった人物。
他にPeggy Rocheを演じるJeanne Balibarも日本では見当たらない女優だ。Saganは遺言によりこのPeggy Rocheと同じ墓に入っているらしい。もうひとりこの映画の監督Diane Kurys も興味のある人物だ。特にこの10年男性女性合わせてフランスの歌手の下手さ、薄さにはがっかりするが、こういう手ごたえのある実在人物やら、それを演じる女優やらのハチャメチャな濃厚さはCultureの大人ぶりを見せつけてくれる。
(昨日
Le Vent Souffleにこの監督Diane Kurys について少し書いてみた。)
まだ10代の人にはこの映画よりSaganの処女作「悲しみよこんにちは」の一読をお勧めします。いきなりこの映画は、ちょっと...
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映画
 Sagan 日本語解説
昨夜フランスのBlogをいろいろ当たってみた。Saganを深く知っているだけに実に面白いそして映画に対して厳しい指摘もあった。その上で文学的になぜ評価されなかったのか、自分なりに考えてみた。それは1954年あたりのフランスの中心的な社会思想に合わなかったからだ。戦後の社会全体の思想傾向にも合わなかったからだ。しかしこの時湯水のように浪費して遊び呆けるという資本主義社会の享楽・退廃の極みの価値を肯定するこの作品が現れなかったとしたら、60年代のイエイエブームはおろか68年5月もやってこなかっただろうと思われる。ある意味、浸透した共産主義に対する、無自覚な反共であり、一足遅れた、形を変えたフランスに於けるマッカーシズムの役割を果たしたような気がする。17歳の子供だからこそ出来た、舵取りだった。国家の統制に個人の自由が抑圧されてたまるものか、というブルジョアの子供の本能の叫びとなったのではないだろうか。

これは2009年5月23日付けCorrespondancesの記事を移転させたものです。