高度経済成長期真っ只中である1960年代当時の千葉県千葉市では、急速な人口増加に伴う住宅団地の整備が実施されますが道路網の拡大が追い付かず慢性的な交通渋滞の発生と市内の通勤通学輸送の中心であった路線バスは輸送力が限界に達していたことから軌道系交通機関の導入が計画されるようになりました。調査は1971年に開始され、地下鉄なども候補に上がりますが市内の地形や需要予測からモノレールが最適とされ1976年にはマスタープラン策定、翌年には正式に決定し1979年には千葉都市モノレール株式会社が設立されました。計画から実に17年後の1988年3月28日にはスポーツセンター〜都賀〜千城台間が開通し、1991年6月12日には千葉(仮)駅まで延伸し単線だった動物公園〜スポーツセンター間を複線化、1995年8月1日に1号線千葉みなと〜千葉間が開通し千葉駅仮駅舎を現在の千葉駅に移設、1999年3月24日には千葉〜県庁前間が開通と段階的に路線を延伸し総営業距離は15.2キロとなり、2001年度には懸垂式モノレール最長路線としてギネスブック認定を受けています。
開通時より運用されている初代車両が1000形で、三菱重工業により既に実績のあった湘南モノレールをベースに製造されており、路線の延伸に合わせて20編成40両が製造されました。2007年からは運用数削減に伴う廃車が発生しており、2012年からは0形導入に伴い2020年までに2次車までの初期製造車が全廃されています。現在は全ての編成に何らかの企業ラッピングが施行されており、写真の1035+1036は安西製作所のフルラッピングです。
1031+1032は大宝地健ラッピングで、アルミ車体にブルーラインと本来のカラーとは逆に茶色系のシックな色遣いと乗務員室寄りや窓に貼られたキャラクターが特徴的なデザインになっています。
1039+1039は解体業者の井澤興業ラッピングで、こちらもキャラクターが目を引くカラフルなデザインですが側面にのみ施行されており正面にはオリジナルのブルーラインを見ることができます。
車内はアイボリー系の配色に淡い紫モケットのロングシート仕様で、台形になっている車体断面がよく分かります。当時はあまり前面展望などは考慮されなかったようで先頭部の仕切りは扉に窓を一箇所設けるのみでした。ちなみに貫通路と貫通幌は設置されているものの、急カーブ走行時に危険なため通行は禁止されています。
現在運用されている2028年度までに置き換えが発表されていますが、1001号車が萩台車両基地内で静態保存されている他、千葉都市モノレールが廃車時に積極的に販売を行なっていたため民間企業や幼稚園で再利用されており、引退後も各地でその姿を見ることができそうです。