町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

1500形置き換え用に増備を開始した京急1000形1500番台(22次車)

2024年08月05日 | 京浜急行電鉄

京急では2002年以来増備が始まった1000形により旧来の初代1000形・800形・2000形の置き換えを進めて来ましたが、2021年度の東洋電機技報第143号(新1000形20次車電機品)にて令和4(2022)年以降も1500形置き換え用に増備を行うとの記述があり、更なる製造の継続が判明。その後京急による2022年度の鉄道投資計画でも環境負荷低減の取り組みとして1500形を1000形で置き換えることについて触れられました。そして翌年2023年の9月7日よりデュアルシートの1890番台の一部設計を盛り込んだ1000形1500番台6両編成が営業運転を開始しています。年末の12月29日には8両編成の1700番台も運転を開始しました。

22次車の1500・1700番台は20次車同様ハイフンを用いた方式を採用しています。前者は川崎車両、後者は総合車両製作所で製造され、特に川崎車両製造の編成は同社独自の構造で雨樋の出っ張りが目立つようになり、増備再開から早くも目立つ差異が生まれました。またこれまでの6両と異なり、2・5号車は付随車サハとなっています。

外観は中央部に常用貫通路・貫通扉を設置しているため平面的だった1890番台から一転し非対称デザインを再び採用。しかし、標識灯は1890番台同等品になり、先頭車の乗務員室扉付近には座席が復活したため細い客窓を新設しています。主回路機器も同一品である一方、静止型インバータについては新型のRG4103-A-M形(東洋電機製)を初採用し、5号車のサハ1501-5に搭載しています。

車内は19次車までに準じていますが、側窓上部から天井までの化粧板が無地の桜色になっている他、中間車の車端部の一般座席側にはロングシートを2人掛けとして車椅子・ベビーカーのフリースペースを新設、また4人掛けボックス席と写真でも確認できる乗務員室直後の座席は1人分が独立した形状になりました。

細かな設計変更が見受けられる一方で車内案内表示装置は左右一体型の液晶画面が踏襲されました。ドアチャイムもこれまでと同様の音色です。

早くも登場からバリエーションが生まれている1000形1500・1700番台ですが、1500形の置き換えを達成する頃にはGTOサイリスタ素子によるVVVFインバーター制御のまま運用が続いている600形の置き換えも視野に入ってくる筈で、その際にはまた1000形の新しいバリエーションが生まれるのか今から興味深い点です。

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伝統復活へ向けての序章・・・京急1000形15次車・16次車

2024年03月17日 | 京浜急行電鉄

2007年より1000形ステンレス車の増備を開始してから8年目となる2015年には、15次車として6両と4両が2編成ずつ落成しました。この内の6両編成である1367編成は、車体はそのまま東芝製の永久磁石同期同期電動機(PSMS)を採用、4両編成は2本を併結した8両で都営浅草線直通を可能にするべく、正面中央に常用貫通路を設置する構造に設計変更されるなど、特異な仕様の編成として異彩を放っています。4両編成では、貫通式正面だけではなく、伝統的な赤い電車のイメージを持たせるべくカラーフィルムで紅白塗装を再現し、翌年の16次車にも反映されることとなりました。

4両編成単独で本線普通列車運用に充当中の15次車。紅白の塗装をフィルムで再現しています。丸みのある通常の1000形ステンレス車と比べると、平面的な正面スタイルが特徴で、別形式のようにも見えます。8両編成が重要部検査などの理由で不足した際など、フレキシブルな運用を実現出来るように設計され、実際に貫通路と幌を使用した2編成併結の8両で浅草線直通の他、成田スカイアクセス線の運用にも入りました。しかし、あくまで予備車ということか普段は単独で写真の普通列車や、12両快特の増結と浅草線には直通しない新逗子〜羽田空港間のエアポート急行などの運用が主体のようです。

本線特急に充当される16次車8両編成。塗装車体の17次車と比較すると、ドア周辺や窓枠などに銀の地肌が現れており、一目で判別出来ます。東京メトロなどはアルミ車体に同じ技法で昔の車両の塗装を再現しており、京急もその流れを汲んで16次車のスタイルが主流になるかと思いましたが、結局は伝統を重視し塗装車体を復活させたことには非常に驚きました。

15次車の車内は基本的に既存の無塗装ステンレス車を踏襲しており、オールロングシート配置にステンレス製ドアの仕様を受け継いでいます。変更点は主に乗務員室周り(非常用梯子の設置スペースを客室内側に確保したため旅客の店員が2名減少、仕切り扉を引き戸式に変更)に集中しており写真では変化が分からないですね(残念ながらこの日は先頭車に人がおり撮影が出来ませんでした…)

16次車車内設備。この編成から車端部ボックスシートや化粧板仕上げのドアが復活して、簡素(実際はそれなりのコストが掛かってますが)な印象があった15次車(15次車まではロングシートにメーカー標準品のステンレスドア)までの印象が払拭されました。17次車とは座席端の袖仕切にある透明な部分の形状が僅かに違い、液晶画面も通常の17インチ画面を2台と1台+紙の路線図の千鳥配置になっている点が異なります。

今や関東大手私鉄も標準化が進行して没個性化とも言われることが多くなりましたが、限られた制約の中で個性と伝統を守ろうとする姿勢は高く評価したいですね。

※2019年の記事を修正

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幸せを呼ぶ黄色い電車・京急1000形YELLOW HAPPY TRAIN

2024年01月01日 | 京浜急行電鉄

明けましておめでとうございます、2024年も鉄道界が明るい話題で盛り上がることをお祈り申し上げます。新年の記事一発目は京急から始めます。

京急では黄色い車体の電動貨車を保有しており、限られた区間での運転でダイヤも非公開ながら赤い車体に白の帯の旅客車両の中で一際目立つことから珍車として密かな人気を集めていました。その人気を受け、10001057編成に黄色塗装を施しKEIKYU YELLOW HAPPY TRAINとして201451日より運転を開始しました。既に運転開始から9年余りが経過していたKEIKYU BLUE SKY TRAINと共に、赤い車体の電車が大半の京急の車両群の中では文字通り異色の存在として現在も活躍しています。

全身が黄色くなった1057編成は2005年度増備の4次車で、SIMENS社の制御装置ながら半導体素子をIGBT化して音階は鳴らないタイプ(現在は東洋電機製に機器更新済み)になった他、行先表示に白色LED、種別表示にフルカラーLEDを本格採用しました。運用範囲は非常に広く、都営浅草線を始め京成本線・北総鉄道(成田スカイアクセス線)への乗り入れも行なっていますが、一日の運用は京急の公式HPで公開されており、姿を見ることはそれ程難しくはありません。

登場当初はドア部が銀色塗装であったことから、西武鉄道の通勤車両に類似した外観の為に両社のコラボレーション企画も実現しました。また2014年から3年程度の運転とされていましたが、好評につき期限を定めず運転を継続することなり現在の装いになったのは2017429日からのことでした。

制御装置は更新されましまが、車内設備は車内案内表示器の液晶画面化に留まっています。黄色で目立つ為か統一広告電車に起用される機会が多いようです。

換装された液晶画面は動画広告用は無く、全てが路線図や駅の構内案内図を表示するようになっており、情報量がLED表示に比べて大幅に向上しています。換装は比較的早期に行われ現在アルミ車体の1000形は全てこのタイプに改められました。

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歌わなくなって久しい京急新1000形(車体更新車)

2023年07月23日 | 京浜急行電鉄

マイナーチェンジを繰り返し現在は1500形の置き換え用として更に増備が続く新1000形ですが、かつては2100形と共に特徴的な音階調の磁励音を発するドイツ・SIMENS社製VVVFインバーター制御装置を搭載し「歌う電車」として知られるようになった初期製造の12次車から更新工事が実施されるようになり、2017917日には更新第一陣となった1001編成が公開されました。内容としては車内の化粧板・袖仕切りなど内装材の交換の他、固定式となっていた先頭車両乗務員室寄り・車端部の窓の開閉式化、屋上換気扇廃止と冷房装置更新などで外観にも変化が生じた他VVVFインバーター制御装置を三菱電機・東洋電機製造・東芝の国内生産品へ更新しており、形態差が非常に多い新1000形に更なるバリエーションが生まれています。

一番最初に更新を受けたトップナンバーの1001編成。報道公開を2017917日に実施し、営業運転には翌18日に復帰しました。この編成は三菱電機製の制御装置に換装され、16次車1177編成同様フルSiCを素子に用いたVVVF制御(MAP-194-15V296)となっています。更新前は都営浅草線・京成線・北総線への直通運用にも就いていましたが、更新後は何故か地上専用車扱いとなってしまい逗子・葉山〜羽田空港間のエアポート急行や朝夕の品川発着の列車で運用されています。

東洋電機製造IGBT-VVVFインバーター制御装置(RG6008-B-M)に換装された1009編成。2編成目となる更新車で、早くも形態差が生じることになりました。制御装置外観は2100形と酷似しており、磁励音も殆ど同じです。2019222日の出場以降、営業運転は線内運用に留まっていましたが、一ヵ月後の322日より直通運用に復帰しました。同一形式内で何故このような差が出来たのかは謎のままです。

ホームドアが設置されていなかった頃の京急川崎駅で、更新を受けたばかりの1次車とIGBT素子による歌わないSIMENS(既に更新で消滅)を搭載していた3次車イエローハッピートレイン、奥には6次車以降のステンレス車と3世代の並びです。

更新工事後の車内設備。化粧板や床材が新品に交換され、座席の袖仕切りがガラス入りの17次車に準じたものになり、やや明るい雰囲気になりました。急ぐ必要性が薄い為か、更新のペースはゆっくりですが、ゆくゆくはアルミ車全編成に及ぶのでしょうね。

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京急初のデュアルシート装備編成・新1000形1890番台(20次車)

2023年05月07日 | 京浜急行電鉄

設計変更を繰り返しながら増備が続いている2代目京急1000形は2020年度にも4両編成2本の8両が増備されますが、この編成は座席指定列車と貸切列車での運用を想定し、京急では初となるデュアルシートと中間車にトイレ設備(品川寄りサハ1000に車椅子対応型、浦賀寄りサハ1000に小用トイレをそれぞれ設置)を採用しています。この編成は愛称を一般公募しており、運用開始後の20211224日にフランス語で空を意味する「Le Ciel(ル・シエル)」と名付けられました。これは三浦半島や羽田空港の空を想起させることや、かつての週末行楽特急ラ・メール号(フランス語で海の意)への敬意を込めての命名とのことです。2022526日には、鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞し、2000形以来39年振りで2回目の受賞となりました。

設計のベースになった15次車と併結しエアポート急行の運用に就く1895編成。正面形状は常用貫通扉を備えた15次車を基本にする一方で、車体は雨樋が外に出ない滑らかな断面形状とされました。当初の目的通り団体臨時列車にも使用されますが、現在は平日のモーニング・ウィング号と他形式4両と併結した8両での土日祝日のエアポート急行がメインの運用になっています。

休日限定のエアポート急行運用時は常に浦賀寄りに連結位置を固定しており、貫通路を備えた15次車と連結する際も貫通幌は使用されません。日によっては1000形グループの他に600形や15004両との併結シーンも見られます。

ロングシートモードの車内。デュアルシート装備車ではありますが、クロスシートモードでの定期運用は平日のモーニング・ウィング号のみに留まっています。両先頭車は2007年のステンレス車から途絶えていた乗務員室後部の座席が復活し合わせて圧迫感を軽減する為に非常に細い側窓が設けられ話題を呼びました。

ドア上には1719次車と同一の左右一体型液晶画面と開く側の扉を示すランプを設置。クロスシート時を考慮して天井や妻面貫通扉上に設置しても良さそうですが、ロングシートモードでの運用が中心なのでドア上のみで十分用が足りているようですね。

現在は45本で定期運用も2100形の増結と停車駅の多い休日のエアポート急行の運用に留まっていますが、今後更に増備が開始されれば泉岳寺発着の快特や他社線への進出の可能性もあり、今後が非常に楽しみです。

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