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町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

本線系統で活躍が続く東武鉄道10000系リニューアル車

2025年03月25日 | 東武鉄道

1983年から吊り掛け駆動方式の旧性能車である7300・7800系の置き換え用として9000系を基本に地上区間用の汎用通勤車として製造された10000系は、登場から23年余りが経過した2007年より津覇車輌工業館林作業所にて大規模リニューアル工事が施行されるようになりました。これは主に車内設備の一新を主眼とする内容で、東京メトロ副都心線対応改造を受けた東上線の9000系に近い仕上がりにされています。工事は2010年まで続き、伊勢崎線で主に運用される6両編成9本(11601〜11609F)に施行されました。その後は30000系に置き換えられ東上線から転属して来た8両編成(11801・11802F)と、伊勢崎線に配置の後に2008年から増結用に東上線へ転出し再び伊勢崎線に出戻った2両編成(11201・11202F)が2014年〜2015年、更に2017年度には新製時より一貫して伊勢崎線に配置されていた11203・11204F)がリニューアル、2020年〜2021年には2両編成へのワンマン対応改造が施行され小泉線・佐野線・桐生線の各線で運用を開始しました。

伊勢崎線系統では日中は浅草〜北千住間と久喜〜館林間の普通列車を中心に運用される6両編成。朝夕ラッシュ時のみ10030系2両と併結した8両で区間急行・区間準急運用も設定されています。徹底したリニューアルが施行されたものの、2023年には11606Fが留置中に落書きの被害を受け運用復帰しないまま廃車、11609Fが続いて運用離脱、廃車とされました。一方で2両編成は2025年1月7日より亀戸線、9日より大師線で営業運転を開始し運用範囲が拡大され明暗が分かれる形になりました。

廃車になった11606・11609FはMG搭載(他編成はSIVへ換装済み)という共通点がある他、その後の廃車が10030系未リニューアル車へ移行しているので、余剰であること以外に予備部品確保という目的もあったのだろうと推察されます。

9000系副都心線対応車とほぼ同一の仕様になった車内。白を基調にした配色になり、ステンレス無地だった扉は化粧板仕上げの複層ガラスを採用した新品に交換され、見違える程明るくなりました。リニューアル当初の座席は50000系列と同じ淡いパープル系でしたが、同系列の座席がキュービックブルーの新モケットに交換されたことに合わせて更新されています。

車内案内表示装置は50000系列や9000系同様のLEDタイプとされ、千鳥配置になっています。後年の10030系にはLED表示の配線を再利用できるコイト電工のパッとビジョンを搭載した編成も現れました。

現在は再び10030系へのリニューアルが再開されているため、初期の10000系もしばらくは安泰だと思いますが、足回りが界磁チョッパ制御のまま存置されているため先行きが少々心配なところでもありますね。

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デュアルシート本格採用でライナー列車の転換点となった東武50090系

2025年02月05日 | 東武鉄道

東武鉄道の基幹路線の一つである東上線は、小江戸で知られる川越や秩父地方などの観光地を有しながらも伊勢崎線や日光線のように特別料金を必要とする優等列車の設定がなく、長きに渡り全線でロングシートの通勤車両が運用されて来ました。しかし2007年11月22日、座席定員制のライナー列車を新設することが発表され翌年2008年の6月14日に池袋〜小川町間にTJライナーを新設し、車内設備をロング・クロスシートの両方に転換可能なデュアルシート設備とした50090系の運転を開始しました。東上線系統に乗車券以外の料金が必要な優等列車が運転されるのは1949年〜1967年の間に春と秋との行楽シーズンに運転されていた「フライング・トージョー」以来久々のことで、初めて運転を開始した日は東京メトロ副都心線渋谷〜小竹向原間の新規開通と重なり、新たな時代の幕開けとなりました。

地上用50000系に準拠した外観ながら、オレンジに加えて東上線の路線カラーであるロイヤルブルーⅡの帯と斜字体で「TOJO LINE」のロゴを入れ一般車との違いを表現している50090系。側面の窓も設計が見直され、他社でも採用されている標準型2連ユニット下降式窓(東京メトロ10000系などと同じ寸法)に改められ屋根上の強制換気装置が設置されなくなり、ドアの手掛けも下部の1箇所設置になるなど細かい箇所が色々と変化しています。

現在は10両編成6本が在籍し、クロスシートではTJライナー運用の他に特別料金不要の川越特急に、またロングシートでは急行や準急など地下鉄直通を除く列車に幅広く運用され池袋〜成増間の各駅停車などの短距離列車に充当される姿も見られます。

クロスシート状態で運用中の車内。写真は2022年の撮影で、現在は伊勢崎線〜東京メトロ日比谷線系統のTHライナー向け70090系に準じた肘掛けを備える座席(モケットの色は従来通り)に交換が始まり、51095・51094Fに対して施工されています。関西私鉄では以前から採用されていたデュアルシートですが、首都圏の私鉄では本形式が初採用になると共に西武鉄道の「S-TRAIN・拝島ライナー」、京王電鉄の「京王ライナー」が後年登場しており私鉄に於ける有料座席定員制列車の転換点となりました。

車体設計の見直しが図られた一方で車内案内表示装置は従来通りLEDによるスクロール式をドア上に千鳥配置としました。転換座席を備えるため、妻面貫通路上にも増設されています。案内表示でも「この車両は、○号車です。」と表示していますが、座席指定運用時のため目立つ号車表示が貼られているのは本形式のみです。

本形式は2010年1月に、日本鉄道運転協会創立51周年の式典にて「東武東上線『TJライナー』の設定及び総合的な輸送形態の改善について」の内容が評価され東記念賞を受賞しました。その後他社に影響を与えていることも併せて標準型車両の中でも画期的な存在と言えるでしょう。

 

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還暦を迎えて一般営業に復帰した東武鉄道8000系・8111F

2024年12月25日 | 東武鉄道

1963年の登場以来、東武鉄道の各線に配置されていた8000系は登場以来実に40年余りの長期間に渡り、不慮の事故を除いて廃車が発生しないまま運用が続いていました。しかし2004年12月に伊勢崎線太田〜伊勢崎間と小泉線・佐野線・桐生線の各線で普通列車のワンマン運転化を進めるに辺り、対応する3両編成の800・850系へ東上線所属の8両編成を種車とし改造するため余剰になった付随車が廃車とされ、41年目にして事故以外で初の事例となりました。編成単位での廃車は2007年8月からで、伊勢崎線系統では50050系増備、入れ替わりで東上線には30000系を転用する形で廃車が進められ2011年6月30日には車内修繕は受ける一方、先頭車の前頭部は登場以来の形態を保っていた最後の編成である8111Fが定期運用を離脱します。離脱後は廃車になるかと思われた同編成は正面未修繕であることが幸いし、休車扱いを経て動態保存車に選ばれ2012年3月24日で東武鉄道から東武博物館所有になり南栗橋車両管区に移り塗装も登場時に変更、各種イベント列車に用いられるようになりました。

各種ツアーやイベントで活躍した8111Fですが、2020年の新型コロナウイルス襲来により稼働する機会が激減し、2021年頃には休車扱いになっていました。しかし2023年、東武鉄道から野田線に転属の上で営業運転に充当する発表があり、同年10月28日にツアーを兼ねて七光台支所へ回送され、11月1日より一般列車へ復帰しています。1963年の製造より60年目の出来事で、一度は保存車両になった編成が一般営業に再び戻る極めて珍しい事例となりました。東武鉄道では復帰に関して、6両編成を有効活用できる路線を検討した結果野田線で使用することになったとしています。

8111Fが営業入りしたことにより、入れ替わりで運用離脱〜廃車になった編成は8150Fでしたが、こちらも54年を迎えており8000系同士で尚且つ、最古参の編成で置き換えが実施される珍事も発生しました。正式な発表ではないものの、8111Fの復帰はメモリアル的な意味合いと共に、80000系導入までに8150Fの検査入場を避ける目的もあったのだろうと思われます。

2017年度の東武ファンフェスタで臨時列車用に残存していた急行用電車1800系と並んだ場面。2012年の保存後は登場時塗装になりますが2016年8月から2023年までは1974年から1986年まで見られたセイジクリーム一色塗装になっており、復帰前の整備で再び登場時塗装に戻されています。ちなみに前頭部に復元された標識灯は営業運転でこそ不使用ですが本物で、2012年11月18日の東武東上線森林公園ファミリーフェスタにて実際に点灯させている姿が確認されています。

車内は化粧板が修繕され、座席も緑系に交換済みですがドア内側は登場時をイメージした濃い目のクリーム色で塗装されており、他に在籍している車体修繕車とは違う雰囲気を出しています。所有は野田線転属後も変わらず東武博物館のままとされ、広告類が一切掲示されていないのも特徴です。

来年度から運用を開始する80000系も落成し、一時は8000系だらけだった野田線からも遂に引退が近づいて来ましたが、ワンマン対応車は今しばらく活躍が続くとはいえ8111Fの今後の処遇もどうなるか気になりますね。

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新型車代替計画が明らかになった東武鉄道9000系

2024年12月23日 | 東武鉄道

2008年上旬に1969年以来長らく主力車両として活躍した東急8000系が運用を終了して以来、VVVF車で統一された東急東横線ですが、2013年より東京メトロ副都心線を介した東武東上線との直通を開始するに当り、再び直流モーターのチョッパ制御車による運用が復活しました。 

それがこの9000系で、東武鉄道では2000系に続く地下鉄直通対応車として登場し、当時は普通鋼製車体・抵抗制御の8000系の増備が続く中で、東武鉄道初のステンレス車体と自動可変励磁チョッパ制御を採用し、新風を巻き起こしました。1981年に試作要素の強い量産先行車9101Fが1編成登場し、量産車は有楽町線との直通を開始を控えた1987年より10両編成6本(9102F〜9107F)を導入しています。1991年に車体をコルゲートからビードプレス車体に設計変更した9108F、1994年にはビードプレス車体に制御装置をVVVFインバーター制御化した9050系(9151F・9152F)も加わり、10両編成10本の小世帯にしてはバリエーションがあることも特徴です。

2008年に東京メトロ副都心線が開通することに伴って、ATOによるワンマン運転とホームドア対応改造が必要になり、東武側は50000系グループの副都心線対応版である50070系の導入を発表しましたが、9000系もドア位置が異なりホームドア対応が不可能な9101Fを除き対応改造を受けることになり、運転台機器の交換や車内設備の更新を受け運用を開始。2013年には東横線・みなとみらい線にも予定通り直通運転を開始し現在に至ります。

化粧板や座席、客用扉、妻面貫通扉を新品に交換し大型袖仕切りを設置して50070系のイメージに近付けられた車内。以前は10030系や20000系と同じ配色でしたが、以前とは比べ物にならないくらいに明るく清潔感のある車内になりました。

ドア上に新設された車内案内表示はLED1段スクロール式の50000系グループと共通のもので、千鳥配置になっています。運用される全区間に対応していますが、50070系は初期車両が液晶画面化を行っている最中なので、情報提供量では見劣りするようになってしまいました。

ホームドア対応が困難なことから地上線専用車になっていた試作編成の9101Fが2023年10月16〜17日にかけて初の廃車が発生、約半年後の2024年4月30日には鉄道事業設備投資計画で9000系列置き換え用の新型車両の計画が明らかになり、いよいよ引退が目に見えて来ました。今や東京都心部に乗り入れる数少ないチョッパ制御車ということで、量産車全編成が健在のうちにじっくり楽しんで記録したいところです。

※2019年の記事を加筆・修正

 

 

 

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新形式の登場で今後の去就が気になる東武鉄道10030系(50番台)

2024年10月13日 | 東武鉄道

8000系の置き換えが進んだ現在の東武鉄道各線で主力車両として活躍しているステンレスの10000系グループの内、ビードプレス車体に設計変更した10030系は伊勢崎線・東上線の幹線での運用が長らくメインでした。しかし新系列の増備や運用変更などから野田線への転属が2013年に初めて発生、同年4月20日より10030系50番台(以下10050番台として記述)の11652Fが営業運転入りし同線の歴史では初めての軽量ステンレス車となりました。その後は中間に入る先頭車の付随車化や車内リニューアル改造、ワンマン対応化など大規模な更新を受ける編成が現れる一方で改造を受けず先輩格の8000系よりも先に廃車された編成もあり、明暗が別れた形となっています。野田線には10030系リニューアル編成と未更新のままの10050系がそれぞれ転入し、このまま安泰かと思われましたが、2024年4月16日に東武鉄道は新形式80000系の導入を発表し同時に既存の60000系も共に5両編成に減車することを発表し8000系と共に置き換えが決定的になりました。

野田線で急行に充当中の11651F。野田線転入に当たり帯色変更・ロゴマーク貼り付けと自動分併装置の撤去が施工されています。10050番台は1992年からの増備分で冷房装置のカバーが連続型になり車内にも補助送風装置を新設した他、途中駅での連結・切り離しを迅速に行うため先述の自動分併装置付き密着式連結器を装備し伊勢崎線系統に多く配置されました。

10000系グループの中でも経年が新しいグループですが、80000系への置き換え後は本線復帰も…と予想されましたがリニューアルも受けていない事や自動分併装置の再設置が必要になること、また2025年時点で経年も30年余に達するため直接廃車にされてしまいそうです。

東上線系統にも6両と4両を固定編成化した10030・10050系が数多く在籍し、VVVFインバーター制御への改造を受けた編成も存在しますが未更新のままの編成も数多く残っています。東上線では東京メトロ有楽町線・副都心線への直通運転対応車として9000系が在籍していますが、こちらは置き換えが発表されており未更新で界磁チョッパ制御のまま残る10030系グループも近い将来は確実に何らかの形で一部のリニューアル車以外は置き換えが進められることが想像されます。

車内は前回記事にした10030系と同じ配色、座席配置ですが天井に補助送風装置が設置されており若干印象が変化しました。さすがに車内案内表示・自動放送ともに未設置のため陳腐化している印象は否めないですね。

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