京王電鉄は2025年2月7日に9000系リニューアルを発表し、都営新宿線乗り入れ対応の10両編成200両に対し順次施行することが明らかになりました。主な内容は車内設備リニューアルの他にVVVFインバーター制御装置の更新(IGBT素子からフルSiCへ)で、これにより現在の9000系より消費電力を約20%削減するとされています。最初の施行はサンリオキャラクターズラッピングトレインの9731Fで、外装ラッピングも新デザインに変更し2025年3月8日に報道陣へ初公開され、同日には若葉台検車区にて撮影会も実施されました。営業運転への復帰は3月10日で、都営新宿線直通の81K運用から再開されました。
2018年の登場以来、全身ピンク色にサンリオキャラクターをデザインした車体で一際目立っていた9731Fですが、リニューアル後は正面を濃いブルーとして側面は他編成同様にステンレス+色帯のまま戸袋に京王の制服を着用したキャラクターを配するデザインになりました。正面にはヘッドマークも掲出されており、以前のデザインとは色を反転させたような形になっています。種別・行先表示のLEDも新規品に交換されているようで、作例は1000分の1シャッターで撮影していますが、切れることなく明確に写るようになりました。
正面は他編成との違いが明らかな為インパクトがありますが、側面は東京都の広告物に関する条例をクリアするためキャラクター以外従来通りに戻っているので、全身がピンク色だった2018年からの仕様と比べると、やや簡素化された感は否めなくなってしまいました。この当時はドア注意ステッカーもサンリオの特別仕様が貼られていましたが、今回は特に用意されず通常の広告を貼り付けています。
車内設備はこれまで暖色系でしたが、グレートーンの色調で統一され大幅に印象が変わり、高級感のある内装になりました。座席は背摺りを幾何学模様のグラデーションで商業施設や高層ビルが並ぶ都心の風景を、座面は八王子市の伝統工芸品である多摩織物をイメージしており、郊外から都心へ移り変わる明るい街並みを表現したとのことです。袖仕切りもビル街のイラストが入ったクリア部分を備えた大型仕切りになりました。ちなみに仕切りのビルの間にはよく見ると天狗が描かれています。
ドア上の車内案内表示器は、現在の流れではリニューアル時には液晶画面に換装されることが多いですが、8000系と同じくLEDのまま存置されました。開閉時の注意喚起のランプも未設置で文字の書体も変化していないため、ここだけは何も手を入れていないようです。
今後は他編成も順次更新を受けることになりますが、京王線専用の8両編成についてはリニューアル対象外とされており、こちらも7000系の引退に備えて将来的に編成組み換えなどが発生するのか注目したいところです。