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町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

千代田線の顔・東京メトロ16000系(1〜3次車)

2021年10月07日 | 首都圏の地下鉄

東京の地下鉄の象徴的な存在だった千代田線の6000系置き換え用として16000系がお目見えしたのは2010年の事で、在来車に於いても省エネルギー・快適性を重視した車両を製造して来ましたが本形式では新たなコンセプトとして「環境」を掲げています。車両デザインはJR東日本の旅客車両でお馴染みの奥山清行(Ken Okuyama)氏が手掛けており、先代6000系に劣らない斬新なイメージの車両に仕上がっています。走行機器については東芝製で全密閉構造のPMSM(永久磁石同期電動機)をJR東日本E331系に続いて採用しましたが、こちらがDDM(ダイレクトドライブモーター式)であったのに対し通常の歯車減速式駆動方式では日本初の採用例になりました。

最初期に登場した1次車(1610116105F)5編成は、プラグ式の非常用貫通扉が中央部に設置されている均整の取れたデザインでした。しかし乗務員サイドから運転席より前方右側の視認性に若干難ありとの意見が出たため、早くも設計変更されることになります。

2次車からは貫通扉が車掌台側にオフセットし、非対称の正面スタイルになりました。写真は小田急線の複々線区間を走行する姿ですが、2018年の複々線完成に伴うダイヤ改正以降日中の運用の大半が緩行線を走行する準急に建て替えられた関係で、昼間時の明るい時間に撮影出来る急行運用は土日祝日限定となってしまいました。

有楽町線・副都心線用の10000系で確立した強化ガラスを多用する車内は本形式にも引き継がれ、座席の大型袖仕切り部にもガラスが用いられるようになり白を基調にした化粧板と相俟って非常に開放的な空間に仕上がりました。

車内案内表示器は17インチワイド液晶画面でIPコアは三菱電機セサミクロが用いられており、高品質アニメーション表示を可能にしています。ドア点検蓋を兼ねる筐体はアルミ成型品ですが、内装に合わせて塗装を施すなど拘りが伺える部分です。

初期車の初登場から既に11年が経過した16000系ですが、現在は千代田線のワンマン化に向けての改造工事が開始され、16129Fが第一陣となり車内監視カメラやワンマン機器を搭載して出場しました。今後も長く千代田線の主力車両として君臨することでしょう。

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引退が迫り来る都営浅草線5300形

2021年08月13日 | 首都圏の地下鉄

2018年より浅草線リニューアル・プロジェクトの一環で導入されている5500形と入れ替わりで廃車が進行している都営5300形ですが、残存数が遂に53195320編成の82本のみとなりました。1991年から1997年に掛けて8両編成27本の合計216両が製造された同形式は、いずれも車齢30年を超えない内の廃車が進められ通勤電車としては早期の引退を迎えることになってしまいました。

本形式の車体は都会的センスあふれる斬新なイメージをコンセプトに掲げ、日立製作所デザイン研究所がデザインを手掛けており、146次車は日立製作所製ですが、2次車は川崎重工業、35次車は日本車輌製造、57次車を近畿車輛と4社で分担して製造されています。同時期に12号線(現在の大江戸線)用の12-000形で初採用したVVVFインバーター制御・LED式行先表示などの新機軸をふんだんに盛り込み、非冷房・抵抗制御の5000形が主力だった1991年当時は大幅なサービス向上になりました。現在も運用中の53195320編成は5次車で、1994年度に近畿車輛で落成しています。

エアポート急行で京急本線を走行する5324編成。土日の41T運用は都営車を充当しながら、ほぼ終日に渡り羽田空港〜逗子・葉山間の京急線内のみで完結する珍しい運用です。写真の編成は1995年度の落成ですが、20201213日に運用を終了し、同月16日に廃車となりました。

5500形が初お披露目された都営フェスタ2017での場面。正面スカートの短い初期車と寸法を長くした後期車の2本と並べられ展示されました。初期車の形態は2021年5月に廃車となった5314編成を最後に消滅しています。

車内設備は路線名の由来でもある浅草のイメージし、隅田川沿いに咲く桜の並木道を表現しています。2000年度から開始されたC修繕工事(登場10年程度の車両に施工する簡易な工事)で座席やカーテンが交換されイメージが変化しました。2010年からはバリアフリー対応工事が追加で実施されドア付近の床の黄色化や警戒テープ貼り付け、座席へのスタンションポール設置、車椅子スペース増設などが施工されています。2010年に入ってから新形式導入の計画が浮上したため、走行機器更新を伴う大規模修繕工事(B修繕)は見送られました。

アルミ合金車体の18メートル車両ということで、地方私鉄への譲渡も期待されましたが、標準軌で短編成化には機器の移設が必要になる点が敬遠されたのか、今日に至るまでついに発生することは無く、廃車後は全ての車両が解体処分になってしまいました。現在の2編成も運用終了後は同じように解体される事と思いますが、比較的経年は新しい部類に入るので活用の道が見つからなかったのが残念なところです…。

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廃車が続々と進行する丸ノ内線02系(後期車)

2021年06月27日 | 首都圏の地下鉄

丸ノ内線は1954年の開通から長きに渡り初代車両の300形を筆頭に真っ赤な車体の電車が走る路線として親しまれてきましたが1988年より現在の02系へ置き換えが開始され、本線である池袋〜荻窪間は1995年に、方南町支線には仕様を簡素化した80番台3両編成が導入され1996年に完了しています。その後2004年に東京メトロに移行してからはホームドア設置によるワンマン運転の開始や初期車両への大規模更新工事など比較的目立つ動きが見られましたが、02系による6両編成53本・3両編成6本の体制は変化することなく運用されて来ました。しかし東京メトロでは新形式の2000系電車を2019年初頭より運行開始することを発表。初期車も更新工事を受け全編成のVVVF化を達成し、これまで安泰だと思われてきた02系が全編成置き換えられることになり、中野坂上~方南町間の支線で運用している3両も消滅することになってしまいました。

唯一丸ノ内線の列車を直線で撮影できる後楽園駅で7次車の50編成を捉えました。この編成は1994年から残存する旧型車の500形を完全に置き換える為、6両編成19本が製造された本線向けの最終増備グループです。5次車である19編成までは高周波分巻チョッパ制御でしたが、20編成以降はIGBTによるVVVFインバーター制御に変更され、当然7次車もそれを踏襲しました。スカーレットの帯に細い白を加えていますが、これは丸みのある前頭部とともに初代車両の300形の面影を残すため、このようなデザインになりました。なお旧型車(300・400・500形)では編成によって東京都中野区の中野検車区と文京区の小石川検車区に所属が分かれていましたが、02系は全車両が中野に所属しています。

JR東日本の中央線・総武線と交差し雑誌などでもお馴染みの大手町~御茶ノ水間で神田川を渡るため地上に顔を出した02系29編成(6次車)。丸ノ内線は第三軌条の地下鉄路線ながら比較的地上区間が多く、太陽の下を走行する電車の姿を容易に見ることが出来ます。写真の29編成は2019年7月に廃車になり、1993年の新製から26年の活躍でした。大規模修繕工事の関係で、経年の新しい後期車グループから続々廃車が進行するとは、他社でも類似した事例があるとはいえ何とも皮肉です。

車内設備は暖色系で、床を2色にすることで着席時の足の投げ出しを抑止する効果を狙っています。歪曲した手すりは後年設置されました。座席と同じモケットが巻き付けられた手摺りは1990年代の営団地下鉄車特有の仕様です。

ドア上の車内案内表示は登場時は路線図式で、その後一部がLEDスクロール式に交換されましたが、初期車両の修繕が進むにつれ、後期の製造組もコイト電工の“パッとビジョン”に更新されるようになりました。ただしドアチャイムは旧来の営団地下鉄タイプのまま存置されています。

兄弟的存在な銀座線の01系が架線集電式に改造され熊本電鉄に譲渡された為、18メートル車体の3ドア車という事で02系も地方私鉄からの打診が期待されましたが、第三軌条集電の改造は手間が掛かるのか国内譲渡は発生せず、フィリピンのFEATI大学に02-15102-2512両が教材として寄贈されたのが唯一の事例になりました。後期製造組は間もなく置き換えが完了してしまいますが、国内でも何らかの形で活用される事を期待したいですね。

※2018年の記事を修正

 

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21世紀に蘇った赤い貴公子・東京メトロ2000系

2021年06月07日 | 首都圏の地下鉄

丸ノ内線では長らく赤い電車として親しまれた300400500形の置き換え用に1988年〜1996年に掛けて02系を導入し、6両編成53本と方南町支線向けの3両編成6本の陣容が続いていました。2009年からは高周波分巻チョッパ制御で新製された初期車を対象にB修と呼ばれる大規模更新が実施され、永久磁石同期電動機を採用したVVVFインバーター制御化や室内更新により更なる長期間の活躍が見込まれましたが、丸ノ内線に導入予定のCBCT(無線式列車制御システム)02系が対応出来ない事を受け、2020東京オリンピックの決定もあり東京メトロの魅力を発信するべく新形式の2000系を登場させました。

銀座線向けに導入された1000系の技術を更に発展させ、フルラッピング車両として開通時に運転されていた初代車両300形の車体色であるグローイング・スカーレットを再現し、サインウェーブはホームドア設置が完了している為上部に配置し車端部を円型の窓とした特徴的な外観で新形式ながらレトロ感覚も併せ持つ車両に仕上がりました。本形式は従来の02VVVF車と比較しても大幅な消費電力の低減を図った為、「令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」(対策技術先進導入部門)並びに「2019年度省エネ大賞経済産業大臣賞」(製品・ビジネスモデル部門・輸送分野)を受賞しています。

地上の四ツ谷駅で02(B修車)と並んだ2000系。初めて2000系が登場したのは2019年の事で、赤い貴公子の愛称でも名を馳せた300500形の引退から実に23年の歳月が経過していました。現代の技術で蘇った赤い電車を見て、斬新と受け取るか懐かしさを感じるかで世代が分かれそうですね。

車内設備は路線カラーでもある赤・黒のコントラストを付けたシックな空間をコンセプトに掲げました。化粧板・床面はピンク系で吊り手は300形の登場時に設置していたリコ式吊り手を模した特徴的な形状で、旧型車のモチーフが其処彼処に感じられます。車椅子・フリースペースは池袋側に設置され、通勤型電車では初の電源用コンセントも用意されるなど、サービスが大幅に向上しました。

車内案内表示は日比谷線向けの13000系と同様に17インチ液晶画面を3台設置し、左側は動画広告を表示しています。

今後2000系は2023年度末までに6両編成52本が出揃い、既存の02系は順次引退となりますが21世紀の東京に再び赤い地下鉄電車が蘇った事は、旧型車の最後の活躍を僅かながら知る世代としては実に感慨深いものがあります。今後は銀座線の1000系のような、より旧型車に近いデザインで日常的に運用される特別仕様車などの登場にも期待したいですね。

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首都圏地下鉄ネットワークの新鋭・東京メトロ17000系

2021年05月08日 | 首都圏の地下鉄

有楽町線・副都心線では経年40年を超える7000系が主力として運用されており、後継車の導入が注目されていましたが20191111日に17000系の概要と導入計画が発表され、本格的な置き換えが開始される事になりました。運用範囲が広い為、20201月の落成後は試運転と乗務員訓練を行い営業運転は約1年後の2021221日から開始し、現在は有楽町線と副都心線の全区間と相互直通運用にも充当されています。

Fライナー特急で東急東横線を走行する17101F2006年登場の10000系の流れを汲んでいますが、曲線を多用し丸型のライトケースで独自性を持たせた柔和なデザインとしています。側面帯はゴールデンイエローにブラウンの細帯で、配置が変わった事から印象が変化しました。10両編成は日立製作所、8両編成は近畿車輛と編成でメーカーが分かれているのも特徴です。

有楽町線直通準急で西武池袋線内の複々線区間を快走する17102F。10両編成は既に所定の6本が出揃っています。営業運転を目前に控えた2020101日には日立製作所と共同でグッドデザイン賞を受賞する栄誉を授かりました。

強化ガラスを多用して地下区間でも開放感のある空間を目指した車内。配色は有楽町線と副都心線のラインカラーに同調させたデザインで、座席のイエローやブラウンの吊り手が特徴的です。

車内案内表示はオーソドックスな17インチ液晶画面で、防犯カメラも併設されています。銀座線や日比谷線では3画面の大型ディスプレイになった為、採用されなかったのは少々意外でした。

今後は8両編成15本が近畿車輛で製造される事になっており、2022年までに7000系の置き換えを完了させる予定です。昭和から令和まで、長い間見慣れた車両がまた姿を消すことになり、新時代の始まりを実感させられます。

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