町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

地上線区間の主力、東武鉄道10030系(未更新車・東上線)

2022年03月28日 | 東武鉄道

東武鉄道は1983年より地下鉄有楽町線直通用の9000系をベースにした地上専用通勤車として10000系を登場させましたが、1988年からの増備車は正面形状を8000系修繕車に類似した形態とし、凹凸の少ないビードプレス車体やボルスタレス台車の採用など各部に設計変更を実施した10030系に移行しました。主に伊勢崎線・日光線の末端区間や野田線で当時運用されていた旧性能車の更新車で非冷房の3000系列置き換えの為に導入され、1989年からは東上線にも配置されるようになり自社線内の主力車両になりました。2013年からは8000系置き換えの為に伊勢崎線系統から野田線への転属も発生しており、系列内ではバリエーションも多く存在し趣味的な興味も尽きないグループです。

1989年に登場した10両固定編成の11031F。運用に柔軟性を持たせる為に本線・東上線共に6両と4両で導入していましたが、当編成と11032Fの2本は先頭車が中間に入らない10両貫通とされ収容力が向上しました。なおもう1本の11032Fはリニューアル工事とVVVFインバータ制御化を施工され、大きく姿を変えています。

同じく東上線所属の11634F(後部411455F)1990年の新製導入以来、一貫して東上線で運用される編成です。11032F以降は再び6両と4両が中心になり、当編成は6両編成でしたが201210月に11455Fと組み事実上10両固定編成とされ、中間に入る先頭車は前照灯や運転台機器撤去、転落防止幌の設置を行い付随車化されています。

現在のところ東上線所属車のみで見られる中間に封じ込められた元先頭車。小田急電鉄や京王電鉄は6両+4両の10両貫通化に際して前頭部を切断し新たな車端部を接合する大工事を行なっていますが、東武鉄道では最低限の改造に止まっている他、車両番号の末尾を特に揃えていないなど方針の違いがよく現れている部分です。

車内設備は9000系・10000(更新前)と基本的に共通ですが、客用扉内側はステンレス無塗装から化粧板仕上げになり印象が変化しました。写真は1990年までに製造された30番台車で、1991年の増備車では吊り手が三角形になり、1992年度からの50番台では補助送風装置(ラインデリア)が設けられています。

現在はリニューアル工事を施行された編成も存在し、今後も活躍しそうな雰囲気ですが、一方で未更新のままの編成も数多く残っており、近い将来の8000系完全置き換えなどとも関連して何らかの動きが発生することが予想でき、今後に注目したい形式です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東武6050系、日光線・鬼怒川線から事実上引退へ

2022年03月15日 | 東武鉄道

東武日光線(南栗橋〜東武日光間)・鬼怒川線普通列車は312日より20400系によるワンマン運転を開始し、1986年以来活躍して来た6050系が鬼怒川温泉以南での運用を終了しました。日光線・鬼怒川線共に関東大手私鉄では珍しく、クロスシート主体でトイレ設備を備えた車両が運用される路線でしたが、今年のダイヤ改正で普通列車は全てロングシート・トイレ無しの一般的な通勤型電車に統一される事になりました。

6050系最後の運用を担当したのは日光線開通90周年を記念して先代6000系の塗装を再現した6162F6179F4両編成でした。国鉄と競合していた東武日光線では、長らく特急車以外にも特別料金不要なクロスシートの快速・普通列車が運用されて来ましたが、その歴史に終止符が打たれた事になります。

20400系への置き換えが進捗しながらも、新藤原600発の区間急行の折り返しである南栗橋824分発の新藤原行きは6050系固定で最後まで残り途中の下今市では会津田島からの東武日光行きに、終点新藤原では野岩鉄道・会津鉄道の会津田島行き(どちらも6050系で運用)に接続する貴重な列車となっていました。

元・地下鉄直通車と快速用2扉クロスシート車が共存する光景も終焉です。312日からは野岩鉄道新藤原〜会津高原尾瀬口間の運用が基本になり、夜間に僅かに鬼怒川温泉までの運用が設定されるのみとなります。

リバイバルカラー編成の車内。先代6000系のイメージに近づけるべく、らくだ色と呼ばれる金茶色のモケットに交換されており通常の6050系とは大きく印象が異なります。2019年に6162Fがリバイバル化された際は各種団体ツアーにも充当されました。

先代6000系を更新する形で登場し、その後は首都圏から東北地方の会津を結ぶ長距離ランナーとして長らく君臨した6050系ですが、遂に東武鉄道の路線からは事実上引退を迎えることとなりました。野岩鉄道に残る編成についても、遠くない将来の引退が予想されますが、その際はどのような車両運用になるのか、今後に注目したいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【悲報】東武6050系、日中運用を大幅に削減

2022年01月26日 | 東武鉄道

元日比谷線直通車だったワンマン対応20400系グループ転用改造の進行に伴い、2021127日より南栗橋〜東武日光間に設定されていた下り急行運用からも撤退するなど動向が注目される東武6050系ですが、今年2022年のダイヤ改正で日光線・鬼怒川線ワンマン化と会津鉄道の電車による普通列車の運転廃止の発表で、日中の運用は基本的に終了することになってしまいました。3月以降は朝夕の一部列車と野岩鉄道線内でのみ細々と運用されるようです。

南栗橋824分発新藤原行きに充当される6050系。朝の急行運用は終了してしまいましたが、この運用は6050系のまま存置されました。下今市以南の運用が減少した現在では数少ない長距離列車となっており、終点の新藤原では会津田島行きに連絡しています。

会津鉄道の会津田島から直通して来た普通列車下今市行き。写真は野岩鉄道所属車で3月以降も続投予定です。ダイヤ改正後の時刻表を見ると、1本のみ夜間に東武日光行きが設定されているため、完全に撤退というわけではないですが日中の運用削減で乗車はもちろんのこと、明るい時間帯に走行する姿を撮影するのも難しくなってしまいますね。

吊り掛け駆動の5000系グループが淘汰された2006年からは日光線・鬼怒川線の普通列車運用にも充当されていたため、こうした6050系同士の並びは珍しいものではありませんでしたが今や見る事は難しくなりました。

国鉄の客車か急行型電車を思わせるボックスシートでゆったりとした旅を楽しめるのも残り僅かな期間となりました。全廃までに乗車・撮影共々沢山楽しんでおきたいですね。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

栃木ローカルの新しい主役・東武鉄道20400系

2020年12月07日 | 東武鉄道

2017年からの70000系導入により、置き換えられ余剰になった20000系グループは余剰車を4両編成化の上、ワンマン対応改造を施工することが明らかにされ、20186月に新たに20400系となることが発表されました。同年93日からは8000系置き換えの為に宇都宮線を中心として運用を開始しています。改造種車により相違点が存在し、20410全車両20070系、20420先頭車20000系・中間車20070系、20430先頭車・中間車共に20050(先頭車は元5扉車)20440先頭車20000系・中間車20050(モハ23440のみ元5扉車)と多岐に渡るバリエーションがあることが特徴です。

全車3扉で整った外観ですが、先頭車は20000系、中間車は20070系で構成されている20422F。両者は戸閉装置の違いからドア開閉時の動作音が異なる他、元20070系はドアの取っ手が窓より下に設置されている為容易に判別可能です。外観の紺色の帯はSL大樹号をイメージしており黄色は警戒色として入れられたそうです。

20000系と20050系で構成される21442F1(写真手前から3両目)のみ元5扉車で、扉部分を閉鎖の上で開閉可能な窓を設置している為に改造車然とした外観が目を引きます。

白い化粧板とブラウン系の座席に一新され地下鉄直通用の70000系に近いイメージになった車内。寒冷地の運用に備えて側扉は半自動機能が追加され開閉ボタンが設置されました。全てのドア窓には広告代わりに半自動扱いを知らせる注意書きが貼られています。

車内案内表示器は2005020070系時代はLEDのものを設置していましたが、転用に際してコイト電工のパッとビジョンに換装されドアチャイムも東武鉄道オリジナルから旧営団チャイムに変更されました。これらは元20000系にも新規設置されています。

20400系列は宇都宮線の8000系の他、南栗橋〜新栃木間で運用されていた10000系列を置き換え、南栗橋発着の列車は朝夕を除き東武宇都宮方面の運転が基本になり6050系の運用も大幅に削減されましたが、2020119日からは更に新栃木〜東武日光間と鬼怒川線への運用拡大が発表されました。現在は新栃木〜東武日光間の1運用置き換えに留まっていますが、今後は急行・区間急行への進出も予定されており栃木以南で6050系の姿を見ることが出来なくなる日も近づいて来たようです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

運用が減少する東武鉄道6050系

2020年12月01日 | 東武鉄道

2017年4月まで、東武鉄道には浅草~東武日光・会津田島間を結ぶ快速列車が設定されていました。3社5路線(東武伊勢崎線・日光線・鬼怒川線・野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道線)に跨る200キロ余りの区間を3時間以上かけて走行する私鉄随一の長距離列車であることと、6両編成の内、前2両会津田島行き、中間2両鬼怒川温泉(鬼怒川公園)、後2両東武日光行きのパターンを基本としており、分割と併合を繰り返す国鉄の急行列車を彷彿とさせる運転形態で知られた存在でした。その列車に1986年から用いられてきたのが6050系で、乗車券だけで利用できる充実装備のクロスシート車両として人気を集めましたが、現在ではその役割を特急リバティに譲り日光線南栗橋以北に活躍の場が限定されています。

朝の上り区間急行で運用中の6050系。南栗橋〜新栃木間は20400系によるワンマン運転が主体となり宇都宮線直通が基本になった為6050系運用は大幅に削減されました。2020年11月9日には20400系の運用拡大が発表され、日光線新栃木以北への進出と急行への充当も予定していることから、今後は6050系の南栗橋乗り入れも更に減少してしまいます。

廃止された快速の代替として新設された南栗橋発着の急行に充当されている野岩鉄道所属編成61101F。6050系は初代快速用6000系の車体更新車両ですが1985年に下回りを含めて完全な新規製造車が登場し、その内1985年落成の61101F1986年度に61102F1988年には拡大する需要に対応するために製造された7編成の内61103Fが野岩鉄道に譲渡されています。このあと1990年には会津鉄道の電化開業に伴い、61201Fが新製され譲渡されました。手続きを簡略化する為にこのような措置で登場した両社の編成ですが、特に運用上東武鉄道所属車と区別はされないことから、東武線内で完結する運用にも入ります。

関東私鉄では珍しいボックスシート主体の座席配置の車内。蛍光灯にはダイヤカット模様のカバーが付き、通勤車両と同じ両開きドアを除けば、どことなく急行型電車に近いスタイルです。朝の急行では南栗橋を出ると、栗橋・板倉東洋大前・新大平下・栃木・新栃木・新鹿沼・下今市・東武日光と特急並みの停車駅と所要時間(約1時間20分)で走破し、かつての長距離快速を彷彿とさせる走りを楽しめますが、今後は20400系の充当も増えて行くようです(2020年11月9日時点では急行・区間急行は全列車6050系を使用)。

6050系の特徴的な設備として、乗務員室仕切扉上に設置された行先表示器があります。これは快速で分割併合を行なっていた頃に旅客の誤乗防止を防ぐ為に設けられました。

長らく日光・鬼怒川へのアクセス列車として高い人気を誇っていた6050系ですが、既に足回りは6000系時代から数えると50年半ばの歳月が経過し、老朽化が深刻な更新車両には多数の廃車も発生しています。今後は新栃木以北で運用する為の新造車グループが残存することが予想されますが、残り少なくなった旅情を感じさせる近郊型電車なだけに、少しでも長く活躍してくれることを祈るばかりです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする