新作 ～ 「妖精の結婚式」 その５６

ところで、こんな記事見つけました。

　ちびっこ達の短冊発想力豊かすぎ

カオス、ですねぇ。

このちびっこ達にも、かつてのちびっこさん達にも、
素敵な七夕の魔法がかかりますように。


2014年6月10日～ブログ直接投稿　「妖精の結婚式」　その５６

　　外からの明かりを頼りに
　　花びんを　テーブルに置いた
　　台所に戻って　数年ぶりに梅酒を取りだす
　　梅の実が液体の中で　ほんのり光って
　　物思わしげに　揺れていた

＜つづき＞

小皿に梅の実をとって　花の傍に置いた
窓を少し開けて　外の空気を入れる
キャンドルライトのような　光る花の下
酒漬けの梅を　ちびちびつまんだ
虫になったような気分がした

虫なら　あの庭にはいられないな
バチリと消えた　黒い虫を思った
カエルたちは　どうしてるのだろう
暗い部屋から　外をぼんやり眺めた
妖精がもう　何もかも良くしてるのかな

ひんやりした夜の風が　窓から流れた
蒼い妖精が触れようとした　額を
指でそっと　触れてみる
明日ちょっと　様子を見てみようかな
さやかさんは立って　窓辺から外を見た

外から　ちょっと様子を窺うだけ
それくらいなら・・邪魔じゃないよね？
さやかさんは　窓枠に手をかけて
ガラス越しに　街の向こうを遠く眺めた
ガラスにぼんやり　自分の顔が映った

そうだあの梅・・と　さやかさんは
台所で　ほのかな光を放って見える
梅酒のビンを　振り返った
発酵がどうこう　言ってたから
ああいうものも　好きかもしれない

ダメだったら　持ち帰ればいいし
さやかさんは　自分を納得させるように
ぐずぐずと　窓ガラスを爪で叩いた
明日行ってみよう・・と　心につぶやいた
そして窓を閉め　ぱちりと電気を点けた


＜つづく＞



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新作 ～ 「妖精の結婚式」 その５５

ども、今日は七夕ですねっ。

毎年この祭りには、何か清々しくも壮大なものを感じるのですが、
残念ながら一度もそれを表現できた試しがありません。

今年こそはっ、と思ってたのですが、この「妖精～」にかかりっきりで、
今年も無理でした。

いつかはチャレンジしてみたいです。

あ、それが今年の七夕のお願い事かな、うん。

いや、その前に目の前の茶菓子を何とかして下さい、が先ですね。

皆さまは、どんなお願い事をお持ちですか。

続きでーす。


2014年6月10日～ブログ直接投稿　「妖精の結婚式」　その５５

　　胸の中の固い　真っ暗なものが
　　ドクン　と震えた気がした
　　バラを買って　アパートに帰る
　　花びんがあったはずと　キッチンを漁る
　　どうしてもこの花に　水を与えてやらねば

＜つづき＞


コツンと　手に何かが触れた
作りすぎたのと言って　何年か前に
母親に持たされた　梅酒のビン
要らないと言うのに　聞かなかった
ビンに転がる　実家の庭の丸い梅の実

花びんは　その傍に置いていた
はさみを取り出し　蛇口から水を流す
花の持ちのために　水の中で茎を切る
ざくっと切って　花びんに入れた
金属ガ痛イ・・　ああ誰かそう言ってたっけ

部屋が暗いと　さやかさんは思った
部屋は　灯りをつけてなかった
よくこれで見えたなと　スイッチを押す
ザクリと電気の光が　視界を切り裂いた
ペンキのようなバラの赤が　目に痛かった

少し迷って　電気を消してみる
物みな影に見える　暗い部屋で
バラだけが　うっすら明るく見えた
花の赤も　葉や茎の緑も
うすぼんやりと　でも確かに見てとれた

これ・・ただのスーパーの花だよね
さやかさんは　花をまじまじと見た
バラといっても　香りはない
ただ　青くさい匂いがした
あの庭のと違うなと　花びらに触れた

外からの明かりを頼りに
花びんを　テーブルに置いた
台所に戻って　数年ぶりに梅酒を取りだす
梅の実がビンの中で　ほんのり光って
物思わしげに　揺れていた


＜つづく＞



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※修正のご報告：2016年1月9日
梅の実が液体の中で　ほんのり光って　→　梅の実がビンの中で　～