まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」 後書き・・・という名のラブレター。

2014-04-16 22:58:19 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
というわけで。

後書きでございます。

読んで下さった皆さま、今までありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。
ここからは2014年当時の書き手の勝手な独り言です・・・


この話は、すぴりちゅある的「正確さ」にこだわって作りました。
最初からそんなつもりで書いてたわけではないのですが、
まあ、そうなっちゃってたです。

今までだったら、
神秘体験しました!世界は救われました!で話を終わらせてたでしょう。

でも。

それでホントに我々は救われてるのか?
と、まかろんは思ったのです。

すぴの大家の本読んだり講演会行ったりして。
“なんか救われた気”がして。
でも、そこから日常に戻ると。
相変わらず何も解決してない日常、
相変わらず自分を痛めつける日常が待っていて。

結局、何も救われてない。

そして、すぴの大家は壇上から涼しげに
「全ては救われている」とか言ってて。
それを信じなきゃ、と思いつつ、全然分からない自分に歯がみして。
目の前に「分かっている」らしき人がいるのに、自分には手も足も出ない、
そんな徒労感。

そしてまたつまらない、自尊心が痛めつけられるばかりの毎日。

なので。

まかろんは、全然救われた人間じゃないです、でも。

せめて、そのギャップを埋める何かを伝えられたら、と思いました。

すぴの大家から見たら稚拙かもしれない、間違ってるかもしれない。

でも、上から綺麗事言うだけではなく、
もう少し、この目の前の毎日を生きやすくする、
この苦しみばかり見えちゃう日常の中でも
もう少し本当に、皆さまの「大丈夫」を見え易くするような、
そんな手助けになるものを、と願って作りました。

だから、簡単に綺麗事言って、あー救われた!ではなく、
そんな綺麗事言ったって普通絶対こう思う、こう反応する、
それでも救われる道はあるのか?
とこだわってこだわってこだわって、書いた、つもりです。

まだまだ皆さまの苦しみに対して未熟な作品ですが、
どこかしら役に立つと嬉しいです。


それと。

すぴなんか全然興味ないよ!という方も。

すぴを学んでいようがいまいが、どんな人でも、
桜には不思議な気持ちを感じるでしょう。

不思議と和やかになる、なんか心浮き立ち新しい明日に向かいたくなる。

でも、桜は残念なことに一年の内、
ほんのわずかな時しか咲いていないのです。

いくら写真に撮っても。携帯に入れても。花びらを家に持って帰っても。
すぐにその「桜らしさ」は色あせ消えていってしまう。

だから、そんな貴方に。

まかろんは消えない桜をご提供したかったのです。


まあ、何を言ってもただの自己満足、
まかろんが願う通りに皆さまが受け取る必要はどこにもありません。

今ちょっと出しがら状態で、次が全然思いつかない困った状態なので、
次のお約束はできませんが。

もし皆さまがまかろんの作品で何かを受け取れたなら。
またそうできますように、とまかろんは願っています―――

その日まで。
ごきげんよう。

愛する皆さまへ。


※2018年8月追記:
ども、まかろんです。

この作品を書いた当時2014年には、
まかろんはスピリチュアルを“信じて”いました。

“すぴの大家から見たら稚拙かもしれない、間違ってるかもしれない”

“もう少し、この目の前の毎日を生きやすくする”

これがこの当時のまかろんの、スピリチュアルへの考え方でした。


個人的にはこれは間違っていた、と思います。

スピリチュアルは、“もう少し毎日を生きやすくする”程度の
砂糖菓子な目的のためにあるんじゃない。

そんなだから何にも“救われない”んだよ!と思いますし、
そういう薄い考えだったから、物語の切り込み方も浅かったです。

ごめんなさい。


でも、当茶菓子の後半部分はやっぱり今でも大好きだし、
ここで書いた意気込みも拙かったけど、今と同じです。

薄っぺらなお綺麗事で苦しんでいる皆さまに、
違うよ!と言ってあげたい。

そういう今だってまかろんは、
お綺麗事の膜にちょっと切れ込みを入れることができただけで、
皆さまの苦しみに本当に手を伸ばすにはまだまだです。

それでも2014年のこの頃と、志は同じだから。
だから先に書いた後書きもこのまま残しちゃいました。


あとそう、“消えない桜”をね、お届けしたい。

それが“物語”の良いところですよね。

まかろんはやっぱり“物語”るのが大好きです・・・



誰もこんな後書き読まないだろうけど・・・
ネットの海の片隅から、皆さまに祈りを捧げます・・・

いつかもっと強くて、だけどウキウキワクワクするような。
そんな“物語”をもって戻ってきます。


愛する皆さまに。




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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その52

2014-04-16 22:10:39 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
というわけで、まあ。

もうここではごちゃごちゃ言いますまい。

これが続きです、ご賞味下さい。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その52

  ナヲキさんは 火傷をしたように
  はっと膝から 顔を上げた
  薄い金色の光が 射し始めた空を
  ナヲキさんは 目を見開いて見つめた
  いま俺は なんて思った?

<つづき>

ナヲキさんは 膝をかかえた
例えようもなく 独りな気がした
呼び掛けようにも 父親はもういない
最期まで父親の存在 価値観を
全てを拒んだまま 逝かせてしまった・・

そのとき 頬から何かが膝に落ちた
瑞々しい薄桃色の 桜の花びらだった
ナヲキさんは しっとりとした
その小片をつまんで 目の前にかざした
うっすら 清々しい緑の香りがした

おまけです 落ち着いた声を思い出した
ナヲキさんは 花びらをそっと手に包み
家々の向こうに見える つぼみの桜と
その上に薄っすらと 黄金の翼が
広がっていくような空を じっと眺めた

なぁ親父 ナヲキさんは声に出さず言った
俺 もっとあんたと話したかったよ
あんたと ケーキの話をしたかった
何を想って 作ってたのか
あんたを動かしてたのは 何だったのか

だってあんたのケーキは 美味かった

ナヲキさんの目から一粒 涙が落ちた
一粒また一粒と 涙は
静かな雨のように こぼれていった
ナヲキさんは つぼみ膨らむ輝く桜を
いつまでもいつまでも 眺めていた

<おわり>


人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。


※変更:2018年8月8日
最期まで父親の存在 価値観 → ~ 価値観
その上に広がる 黄金の翼が → その上に薄っすらと ~
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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その51

2014-04-16 22:02:12 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
伝えるというものは難しいなぁ、と思います。

伝える、言葉にする、ということは絶対であるように見えて、
実はたった一人、自分のメガネで切り取った世界と価値観の中で
作り上げたもので。

どこまで正しいのか、全く分からない。

だから、難しい、というか、時々すごく怖いです。

それでも人は日々世界を知覚して、それは言葉にせざるを得なくって。

ごめん、少し疲れてます。

続き出しますねー。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その51

  店の勝手口は 鍵がかかっていた
  それもそうかと思って
  入口に回ると そこも閉まっていた
  ナヲキさんは 着ているコック服を
  さぐってみたが 鍵などあるわけもなかった

<つづき>

ナヲキさんは 入口の段差に
よいせと 腰を下ろした
曲げた膝に ひじを乗せ
頬杖をついて 明けゆく空を
ぼんやり 眺めた

立ち並ぶ家越しに あの桜が見えた
桜は いっぱいのつぼみで
うっすら桃色に 染まっていた
ああ桜が咲くな とナヲキさんは思った
そのつぼみだけの紅さを 飽かず眺めた

新作ケーキは 間に合いそうになかった
あの桜が咲く前にと 何度も思った
あの桜の満開の姿を 何度も思い描いた
だけど今は 桜がつぼみを付けている
その自然な営みが 愛おしかった

桜のケーキを作りたいな と
ナヲキさんは ふと思った
そう 俺が作りたかったものは
俺が成し遂げたかったことは
この愛おしさを 皆にも味わってもらうこと

ナヲキさんは 膝に顔を伏せた
溢れる想いに 爆発しそうだった
誰かに伝えたかった この気持ちを
ケーキって ケーキ作りってすごいんだぜ!
なぁ親父 あんたもそう思うだろ!?

ナヲキさんは 火傷をしたように
はっと膝から 顔を上げた
薄い金色の光が 射し始めた空を
ナヲキさんは 目を見開いて見つめた
いま俺は なんて思った?

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。


※変更:2016年1月9日
だけど今は 桜がつぼみを付けてる→ ~ 桜がつぼみを付けている
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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その50

2014-04-15 22:37:07 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
ええ、ついに50回超えですよ。

お付き合い頂きまして、ありがとうございます。

まかろんもここまで長くなるとは思ってなくて・・・

あ、さっき誤字を発見しましたので、直しました。
えっと、17回目のところです。
ナヲキさんの名前を間違ってタイプしてたので、それを修正しました。

このお茶菓子はお出ししながら続きを書いてたので、後からいろいろ
つじつま合わなくなるんじゃ、とすごく心配したのですが、
結局そのまま終わることができました。良かったです。

この話もあともう少しです。
皆さまはどんなラストを想像してますか?

さあ、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その50

 ナヲキさんは 立ち上がった
 そばに立つ 桜の木に手をかけた
 ごつごつとした 木肌の下から
 じんわりとした ぬくもりが伝わってきた
 ナヲキさんは 幹をぽんぽんと叩いた

<つづき>

馬たちが消えた 反対側の空の際が
うっすら 黄色くなり始めた
街を押し包むような 暗い空は
少しずつ少しずつ 薄くなって
水で薄めたような蒼色を 見せ始めた

ナヲキさんは 桜の木に寄りかかり
辺りを包む薄蒼い闇が 静かに
軽くなっていくのを 桜と眺めた
空では 東の際の淡い黄色が
柔らかな桃色に変わっていった

桜のゼリーのような 東の空に
東の物たちは 包まれていた
ベビーブルーの空が おずおずと
その桜色の空を 抱きしめていた
ナヲキさんは 桜の木を振り返った

桜の枝が ざわりと鳴った
丸々としたつぼみが 枝いっぱい
こぼれんばかりに ついていた
まだ薄暗さ残る 蒼い空の下
ナヲキさんは 微笑んだ

ナヲキさんは 枝をそっと撫で
木から離れると 西の空に向かって
深々と 頭を下げた
もう一度 幹を軽く叩き
自分の店に向かって 歩き出した

店の勝手口は 鍵がかかっていた
それもそうかと思って
入口に回ると そこも閉まっていた
ナヲキさんは 着ているコック服を
さぐってみたが 鍵などあるわけもなかった

<つづく>

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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その49

2014-04-15 22:27:05 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
今日は満月だそうですよ。

真冬の寒さはもうありませんので、ちょっとゆっくり見てみたいですね。

まかろんは今日も生きています。

貴方も、貴方の喜びを生きている、その事実を
この月の下でかみしめられますように。

では、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その49

  だったら俺だって 頑張った!
  馬は いなないて言い募った
  一人で地ならしとカミ迎えした!
  なるほど と女の子は馬を見据えた
  私に 牝馬の姿になってねぎらえと

<つづき>

馬は ぎょっとして目を見開いた
いや・・何か怖いからいい・・・
賢明ですね と女の子は言った
でもよぉ 俺たちにだって少しくらい・・
馬はぶつぶつ つぶやいた

女の子は その声を無視して
すらりと 立ち上がり
では私はこれで とナヲキさんに告げた
櫻神さまを お待たせできませんので
ナヲキさんは うなずいた

女の子は白馬に近づき 背に乗った
ゆらっと 空気が揺らいで
女の子は 元の白蛇の姿になった
目が 鮮やかな若葉色になっていた
蛇は身を伸ばして 馬にゆるく巻きついた

じゃ行きましょうか と蛇は言った
おう と馬は幾分落ちつかなげに答えた
馬は足踏みし 首を振り
別に取って喰いはしませんよ と
蛇が おかしげに言った

分ぁってらぁ と馬は
いささか乱暴に言い そして
カッと地を蹴ると 空に舞いあがった
白銀に光る尻尾が 流星のように流れ
馬と蛇は空中で ふいっと掻き消えた

ナヲキさんは 立ち上がった
そばに立つ 桜の木に手をかけた
ごつごつとした 木肌の下から
じんわりとした ぬくもりが伝わってきた
ナヲキさんは 幹をぽんぽんと叩いた

<つづく>

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