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冒険

2008-04-05 | ●Travel ・・・

――『天然足湯』までの道のりは、徒歩で目指すには無謀だった。


地図と写真を組み合わせ、目的地までのめやす徒歩時間が書いてある
親切なリーフレット。

遊歩道とは名ばかりの険しい山道を、かんじゅっぷんからこんじゅっぷんほど
歩く道のり。

観光案内の内容は夏仕様だから、目安時間はきっと「夏」のものさし。

しかし、このとき季節は、いわゆる「冬」です。

足下に広がる雪のじゅうたん。

雪山をなめてかかると大変な目に遭うなんて言わずとも知れたこと。

しかし、『天然足湯』のことで頭がいっぱいの私は、完全にそれです。
なめきっていました。


序盤、ろくに道とはいえないような雪道に、足が埋まってとられても

あたりに全くもって人の気配がなく、むしろケモノの気配が強くても

非日常的なちょっとした冒険に心を躍らせ、ワクワクドキドキ。

スキップ歩調。

遊歩道にところどころ設置された看板に載っている「温泉クイズ」に
回答する余裕を見せつつ。

『天然足湯』アドベンチャー!

いざゆかん!


・・・・・・・・・。

ところが・・・その勢いも、序盤のみ。

歩き始めてから10分ほどで・・・

・・・ぜぃ・・・ぜぃ・・・

早くも息切れ。

    

遠くに見えるは彼の姿。


こ、これは・・・

流しそうめんが、上方からいい感じで流れてきそうな傾斜です。

これがずっと続くのかあ・・・。ははは・・・はあ。・・・・・・。

ぜー・・・ぜー・・・


もう看板クイズにかまっている余裕なんかはありません。
やっつけ回答です。

このあたりから、人の気配のなさ、ケモノの気配、強風が木々を揺らす音に
かなりの恐怖を感じてきました。遅咲きです。


――数分前の記憶・・・
彼に、「石橋を叩いて、叩いて、結局渡らないタイプ」
なんて、ひらり振り返って嘲笑った恥ずかしい自分、バッキャロウ!

先を行く彼に謝りたい。まさかこんなことになるなんて・・・。

ぜー・・・ぜー・・・


さて、人生、山あり谷ありといいます。

山もあれば谷もある。

上りあれば下りあり。

    

この下りは!!!

隊長、危険すぎます!

先が見えません!一寸先は闇です!


運動神経、バランス、平らな靴底、知識、教養、腰の低さが要求されます!


スニーカー着用の彼は、急な下り坂もうまいことすべり下りていく。

    

残念なことに、私はブーツ着用。

ヒールが予想外の支障効果を発揮。

ぎゃっ!という悲鳴とともに、転倒!コースアウト!

私は、とことん雪まみれになりながら、彼に申し訳ない気持ち・自分への戒め
そして、完全に風前の灯と化した、かつてのワクワク冒険心を胸に抱え

「もう後には退けない」

そうつぶやき、険しい山道と、転ぶ度にまとわりつく雪と闘っていた・・・
                    <つづく>
                



…………………………………………………………………………………………

更新が滞り、4月1日に書いた記事の中で、「続きは明日upしたいとおもいます」と書きつつ
upしなかったので、結果的にエイプリルフール的な発言になってしまいました。
もう少しでひっぱりすぎのこの旅行記も完結しそうです。



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