さて、昨日からお送りしております『フジが気になる2、3の女性』今日は2人目です。
つい先日の日曜日、テレビで『情熱大陸』を見ました。
小西真奈美さんの特集でした。
小西真奈美さんって、ご存知ですか。
女優さんです。
それだけ?
まあまあ、先を読んでください。
「小西真奈美って、何者ですか?」
聞かれた彼女は考えます。
じーっと考えて・・・
「・・・普通の人間」
1978年、鹿児島生まれ。
身長168cm。AB型のさそり座。
同性にも、異性にも好かれる彼女。
私は、彼女のトークイベントに参加した客の一人がこんなことを言っているのに驚きました。
「(彼女は)ちょっと弱そうで、強い」
そうです。私も彼女にそんなしたたかな一面を感じていたからです。
『ココリコ・ミラクルタイプ』って番組、ありますよね。
あんな、どっちかって言うと安っぽい番組(済みません!)で、彼女はキレて見せたりします。弱そうで、強い。
「小西さんは、どんな女優でいたいですか」との質問。
彼女は考えます。
いつまでも考えます。
いつまでも・・・
「・・・何か、恥ずかしくない生き方をしている人でいたい」
ああ、聞いているこっちが恥ずかしくなる。
「・・・っていうのを思って、今までやってきたんですけど。役の向こう側に、人は人を見るじゃないですか。絶対透けて見えるから」
彼女が主演する映画の撮影が本格的に始まりました。1ヵ月半、ホテル暮らし。新生活の舞台を窓から見ては、海の近さに異常に興奮する小西さん。
彼女、よく笑いますね。気持ちいいくらいに。
小西さんは、現場で台本を広げることは無い。自分なりの演技プランを、いつも用意しています。
スゴイ、と思いました。
さすがプロ。
友達が走り去るのを見送るシーン。セリフ、なし。
監督が要求を出します。「感情がこみ上げてきて・・・ここで初めて優しい顔になる、みたいな」
「はい、分かりました」
これが、見事に表現されているんです。抑え気味でありながら、笑顔を隠しきれなくなる。いやあ、参った!
監督からOKがかかります。
すると小西さん、逃げるように現場を後にします。
カメラが追いかけますが、追いきれません。
この時の表情が見られれば、もしかしたら、それが小西さんの素顔なのかも知れません。
ここで面白いことを言う人が。
映画の監督です。
この人、『踊る大捜査線』の監督でもあります。
「小西さんの魅力って言うのは、もう圧倒的に”容姿”ですねえ・・・本当の心の部分って、もっとギラギラしてるんじゃないかなあ」
私もそう思います。だから小西真奈美は分からない。分からないから、魅力がある。
映画の合間に、CMの衣装合わせ。
スタッフの一人が「こんなに自分の意見を言う女優さんってはじめて見ました・・・ビックリ」。
本当、彼女はよく喋る。声も大きい。弱いけど、強い。
今週だけで、映画の舞台、香川と東京を3往復。
「疲れを感じさせませんね」との質問。
「私が疲れたなんて言ったら、大変ですよ」と、こともなげに言う。「みんなはもっと忙しい」
何か、見ているこっちが反省させられるんです。
そんな忙しい中(と言っちゃいけないか)、何と写真集の撮影も。6年前から撮り続けた、全30000カットから、その人のコア(核)を見つける、とカメラマン。
「でもねえ、小西さんって、核が見当たらないんですよね」
思い切って取材陣は彼女にこう問うてみた。
「素顔を見せてください」
車の中で、彼女は考えた末、こう言った。
「素って、何ですかねえ・・・素だと思って頂けるなら素なんでしょうし」
彼女は言う。例えば誰かのこういう面とこういう面を見て「この人はこういう人だ」と思うとしたら、それはそういう面を見せてくれたんじゃなくて、こちらがその人のそういう面が好きで、見たかったんじゃないか、と。
「まとまってないですね(笑)」
幼い頃の写真を見せてくれ、と頼んだ取材陣。
小西さんは「・・・ないんです」
彼女は幼い頃のことを喋りたがらない。
彼女の書いたエッセイがあります。
『私が生まれて育った場所は、
空気が澄んでいて、空が広く、
いつもたくさんの星が見えた。
そのせいか、今でも時々空を見上げる。
幼い頃、自分の手が嫌いだった。
もともと肌が弱い上に、小さい頃から火事の手伝いしたりしていたせいか、私の手はとても荒れていた。
いつかの14歳。
やりたいことが何も無い。
楽しいことなんか、一つもない。
毎日ひまだし、長生きしててもしようがない。
十年後の自分のことなんて、知らないくせに』
私、手が震えました。
今の私が、責められている気がしました。
小西真奈美の素顔なんて、探しても仕方が無い気がしてきました。
これだけ笑えて、屈託の無い笑顔を見せられて、それ以上、何がいるんだ、と。
「目標は、何ですか」と取材陣。
「ゴールは無いですよねえ」と、さも当たり前のように言う小西さん。「だって答えが見えてたら、こんな日々、葛藤したりもがいたり、しないんじゃないんですかね・・・方程式がないから、難しいけど面白い」
私は、彼女の才能に憧れます。
もしかしたら自分にはある種の才能があるのでは、と妄想に取り付かれることもあります。
でも、何も行動しない。ただ葛藤して、もがくだけ。
私にとって、答えは「死」だけです。
小西真奈美に近づきたい。
極限まで。
小西さんのこと、どれだけ分かってもらえたでしょうか?
ああ、私、小西さんに恋をしているのかなあ・・・
いやいや、恋なんて言葉、気安く使っちゃいけない、いけない。
それでは今日はこの辺で。
フジでした。
シリーズは続きます!・・・が、都合により土曜日に掲載致します。お楽しみに!