朝刊フジ

本やテレビ雑記に加え、英語で身を立てようと奮闘中の筆者が読者と自分に(笑)エールを贈る。

ロジカルシンキングの要諦は発想力!?

2008-09-28 00:34:33 | 
おはようございます!
『朝刊フジ』編集長は、『オールスター感謝祭』で島田紳介さんが直接交渉で出てもらったミュージシャンがいるっていうから、すっごく期待して見てたら、出てきたのはglobeだった!のフジでございます。うまくいえないけれど、むしろ向こうから紳介さんに直接交渉したのではないでしょうか?

さて。
最近『朝刊フジ』がケータイ小説化していることは、自分が一番分かっているから言わないでね(誰に言われたのか、編集長!?)

ところで。
と、この話題の切り替えの強引さがケータイ小説なんだっつーの。
私、今、悩んでいます。
自分は、ロジカルシンキング(論理的思考)ができない人間なのではないか、ということに、です。
実は先日大人買いした書籍の中で『はじめてのロジカルシンキング』(渡辺パコ著、かんき出版、1,300円+税)という本を読んでみました。
この著者の本は、ずーっと前に読んだことがあります。
そのとき、挫折しているのです。
今回はリベンジ!と思い、買ったのです。
”はじめに”のところで「これ以上簡単にもできないし、これ以上のことはやらなくても十分」とまで書いてあったので、これはなんとかついていける、と思いました。
で、読んだのですが。
やはり挫折してしまいました。
それも、以前の本と同じところです。
ロジカルシンキングでは、まず”何を考えるか?”を決めなければなりません。
今何を考えたいかを、例えば「なぜこの製品は売れるのか?」といった具合に、疑問形の文章にして、答えを導きだしやすくするのです。
これを”イシューを決める”と言います。
で、問題はここ。
本書では、課題が出されており、ある状況を設定した上で、”イシューを最低10個は考え、その中で最も考えたいイシューを選ぶ、という作業をします。
しかし、与えられた設定(例えば、いいなと思う異性に出会った、など)から私が導き出したイシューは、ことごとく模範解答から外れているのです。
正直、私にはこの過程が、ロジカルというよりも”発想力”の問題ではないか、と思えてならないのです。
模範解答のようにイシューを浮かばせるためには、かなり発想を飛躍させなければならない、と考えています。
でも、ここで本書を「自分には合わない」と言ってしまうと、せっかく買った本が台無し。
私、著者のブログに行ってみて、コメントに書いてきました。
アドバイスがほしい、と。
コメントが帰ってくるかどうかは分かりませんが、もしあれば、ここでも紹介させて頂きたいなと思っています。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。
ポール・ニューマンさんが亡くなった!
未見の『スティング』を見たくなりました・・・

私の書籍購入法

2008-09-25 22:46:15 | 
おはようございます!
『朝刊フジ』編集長は、『ホームレス中学生』映画版の父親役、イッセー尾形さんは適役!のフジでございます。あのどこかとぼけた感じで家族の”解散”を宣言するのかと思うと、とても興味が湧いて来ます。
でも、主役の田村裕(漫才コンビ”麒麟”のね)役の小池徹平くんっていうのは、どうなんだろ。いや、彼がいい悪いの問題ではなく、テレビ版の少年(名前、忘れました)が麒麟田村にそっくりだし、演技もなかなかだったので、ハマリ役だと思っていたのですけれど。
スクリーンデビューさせてあげたかったなあ・・・

ところで。
私、毎週1回は必ず書店に行きます。
そして、かなりの冊数を購入します。
世の中にはもっとたくさん本にお金を使う人もいるとは思いますが、収入比で考えて、私の書籍エンゲル係数はかなり高い方ではないか、と。

私の場合、ただ書店に行ってぶらぶらしているだけでは、ほとんど購買欲は起こりません。
明日書店に行く、となったら、まず前夜にネット書店アマゾンのサイトへ行き、当たりをつけます。過去の検索結果がマイページに残されているので、それを参考にしながら、欲しい本を数冊探し、メモに取ります。予算に入るかを考え、もうネットで買っちゃえばいいじゃん的に盛り上がるくらいになります。

でも、私はどうしても、ネットで本を買うほどの勇気はありません。大きな書店にすら置いてないものは別として、大体のものは書店で買う興奮を味わいたいのです。ちなみに、先にアマゾンのレビューを読むことが多いですが、よほどけなされていなければ、あくまで参考程度にします。いいレビュアーか、単なる文句言いかは大体読めば分かりますよ。例えば東洋思想について書かれた本なのに「孔子や老子を引用しすぎて作者の主張がない」などと言っている人は、あまり賢明なレビュアーとは言えないでしょう。それを言ったら、解説書にはすべて主張がないことになりますし、また主張はそれほどいらないでしょう。

で、当日。
ここからが腕の見せ所ですが。
書店に行きます。
前夜に決めた目的を一応持っていくわけです。
この”一応”というのがポイント。
実際書店に行くと、予想していなかった本たちが微笑みかけてくるのです。
そういう本を片っ端から手に取ります。
その後で、そもそもの目的の本を探します。
すると、大体数件探しても手に入らないものが多いのです。
結局、目的の本は1冊程度で、あとの4~5冊は書店で自分の鼻をきかせた結果、手に入れたものになります。
これで、いいんです。
気がつくと、結構バランスの取れた買い物をしているものです。

あと、ポイントがもう一つ。
買った本は、できるだけその日に少しでも目を通しておくことをお勧めします。
私によくあるのが、買って書店の袋に入れっぱなしで部屋に置いておいて、ただの置物になってしまうケースです。それを防ぐために、とにかく買いたかった本なのですから、その気持ちが残っている間に目を通す。
「読書が一番できるときは、本を買ったときだ」と、何某さんが書いていました。
私は何某さんがあまり好きではないのですが(何某ってだれ?)、この何某さん(だからだれ!?)の言葉は、確かに言うとおりだと思っています。

他にも、いろいろ工夫していることもあるのですが、おこがましいのでこれくらいで。
それでは今日この辺で。
フジでした。
小泉元首相、引退!
去り際だけは一流なんだなあ。

ベストセラー『脳を活かす仕事術』を読んでみた。

2008-09-22 00:03:46 | 
おはようございます!
『朝刊フジ』編集長は、昨夜は冷房がいらなかった!のフジでございます。なんか寒いですよね。急激な気温の変化についていけるように、皆さんもお気をつけ下さいね!

さて、本題。
先日、書店に行った際に、地元では売っていなかった(それだけ地元が田舎だということ)本を見つけて、即買いしてしまいました。
『脳を活かす仕事術』(茂木健一郎著、PHP研究所、1,100円+税)です。
私、脳のことに非常に関心がありまして。
脳によい仕事術ってどんなもんなのかな、と思い買いました。
ていうか、表紙の柿色のカバーが素敵だったのですね。

この本、すでにベストセラーになっているらしいです。
私、基本はベストセラーを読まないんですが(結局『村上式シンプル英語勉強法』も読まなかったし。一時のブームで終わるものが多いっすよね)、自分が読んだ本がベストセラーになると、ちょっと嬉しいです。
この本は、昨年のベストセラー『脳を活かす勉強法』よりも出来がいいのではないか、と思います。
なぜなら・・・これから書く内容をみていただければ分かります。

この本の最初には『いい物を見てインプットし、仕事としてアウトプットすることで、感覚系と運動系が連携する』と述べられています。実は本来、人間の脳は、この二つが連携していないのだそうです。つまり、評論家のように、いろいろ見てはいるのだけれども、実際に自分がやることはできない、という人が多いのでしょう。そのために著者は、仕事は早めにアウトプットすること、そしてそれを他人の仕事のように眺めてみることを薦めています。

背伸びをすることの薦めもあります。
ブログなどで、ちょっと背伸びした内容を書いてみる。
例えば、自分の考えなど。
そうやって自分を成長し続けていくことが、いつまでも伸び続けることにつながると言います。

これは耳が痛いな、と思ったのは。
自分を限定しない、ということ。
「人間とは○○なもの」といってしまうと、自分が広がらないのだそうです。
確かに、ですね。

この本の圧巻なところは「アウェーで生きろ」と言っていることです。
著者にとって、NHK『プロフェッショナル』への出演は完全なアウェーで、初めてのときは脚が震えたそうです。でも、それが生きることだと言います。
「僕もアウェーで挑戦し続けたいと思います」と、高らかに宣言されています。
ここが、この本を単なるノウハウ本とは一線を画すところではないか、と。
著者の新しい生き方の表明です。
だから、ただのよくある”仕事能率本”より読者に訴求するのです。

興味をもたれた方、この種の本では安いほうなので、是非お読み下さい。
それでは今日はこの辺で。
フジでした。
巨人、強いなあ!
ま、高給取りはちゃんと働かなきゃね。

数学が分からなくても数学的思考力は身に付けられる!?

2008-09-16 00:07:41 | 
おはようございます!
『朝刊フジ』編集長は、この季節になっても仕事中はエアコンをガンガンつけているフジでございます。最初はつけないんです。でも、気が付くと部屋が暑くなっていて。まあ、設定温度は28℃なんですけれど。
そう言えば、バスに乗ると中が異常に冷えていてビックリすることがありますよ。皆さんの職場は、空調ききすぎていませんか?

それにしても、今日は書くことがないなあ(笑)。
と言いますか、最近仕事で一日中パソコンを見っぱなしなので、目がひっこんでしまって、編集長、この時間まで健康に悪いブラウン管ディスプレイを見たくないのです。
でも、『朝刊フジ』を待って下さっている皆さんがいる!
そこで、まだ読みかけなのですが、ある本を紹介します。

私が激務の中(ウソ)読んでいる本の一つに、『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!』(小学館、1,200円+税)というのがあります。
”数学”という言葉を聞いただけで、身震いする方もおられるのでは?
私、高校受験までの数学なら、自信があります。実際、大学時代には数学の講師として中学生に教えたりしていました。
でも、別に数学が好きだったわけではなく、実際、高校の数学(微分積分とか、いろいろ)は、本当に落ちこぼれに近い状態でした。
ですから、この本も、最初から買うつもりではなかったのです。
私、この本の著者との相性があまりよくないようで。
細野氏が書かれた本を5冊持っていますが、どれも”よくわかる”というのを売り文句にしているのに、私には良く分からない。
つまり、私に劣等感を覚えさせる著者です。
一応本を持っている関係上、この新刊を書店で手に取ってみました。
すると、数学というより、論理的思考力の本だと分かり、特にニュースについて解説してあるので、思わず買ってしまいました。

私、いつも思っているのですけれど。
朝日新聞をとっているのです、私。
新聞を読んで思うのは、なんか、けなしてばっかりだなあ、ということ。
この新聞は、どんな人が政権を握っても、けなすんだろうな、という気がしてしまう。
そんな思いの方がもしいらしたら、この本を是非手に取って頂ければ。
ニュースを自分の頭で読み解く方法が、易しく書かれています。
例えば、小泉政権の郵政民営化について「政治家が国民の求めない政策を実施するのは、まるで独裁だ」と言われていることについて、苦言を呈しています。ここには論理的な誤りがある、と。
なんだろう、と気になった方は、是非読んで見て下さい。
論理を説いた本はたくさんあれど、論理のおかしさ(本書でいうところの「思考の骨太さ」の違い)について言及しているものは少ないと思います。
まだ読了していないので、今は最終的な感想は言えませんが。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。
かの水道橋博士は、キーボードばかり使って若年性痴呆症と診断されたとか。
やばいぞ、編集長!

久々に、私の本の宣伝、恐縮です。

2008-08-24 01:37:47 | 

おはようございます!
『朝刊フジ』編集長は、昨夜のラジオ『桑田佳祐のやさしい夜遊び』は、ちとエロすぎた!のフジでございます。
いやあ、先週ご紹介したこの番組。記事を読んで、初めて聞いてみた方はびっくりしたかも。話が違うじゃないか!なんて下品な!と思われたかも。
確かに、エロでしたわ。
あの番組、一定周期でああいうネタをやるのです。
熱帯雨林の話(聞かれた方は分かるはず)などは、エロを通り越して、アホ。
ああいう話をアッケラカンと語る桑田さんも、アホかも。
でも、それも人間としての器の大きさだとは思いませんか?(って、何で私が代わりに弁護せにゃならんのだ!)
それにしても、サザン30周年真夏の大感謝祭ラストの前夜に、なにもあんなお題で話すことはないだろうに・・・

話変わって。
ホントにガラッと変わりますが。
この『朝刊フジ』のずっと昔の方をご覧頂けると分かるのですが。
実は私、昨年に一冊、本を出しておりまして。
何と、英語に関する本でございます。
そんなタイソウな本がフジに書けるのか?
フジには電車に閉じ込められた話とか、そんな与太話がお似合いなのではないか!
お気持ちは、分かります。
でも、たまには私だって、やるのです。
思い出すなあ。
夜中の二時、三時にむっくりと起きて、バーッと書いて、また寝る、という生活でした。
当時は、かなり病も残っていましたから。
あっ、その辺の事情も、本に書いてあります。
で、その本。
売れているらしいのです。
って、自分で言うと、メチャクチャいやらしい感じがしますね。
実は著者である私自身、売れているとは思わなかったのです。
今でもそういう感触は、正直ありません。
でも。
いつも書いていますように、私が常々お世話になっている先生がおられまして。
その方がいろいろ調べて下さったのです。
(ちなみに、その先生は昨日、講演会を開かれまして、私などには及びもつかない難しいテーマで話をされました。)
別に、語学書のベストセラーになったとか、そういうことではないです。
私が勝手にそんなこと言ったら、出版社さんがびっくりします。
ただ、日本で流通されている書物の中では売れているほうだ、という意味です。
日本で流通されている書物の数が・・・という話を伺ったのですが、壮大すぎて良く覚えていません。

英語についての本だと書きましたが。
特に、TOEIC対策について書きました。
TOEICという名前を初めて聞く方もいらっしゃるでしょう。
「トーイック」と読みます。
英語の運用能力がどれくらいあるかを測るテストのことです。
今や、この試験を受けないと、就職や海外出張などが難しい時代になっています。
幸い、他の資格試験と違って、TOEICには合格・不合格がありません。
990点を満点とする、点数制です。
これを、縁あって私が受験し、それなりの点を取ったので、そのノウハウを知りたい方にお勧めだよ、という話であります。

書名は『はじめて受けて905点 TOEIC TEST ボクの短期集中勉強法』(ベレ出版、1890円税込み)といいます。
本当はamazon とリンクさせたかったのですが、アドレスが異常に長く、数行に渡ってしまうため、やめました。購入された方のレビューをご覧になりたい方は、amazon ホームページで「はじめて 905 TOEIC」と入力して検索すると、出てきます。
レビューには、なかなか手厳しい評価もありますが、概ねいい感じのようです。

それにしても、私、未だにこのタイトル、覚えられません(笑)。
だって、編集部の方がつけたんだもん。
もし私がつけていたなら、”ボク”という言い方はしません。”私”と名乗るでしょう。
おかげで、本全体で”僕”という言葉を使わなければならず、ホント大変でした。
もともと案として出したのは『僕は自分をあきらめない』という、今考えるとものすごい闘病記のようなタイトルでした。この案は通らなくて正解だった。
で、内容は闘病記と(やっぱり!)、TOEICとの出会い、そして実際にやった勉強法を正直に書いただけです。
何でも、この本がいろいろなブログに紹介されているようでして。
中には『勉強法の項が少ないので、初心者向けだ』というご意見も頂きました。
でも、私は今でも、勉強法がっつりで一冊書かなくて良かったと思っています。
勉強法よりも、『何を勉強するか』を書いた本です。
単語のリストもついてます。
リスニングの問題も入ってます。
世の中には”ノウハウ・コレクター”の方がたくさんいらして、勉強法の本を読み漁っているようです。でも、実際に勉強しているかというと、そうではなくて、また違う勉強法を探すのだとか。
そのような方には、本書はあまり向いていないかもしれません。
そんな珍しい勉強法なんて、ありませんもの。

と、いうわけで。
TOEICの点が伸びなくて悩んでいる方。
TOEICを初めて受験する方。
そして、フジの本名を是非とも知りたい方(そんなのいるか?)。
本書を、どうそよろしくお願い致します。

「それは分かってる。二冊目はどうなった!」
おっしゃるとおり。
二冊目は・・・出ます。確実に。
それだけはハッキリ言っておきたい。
ただ、私を担当して下さっている編集者の方が、今現在、私が書いた原稿より前に書かれた3人の原稿をお持ちなんです。なので、私は順番的に遅くなっているという訳。
また、出版の時は告知させて頂きます。
どうぞ、よろしく。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。
パソコンに映る字がダブって見える。
まさかの老眼!?


もう今年最後!?『新春に読む極上ミステリ』!

2007-01-07 00:00:14 | 
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、この企画、ちょうど1年やってなかったんだなあ、と一人感慨にふけるフジでございます。

今、中居正広くんが司会の新ドラマ対抗のボーリング大会を見ています。
1月12日に、向井千秋さんを題材にしたドラマが放送されるそうですが、千秋さん役はあの管野美穂さんが演じられます!
管野さんが宇宙服を着た姿、凛としていて素晴らしいですよ!
是非皆さんもご覧下さい。
ちなみに、私の本の編集者さんが管野さんにちょっと似なんですよねえ。
ん~ん、いいなあ・・・何ちって!
編集さん、『朝刊フジ』見ていないだろうなあ?
それにしても今年も気が多いな、フジ!!
「恋したっていいじゃない!」てな年じゃないんだよ、お前は!

閑話休題。
さあ!ミステリ好きの皆さんもそうでない方も!
あの名物企画が帰って来ました!
フジが面白ミステリを探しては週末のお楽しみとして紹介してきた『週末に読む極上ミステリ』の新春版でございます。
最近私、小説と名の付くものをほとんど読んでおりません。小説の世界に浸るには、毎日が忙しすぎるのであります。ですからせめて、正月くらいは・・・と探しだしたのが、本日ご紹介するこの本です。

リチャード・マシスン『奇術師の密室』(扶桑社、800円)

《ストーリー》
物語は、往年の大マジシャン、脱出トリックで失敗し現在は植物人間状態のエミール・デラコートの視線で描かれる。

エミールの息子、マックスは、エミールの教えを忠実に守り、「偉大なるデラコート」とさえ呼ばれたマジシャンになっていたが、演出が古い、などとマネージャーのハリーといざこざを起こす。
マックスは、感情が高ぶりすぎてハリーと妻のカサンドラを殺してしまう。
保安官も現れ、ハリーの死体を捜す一方、不敵な笑いを浮かべるマックス・・・

《編集長フジの眼》
とにかく設定が凄い!
死体が消えちゃうんです!
マックスは、自分がハリーを殺したことを隠しもせず、しかしながら保安官らに死体はどこにあるのか探させます。しかも死体は、マックス(そして往年のエミール)の部屋”マジックルーム”の中だけにあると言うのです。
丁々発止の推理合戦。
あまりの急展開に、エミールは付いていけません。

よくアメリカのミステリには”死んだと思ったら、まだ生きていた”的なものが見られますが、この小説はそれをとことんまでやってのけます。まさに小説ターミネーターとでも言いましょうか。しかし、これは推理により生死が分かると言うよりも、幽霊がふたたびやってくるかのような、ちょっと雰囲気だけじゃない?という本が多いのも事実。しかしこの本はそれだけじゃない。何層にも重ねて描かれた真相に辿り着くまでは、気を抜くことは出来ません。作者の「読者を騙してやろう」という熱意が、空前絶後のクライマックスを生み出します。そこに至るや、「ホッ」と体中の力が抜けるくらい粘り強いです。

《私的採点》

 ★★★★☆(★5個で満点)

コイツは春から凄い本にぶつかりました。騙しあいはこれくらいやってくれなくちゃね。評価は、4.5でも良かったのですが、正直最後のほうは読んでいて疲れてしまったので4にしました。

『極ミス、懐かしい!』という声も頂いておりましたので、出来ればやりたいのですが、今私はフィクションの中に自分を置いている心理的余裕がありません。ですからもしかしたら今日が今年最後の『極ミス』かも・・・

それでは今日はこの辺で。
フジでした。

『時効警察』に時効はないと言っても過言ではないのだ!

2006-06-16 17:17:22 | 
おはようございます!と言っても今は夕方の5時。『朝刊フジ』編集長は、ワールドカップ期間中は、新しいテンプレートで行きます!のフジでございます。本当はキレイなテンプレートを早く見せたくて、こんな夕方に書いているのです・・・

ところで・・・
君は覚えているか!
『朝刊フジ』でも猛烈にプッシュした、あの深夜ドラマを!
「十文字くん、銅鐸、忘れてるよ」!
「ソーセージは曇りの日に食べなきゃ」!

『時効警察』です!

私、先日角川書店の『天使と悪魔』(ダン・ブラウン著、上・中・下620円・・・あの『ダ・ヴィンチ・コード』のひとつ前の話。ついに映画化決定です。これが面白いんだ!)の中巻を買おうと書店に行ったんですが。
ふと、見つけてしまいました。

今頃出たのか!の『時効警察』オフィシャル本とノベライズ本です!
私、てっきり文庫で出るのかと思っていたので、「どうしてハードカバーなんだよ!」とプンプンしていたのですが、待たせた甲斐あってか、中身は非常によく出来ています。

オフィシャル本は1554円。
オダギリジョー&麻生久美子&三木聡(やっぱりこの方が核だったのですね。いろんな方が書いておられましたけれども、一味違いました)ロングインタビューと撮り下し写真、十文字&蜂須賀刑事の小ネタ裏づけ捜査、鑑識課・諸沢の「こんなもの見つけました」コレクションなど、『時効警察』の特典情報満載のオフィシャルブック(情報はamazon)。

ノベライズ本は1470円。
時効になった事件を趣味で捜査する警察官・霧山修一朗(オダギリ ジョー)VS犯人。一度見たらやみつきになる脱力系ドラマの、クセになる笑いが満載。全9話完全ノベライズ(同上)。

とりあえず、書店で手にとって見てみてください。
ちょっと立ち読みするだけでも、店員さんににらまれるくらい、ニヤケてしまうこと確実です。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。

『週末に読む極上ミステリ』#20 あの話題作が登場!

2006-02-24 06:05:49 | 
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、最近急激に物覚えが悪くなった、フジでございます。1時間前に見たドラマのストーリーすら忘れてしまう。いかんなあ、また川島隆太先生監修の『大人のための計算ドリル』やらなければ・・・

さあ、今日は今年初めての『極ミス』でございます!いやあ、そういえばこんな企画、やってたなあ、という方も多いでしょう。本来なら昨年の続きで「『法廷ものが読みたい」という方のために③』をお送りするべきなのでしょうが、今日は私、非常にタイムリーな小説を読了致しましたので。そちらをご紹介いたします。

昨夜9時より、TBSテレビ系で『白夜行』第7話が放送されました。

この話、何でも既に「原作とはかなり違う」と言う声が結構あがってるですよね。
そこで、では、どんなに違うのか、買って見ました・・・というのが先日ここに書いた記事。

つい先日書店に入ると、この本がまるで「今の内に全部売っちゃえ!」とばかりに積まれています。そしてなんとハードカバーまで積んである!わざわざ買う人、いるのでしょうか?

それでは『白夜行』ってな~に、という方のために、さわりだけご紹介します。

*ストーリー*

とある建築半ばで止まったビル。
子供たちの遊び場になっています。
そこで発見された死体・・・
笹垣という刑事が捜査を担当します。
遺留品は運転免許と名刺だけ・・・桐原洋介。どうやら、質屋の主人らしいです。
向かってみると、『質きりはら』では、店員の松浦が出迎えます。洋介の死に動揺を隠せない様子。
扉の向こうに、少年が姿を現しました。笹垣は、その子供の目の奥に潜む暗さに驚いたのだ。

笹垣たちは、死んだ桐原とどうやら愛人関係だったらしい、西本文代に会いに行くことにした。文代は外出中だったが、しっかり者の娘が出てきた。
「西本雪穂です」
きりはら、という店を知ってるか、との問いに、うなづく雪穂。でも、洋介が家に来ることについては「覚えていません」。
鑑識では、死体の傷は女性でも十分付けられるとのことだった。洋介と文代は会っていた、そして文代は洋介を・・・

しかし、この推理は脆くも崩れ去った。
西本文代には、完全なアリバイがあったのである。

*編集長フジの目*

本当にさわりだけです。
物語はこの後、一気にスケールを広げていきますが。

え~と。
まず、この本を読まれたことのある方に是非お聞きしたいんです。

・・・面白かったですか?

書店では、『800ページを2日で読んだ』とか何とか、非常に景気の言いPOPが伸びていましたけれども。
私、5分読んだら5分休む、というペースでしか続けられませんでした。どうしても、先への興味が続かないんです。
いつ面白くなるかな、いつかな・・・と思っているうちに、気が付いたら残り50ページになっていました。
きっと、本来なら面白いんでしょうね。いえいえ、これは決してイヤミを言っているのではないのです。私、本当に体調最悪の時に読んだので、今一つノレなかったのかもしれません。

まあ、面白さには個人差があるにせよ、どうして私には興味が続かないのかを自分なりに分析してみると(ネタバレ入ってますので、ご注意下さい)

①桐原亮司がワルすぎる。
巻き込まれ型ではなく、自分からどんどん犯罪に手を染めていく。怖い。
その犯罪がまたダーク。偽造キャッシュカードなど、大仕掛けでなく身近なものだけに、これを読んだ人は偽造が出来てしまうのでは、と思ってしまいます。
(テレビでは、亮司は最初怖気づいているが、次第に自分が中心になってやっています)。

②唐沢雪穂が表に出てこない。
高宮という男の影として、などとよく出ては来るのですが、前面に出ることはあまり無かったように思います。
(テレビでは、雪穂は身を守るために非情になっていきます)
また、是非せめて本に登場人物表でも付けてほしかった!篠塚や今枝など、結構よく出てくるのに「あれ、この人誰だっけ」となってしまうので(というより、冒頭で書いた私の物忘れかも・・・)。

③構成
ミステリファンには”精緻”という言葉に弱い方が多いです。私もどちらかと言えばそっちのタイプ。この本のカバーにもありました。
せっかく色々な登場人物が出てくるので、読み手としては「なるほど!実はこの人とこの人が関係してるんだな」などと思いたいのに、展開は有機的に結合していきません。折角の大河小説なのに・・・

④笹垣にあまり執念を感じない。
これはテレビの影響かも知れませんが、あの鋭い眼光がねちっこく現れて、犯人と追いかけっこをさせないと、サスペンスが続かないような・・・

⑤おまけ
原作とドラマを比較すると、ドラマの方がいいセリフやシーンを書いています。これは、原作が心理描写にほとんどページを割かなかった代わりに、ドラマは反対に感情表現を重視しているからだと思います。
例えば『なあ、雪穂』で始まるモノローグもドラマ。図書館でじーっと雪穂が来るのを待つのもドラマ(これは小説には少し出てきますけれども)。そしてなんと言っても、原作では亮司と雪穂がほぼ出会わない!

これについては異論もございましょう。「原作の抑えた心理描写がいい」という方もきっといらっしゃるはず。ここはもう、好みですね。フジにとっては、あの二人は途中で再会し、逃避行をすることで、ストーリーがよくなったなあと思っているのですが。

しかし、もしこの作品をドラマ抜きで読んだ方は、きっと最後の数十ページには驚愕するでしょう。とにかく、東野圭吾ファンは一度、とりあえず読むべし!

*私的採点*

★★1/2(★5個で満点)

私個人の趣味の問題で、どうしても中々先に読み進めることが出来ませんでした。分厚いのは好きなんですけれどね。

今回は、是非既読者の方のご意見も聞きたいなあ。
それでは今日はこの辺で。
フジでした。

『白夜行』原作を買いました!

2006-02-03 00:00:54 | 
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、今ハマっているのはお餅!のフジでございます。一日一個、必ず食べてます。いえいえ、さすがに正月気分だからではないですよ!

さて、昨日はTBSテレビ系夜9時から『白夜行』第4話が放送されました。
私は都合でビデオに録ったまま見ていないのですが、とにかく毎週楽しみなドラマです。
自分が死んだことにして姿を消した亮司は、どうなっていくのでしょうか・・・

でも、このドラマ、原作とはかなり違うらしい。
たまたま書店に行った時、文庫本のコーナーで、『白夜行』のPOP(ビョーンと上に飛び出ている、本の宣伝)があったのですが、肝心の本が置いてありません。売り切れということです。
もう1件行ってみましたが、またここでもなし。
普通ドラマの原作本って、一気に店頭に並びますよね?

3件目に行った時、東野圭吾コーナーの中に、多く積まれた東野作品の中で、一箇所だけへこんでいるところを発見。
何と1冊だけ、『白夜行』があったのです。たった1冊だけ!
以上を総合すると、『白夜行』原作本は相当売れているようです。

私が買ったのは、カバーの上に切れ目が入っていました。また、表紙に山田孝之くんと綾瀬はるかちゃんの写真が載っています。本当は私、この手のタイアップは嫌いです。どうせドラマが終わったら元の表紙に戻ります。でも、私はドラマから入っているので、気にせず買いました。
分厚いです。とにかく厚い。850ページほどあります。めげますが、今回はチャレンジしたい!
原作では、ドラマと違って、誰が犯人か明かされずに進むようです。それから、西本雪穂は”並外れて美しい少女”という設定になっています。
二人が運命の糸の織り成すままに、いくつもの事件に巻き込まれていく、壮大な抒情詩的作品と紹介されています。

私、今あまり調子がよくないので、すぐには読めないかも知れませんが、今回はドラマも原作も両方楽しめる気がしています。だってアプローチの仕方が全然違うようですから。

ドラマをご覧でない方、3話までは『朝刊フジ』でダイジェストを書きましたし、公式HPにも簡単なストーリーが載っていますので、それらを読んで、是非テレビでも楽しんで頂きたいと思います。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。
今週末に『THE有頂天ホテル』を見に行きます!!
(あと、今日の夜9時からフジテレビ系で、三谷幸喜監督・脚本の映画『みんなのいえ』が放送されます!)

『週末に読む極上ミステリ#19』~「法廷ものが読みたい」という方へ②~

2005-12-16 00:46:16 | 
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、とにかく寒い!寒い!寒い!のフジでございます。日本全国寒気列島ですねえ。皆さまのお住まいのところも今日はさすがに寒いでしょう。先日、かぜの特集を組みましたけれども、皆さま是非とも体調にはご留意下さい!

さ~て、金曜日です。『極ミス』です・・・って、何かおかしいですか?
うん。おかしい。いつも『極ミス』は土曜日の朝のお楽しみのはず。「モーニング・コーヒーを片手に」などといっていたはず。
実は私、考えたのです。土曜の朝に『極ミス』を掲載しても、土曜日のゆったりした時間では、「よし、書店だ!」てなことにはならないのでは、と。ならば金曜日に掲載し、最寄り駅の書店で実物を見て「ふ~ん、面白そうじゃん」と感じてほしい。というわけで、実験的ではありますが、しばらくの間『極ミス』は金曜に掲載することに致しました。これまでと変わらぬご愛顧を、どうぞよろしく御願い致します。

ところで、先週の『法廷戦術』はいかがでしたか?読めば読むほどこの方は短篇が向いていらっしゃるような気がします。筆運びが絶妙。未読の方は是非書店へ!

で、今週は~「法廷ものが読みたい」という方へ②~であります。法廷ものは書店をうろつけば数々あれど、どれがいいかなあ・・・と悩んだ末に、私、うちの書棚の奥底に、昔買ったある法廷小説があったのを思い出したのです。上下巻です。全部読むのは骨が折れます。でも、読み終わったときの充実感やたまりません。書店には「この本がつまらないとしたら、それは私のせいです」などと編集者のPOPがありました。おうおう、そんなに面白いなら、もう一度読んでみようじゃないか!

スティーヴン・ホーン『確信犯』(ハヤカワ文庫、上・下とも756円税込み)です。

とにかくすごいですよ!雰囲気をつかんで頂くため、早速ストーリーをどうそ!

*ストーリー*

レイモンド・ガーヴェイが殺された。元商務長官にして通称代表団の中心人物・・・しかし世間は本人を添え物にしか見ていなかった。

コロンビア特別区高等裁判所。
「ラシーダ・クリスピン?」と私は告げた。
「はい」
私は自分をフランク・オコーネルと紹介した。あなたの弁護人に指名された、と。
しかし法廷に入ると、熱気が異常だった。あのセレブリティー、アシュレー・ブロンソンがこんな場違いなところにいるのだ。
ラシーダ・クリスピンは保釈された。書記官が「合衆国はアシュレー・ブロンソンに対する審理を要求します」。

ある日、事務所に入っていくと、アシュレー・ブロンソンが机の前に座っていた。
「来週、起訴されるって言われました。殺人罪で」アシュレーは、フランクに弁護を依頼に来たのだ。
「私はあの男を殺しました」机にあった拳銃で、撃ち殺したと。動機は前述のレイモンド・カーヴェイが父に付きまとい、自殺に追いやったから。
「仇を取った、というわけだ」
拳銃には彼女の指紋が残っている。発砲した時に来ていたレインコートには硝煙反応が出ているかもしれない。しかも殺人の起こった時刻、現場近くで彼女は見られている。

アシュレー・ブロンソンの家に招かれたフランク。彼女の手料理を食べることに。フランクは日ごろの雑事から離れ、久々に充足感に浸れた。彼は「有罪の申し立てをしてほしくない」。
「なら、しないわ」
フランクは思った、どいつにも彼女を渡さない。
あの女はおれのものだ。

アシュレー・ブロンソン事件・・・マスコミはそう読んでいたが・・・は、国家的事件となった。裁判所にすらマスコミで入れない状態。それでも彼女は裁判長の「第1級殺人との告発に際し、どのような申し立てを行うのかな」という問いに「無罪です」と答えた。

たった5週間でフランクらは証人を見つけなければならない。ガーヴェイは銃を何人かの者に見せていることが分かった。その時の数人の指紋がついている。有利な証拠だ。一方、あの事件の一週間半前ほどに、ガーヴェイとアシュレーの激しい言い争いが使用人によって聞かれている。不利な証拠だ。
さらに使用人夫妻が外出から帰った時、家からいきなり男が飛び出し、ガーヴェイに何か叫び、近くにあったハロウィーンのかぼちゃをけり散らしたという。この男は何かありそうだ・・・

「土下座して、許しを請わせたかったのよ!」と、ガーヴェイ邸侵入の動機を語るアシュレー。ウォルターは、何故彼女が素直に、男を殺しに行ったと認めないのか訝った。

彼女を被害者宅敷地内で目撃したと言う男が見つかった。マイルズ・ケロッグ。家が近かったのだ。テレビで女性が大写しになっていたとき、あの女とわかったと言う。
しかし、この男、いわくつきだった。ケロッグはCIAのエージェントだったのだ。ケロッグについての情報を細大漏らさず集めることになった。これまでの目撃者は何の役にも立たない。生い立ち、教育、退職の経緯から、行きつけの店、趣味、習慣まで、ありとあらゆる事を調べるつもりだった。
しかし、ケロッグは非の打ち所のない、善良な市民だった。ただ一つ、彼は金曜日に名画座でヒッチコックの『見知らぬ乗客』を見ていたのにも拘らず、水曜日に同じ作品のビデオを借りていたのだ。彼は本当は名画座で映画を見ていないのではないか・・・

日々は過ぎていく。フランクはついに「レイモンド・カーヴェイ事件を、我々自身で捜査する」と宣言した。かぼちゃをメチャメチャにした男が第一候補だ。男はシャーマン・P・バロウズ三世。「シェリー(シャーマン)はいい人よ」とアシュレー。
また、フランクが何気なくアシュレーに見せた3人組の写真。右がアシュレーの父、ヘンリーだ。裏返すと”L3”と書かれている。これには一体どんな意味が?
さらに、実体のない会社〈オクタゴン〉の出現。バロウズが一枚噛んでいるらしい。そして調べを続けるうちに、ガーヴェイも関係があった。ということは、ヘンリーにも関係がある可能性がある。「これ以上、誰も傷かないようにして」とアシュレー。バロウズの弁護士からも警告が。局面は厳しさを増していった。

有力な手がかりを見つけるも、タッチの差で逃してしまうフランク。ガーヴェイとバロウズの関係、またかぼちゃの一件など、すべて報道されることになった。それにしても、〈オクタゴン〉とヘンリー・ブロンソンの関係は?
「よろしい」とフランクはスタッフに言った。「いいかい、いよいよ公判だ。この町でここ数年最大の刑事裁判だぞ!カメラに備えて散髪しておけよ!」

*編集長フジの眼*

というわけで、とりあえず上巻を一気に駆け抜けました!(もちろん全てが書いてあるわけではありませんから、どうかご安心を)。
「私が殺した」と明言するアシュレー。単純な構図の事件です。上巻はひたすら証拠集めに費やされます。私はペリー・メイスン(という、ガードナーという人の書いた弁護士シリーズがあるのです。ハヤカワミステリ文庫にたくさん入っています)のような、法廷でのやりとりが全体を占める作品を望んでいたモンですから、ちょっと残念。それでも色々な新事実が出てきて、あきさせません。

また、この本が出たのは、ちょうどリーガル・サスペンスなるものが大量に出版された時でもありました。その中で、今でも生き残っている本書は本物です。当時の新人作家なのに、会話もシャレてます。例えば、フランクの「(彼女は)殺人犯に見えたか」に対し、雇われている私立探偵ウォルター(この人がやたら大きな役割を果たします)が「殺人犯ってのがどんな風に見えるもんだか、知っているなら教えてもらいたいもんだ。二十五年間お巡りをやってて、そのうち十五年間は殺人課だ。そのおれが未だに分からないことだぜ」などとシャレて答えて見せます。この作家、ただものではありません。

下巻でついに開廷します。検察側のさまざまな難関を、フランクの素晴らしい機転で乗り切っていく様は、フィクションとしての法廷小説の面白さを余すことなく披露してくれます。
しかし、最後の最後で検察側から、ある証人を召喚するように要請があります。なぜ今?当惑するフランクたちに、4日の猶予が与えられます。対応策を練るのです。
しかし・・・本書の読みどころはここからなんですねえ。元はと言えば、女が商務長官を撃ったという事件。陪審員を納得させたいくつもの事実。これが大逆転するのです!詳しいことは未読の方のために書けませんが、単純な構図の事件が信じられない変貌を遂げます。是非読んでいただきたい!本書、もしかしたらアメリカミステリ初心者の方にはちょっとキツイかもしれません。実は私、この本を数年前に一度読んだのです。でも何を言っているんだかサッパリ分かりませんでした。しかし今回は仰天!やられました!

*私的採点*

★★★★(★5個で満点)

これ、悩みました。せめて4+1/2にしたいと思いました。でもどうしても出来ませんでした。理由は・・・この本、フランクの孤軍奮闘ぶりが最後まで緊張感を持続させるのですが、対する相手が大物過ぎて「これをどう逆転するんだろう?」と期待してしまうのです。ところが・・・う~ん、言いたくないけれど、言ってしまおう。フランクの方にも、大物がいたのです。残念ながらこれだけしか言えません。
これ、決して作品の瑕疵ではありません。実は私、4~5時間かけて本書の下巻をぶっ続けで読んだものですから、ヘトヘトになってしまって、「おい!そんなんでいいのか!」と思ってしまったのです。普通の精神状態ではなかったみたいです。そういうわけで、安心して本書をお楽しみ下さい!

さて、来週は未定です(笑)。
私のライブラリーには、面白法廷ものがたくさんあり、是非紹介したいのですが、法廷ものは読むのに骨が折れる(最近慣れてきましたが)。そこで、来週は、もし読み終えたなら面白法廷本を。そうでなければ~「ミステリはそれなりに読んでるよ」という方に③~を復活させます。お楽しみに。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。