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※症例は患者様の同医済み.

辞書は言葉の海を渡る舟、鍼灸古典医書は病気の海を渡る舟、鍼灸師はそれに乗り治療する。

2013-04-06 16:39:50 | ブレイク
 誤治・脱字が多い人間がいうのもはばかりますが、辞書は東洋医学用語を調べたり文書を書いたりするうえで自分にとってなくてはならないものです。

 三浦シオンの「船を編む」という小説は辞書をつくるまでの物語で、その中に、「持病の癪が...」とおばあさんが胸が痛み出す場面があります。
癪(しゃく)という単語ですが、てっきり東洋医学用語だと思ってました。
歴史小説ならまだしも現代小説の中にでるとは、自分の常識のなさを思い知りました。
とりあえず、広辞苑で調べてみるとほんとにありました。
・□種々の病気によって胸部・腹部に起る激痛の通俗的総称。
・婦人に多い。
さしこみ。
と説明されてました。

小説の中のおばあさんの様子から持病という言い方をしているので「狭心症」がまず思い浮かびますが、女性に多いとなると、自律神経失調症の類になろうかと思います。
このおばあさんは亡くなるのですが心不全による老衰となってました。
[心不全=心臓病]ではないため"癪"の原因疾患の説明は最後までありませんでした。

 こういうふうに東洋医学となると専門書でなくとも古い辞書でことたりることがあります。

 「陰虚」「陰証」なんかは完全に東洋医学の専門用語ですが、これらも広辞苑(第4版)に出ています。
 ただし語意には違ったりすることがあって、例えば、「消渇」は東洋医学の文献では糖尿病と解釈されてますが、広辞苑では他に、「婦人の痳病の俗称」という意味も書かれてます。

また「麻痺(マヒ)」という単語ですが、国語辞典では運動神経や感覚的な機能低下を麻痺と言っていて、広辞苑第4版では「運動麻痺と知覚麻痺とがある」と書いてあります。
医学書では運動神経の機能低下を麻痺といい、感覚神経では「知覚鈍麻」などと言い、麻痺という言い方をすることは少ないです。ただ心臓マヒと言った場合、心臓は運動神経で動くものではありませんが、心臓マヒという言葉自体を医学的には使いません。
なので偉い先生は「医学的には...」と注釈がまくらに入りますがこれも偉ぶるのではなく必要だということですね。こういうのは早く統一してほしいものです。

 「船を編む」は映画化されたようですが、小説を買った人しか楽しめないトリックがあるので、本を購入されることをお勧めします。ただし単行本ですよ。

 小説のなかで辞書の必要性を説明するセリフがありました。それを鍼灸古典医書として書き換えてみました。

「鍼灸古典医書は病気の海を渡る舟だ。鍼灸師は鍼灸古典医書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな反応を集める。最も適した証で正確に鍼灸を患者に施すために。もし鍼灸古典医書がなかったら俺たちは茫漠とした大海原を前に、佇むほかないだろう」

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