極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

結婚しない人たち

2007年09月13日 | 今日の風の吹きまわし
カナダ統計局が去年の国勢調査に基づく「家族形態」のデータを発表した。これによると、伝統的な「結婚」
が減り続けているそうだ。伝統的というのは法律上の結婚のことで、単親家庭、事実婚、同性婚といった
「非伝統的」な家庭が急増しているというわけ。

事実婚カップルが最も多いのはカトリックの伝統の強いケベック州で全体の半分。増加率が最も高かった
年齢層はなんと60才から64才で、5年間で77%も増えたとか。法律婚にこだわらなくなりつつあるのは、
いったん結婚したら解消する手続きがめんどうだからだろう。どこの州でも結婚するのに結婚法があって、
離婚するのに離婚法があるけど、BC州の結婚法と離婚法を比べたら、離婚法の方が格段に長いのだ。
で、よくよく読んでみたら、ほとんどが子供を含めて何が誰のものかという、相互の「コミットメント」などは
二の次で、結局は「所有権」の話ばかり。だったら、結婚は社会契約なんていうくらいなんだから、好きな
同志で契約を作って、互いに資源を持ち寄って暮らし、冷めたら「契約書」に従って別れた方がよっぽど
民主的かもしれない。

それに、カナダには戸籍制度がないから戸籍謄本というものがないし、嫡出子と非嫡出子の差別もなく、
夫婦別姓が認められているから、結婚している、いないは見てわからない。税金や社会保障の上では
法律婚でも事実婚でも同性婚でも、配偶者の権利は同じだし、就職するにしてもそんな私生活の質問は
ご法度だ。要するに、社会的に法律婚にこだわる理由が見あたらなくなっているということだろう。

私だって、もしも日本のように離婚届に判を押して役所に届けるだけで「結婚」を解消できるんだったら、
たぶんそうして、改めて「事実婚」としてツレアイ君と再出発していたかもしれない。それができないから
結婚指輪を捨てるという「儀式」で自分なりにやり直しのけじめをつけたけど、ツレアイ君の方が「法律では
まだ結婚しているんだ」とのたまわるから、「その法律を蔑ろにしたのはあなたです」といっておいた。

でも、まあ、あれから数年経ったけど、二人はまだカップルでいるわけなんだから、家族の関係など元から
して法律で縛れるものじゃないのかもしれない。家族の愛やコミットメントは法律で「~たるもの~すべし」
なんて四角四面に規制できるものじゃないもの。ディケンズの言葉を借りるなら、「The law is an ass
(法律など頑迷なおバカ)」なんだから。

新聞記事によると、(離婚や死別によらない)単親、事実婚、同性婚という新しい家族形態が増えたことで、
カナダ人はその多様性にきわめて寛容になったという。これは大いに喜ぶべきことだよねぇ。