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リーマン予想と素数の謎、旧その2(20/4/5更新)〜オイラーとリーマンのゼータと、虚数の謎と素因数分解と〜

2018年01月22日 02時23分55秒 | リーマンの謎

 ふとした偶然からリーマンに出会い、そして”リーマンの謎”にのめり込んでしまいました。これこそが世界中の数学者を虜にした、魅惑の”ゼータ謎解き”の醍醐味なんだろうか。
 しかしズブの数学素人が、ゼータに内蔵する個々の定理をバカ正直に証明する事は、それ自体が自殺行為(笑)です。

 つまり、ありとあらゆる関数や定理や定義や系の、気の遠くなる様な複雑怪奇の組合せで、数学は構築されるてるんですが。これらをパズルを解く様に、トリックやマジックを使い、一つ一つの謎の鍵を外していく。
 何だかマジシャンみたいな不思議な気分になりますね。


虚数の出現とオイラーの洞察と

 このリーマンのゼータ関数に関しては、複素数や複素関数、複素平面とか、日常では聞き慣れない言葉が沢山出てきます。
 因みに、複素数を成す虚数iとは英語で、イマジナリナンバーといい、2乗した時にマイナスの実数になる”想像上の数”です。
 この”虚数”の歴史に関しては、”1の10”をClick参照です。
 しかし、この実数(a,b)と虚数iを組合せた複素数(a+bi)こそが、数学者にはとても有り難い数字となっていて、1次元のみで扱われてた数を2次元の座標で表せる事により、数論のいや数学の扉が世界へ向けて大きく開いた訳です。
 上述した様に、1次元で表現される実数に対し、2次元の平面上で表現される事で、複素平面とも言われます。故に、複素数の世界は実在する実数に比べ、拡りと旨味のある仮想上の世界なんです。

 例を挙げれば、複素数に"i"をかけると、マイナス90度回転させた座標に移動する魔法の数字なんですな。(a+bi)×i=ai−bという事です。

 実は、オイラーの公式(e^(iθ)=cosθ+isinθ)の発見&証明(1748)こそが、虚数のもつ重要性を解き明かし、虚数の評価が一変したんです。
 因みに、この偉大なる公式の最初の発見者は、ロジャー・コーツ(英、1682〜1716)とされ、1714年に、log(cosx+sinx)=ixを発見したんですが、三角関数の周期性による対数関数の多価性(解が無限にある)を見逃した(イラスト右上)。
 その後、オイラーはこの対数の形の公式から指数の形に注目した。そして1748年、指数関数と三角関数の級数展開を比較する事でオイラーの公式の証明が得られたんです。

 コーツは33歳で他界してますから、盟友のニュートンが言う様に、彼が生きてたら”オイラーの公式”は、彼が証明してたかもです。
 つまりコーツの発見がなかったら、この”オイラーの洞察”は埋もれたままだったかもしれない。それ迄、詭弁的な数字で、実用性はないとされてた虚数は、闇に埋もれたまま、現代数学もまた闇に埋もれ、腐れていったのしょうか。
 或いは、現代数学はギリシャ数学のまま停滞してたであろうか。故に現代数学の歴史は、そのまま虚数の歴史と言えますね。


リーマンとオイラーのゼータ関数

 前回の”旧その1”(要Click)でも述べた様に、オイラーの手で初めて発見されたこの無限級数の、そしてリーマンにより、ζ(ゼータ)と名付けられたこのリーマンゼータ関数のその謎ですが。
 当時の偉大な数学者は、このゼータ関数に今ほど興味と野心を強く抱いてたんでしょうか?
 事実オイラーの時代は、ゼータは単なる無限級数とみなされてたし、リーマンの時代は、ゼータよりも素数定理の方が重視されていた。
 因みに、このリーマンとオイラーのゼータ関数ですが。判りやすく言えば、整数域のゼータがオイラーのゼータであり、複素数域のゼータがリーマンゼータと覚えときましょう。

 リーマンゼータ関数ζ(s)=Σ(s=1→∞)1/nˢは、複素数領域で定義されますが。勿論、1以上の全ての実数 r∈Rでも、無限級数であるζ(r)=Σ(n=1→∞)1/nʳは、1+1/(rー1)に収束し、定義できます。
 これは、y=1/x²のグラフに注意し、1+1/2ˢ+1/3ˢ+•••を図示すると、以下の不等式が得られ、Σ(n=1→k)1/nʳ<1+∫(1→k)dx/x²を、k→∞に拡張する事で証明出来ます。

 このゼータ関数は、実数の複素数乗が定義できる事から、ゼータ関数は無限に展開する複素数S上でも意味を持つとありますが。複素数も実数で定義出来るんで、実数上で定義出来るゼータ関数も、複素数上でも定義出来そうな気も、素人目にはするんですが。
 でも実際には、”1の2”から”1の5”で詳しく述べた様に(出来ればClick参照)、ゼータの複素数領域への拡張は、まず、オイラーの整数域のゼータをオーレムの定理とマクローリンの定理を使い、実数域に広げ、そこからゼータ関数の各項の絶対値をとり、右半分の領域(Re(s)>1)にまで広げました。
 そして、オイラーの第一積分表示とリーマンの第二積分表示を用い、気の遠くなる様な2種類の解析接続を駆使し、複素領域を左側(1以外の全域)へと広げていったんです。


素因数分解とゼータ関数の蜜な関係

 ややこしい話ですが。自然数でゼータ関数を考てみましょう。自然数N≧1に対する有限リーマンゼータ関数を、ζN(s)=Σ(n|N)1/nˢとすると(n|Nとは、nはNの約数です)、少し堅苦しい表記ですがご勘弁を。
ζ1(s)=1、
ζ2(s)=1+1/2ˢ、
ζ3(s)=1+1/3ˢ、
ζ4(s)=1+1/2ˢ+1/4ˢ、
ζ5(s)=1+1/5ˢ、
ζ6(s)=1+1/2ˢ+1/3ˢ+1/6ˢ=ζ2(s)ζ3(s)、•••、
となり、素因数分解とも、怪し気に繋がってくる予感がしますね。

 事実、素因数分解とオイラー積は密に繋り、それがきっかけでオイラーはゼータを発見します。オイラーがやった様に、自然数でゼータ関数を見ていくと、少しづつその本質が見え隠れしますね。
 余計なお世話ですが、n|Nなるnを素因数分解すると、ζN(s)=Π(p|N)(Σ(k=0→ordp(N))1/pᵏˢ)というオイラーの積表示を満たす。
 また、Nの素因数分解は、N=Π(p|N)p^(ordp(N))。つまり、pのordp(N)の総乗で表現できます。因みに、ordp(N)とは、Nに含まれる素数pの個数(位相)の事です。
 故に、オイラーの積表示から生まれたゼータ関数が素因数分解と密に繋ってるのが明らかになってきます。

 一方で、この難解な素因数分解の厄介な仕組みこそが、RSA暗号(素因数分解する事で暗号を復元)の安全性を確保してんです。
 例えば、100桁の数を素因数分解するには、スパコンを使っても天文学的な時間がかかるとか。”暗号の仕組み2”ブログもClick参照です。
 本来、この”旧その2”は、後の”その1”(全12話)や”その2”(全18話)とダブるので、省くべきなんですが。私がリーマンにのめり込むキッカケとなったおバカな記事です。記念として一応遺しときます。



4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
オイラーって (unknown)
2018-01-27 06:33:46
リーマンもそうですが、オイラーって凄い人なんですね。19世紀がリーマンなら、18世紀はオイラーの時代。
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Re:オイラーって (lemonwater2017)
2018-01-27 09:14:10
 ホントですね。オイラーがいなかったら、リーマン予想は存在しただろうか。それ程、オイラーには頼ってますもんね。オイラー恐るべしです。
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ロジャー・コーツ (paulkuroneko)
2019-02-19 18:10:43
ロジャー・コーツと来ますか。確かに彼が長生きしてたら、オイラーの公式は、コーツの公式になったかもしれません。

しかし、彼の発見がオイラーの洞察を生んだとも言えますね。

主値と多価関数を使った、ゼータの拡張は少し解りにくいですが。マクローリン展開やオイラーの公式を使った事から,リーマンがやった拡張方法と類似してるのかもしれません。



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主値と多価関数 (lemonwater2017)
2019-02-20 12:51:14
paulサン、懐かしい記事にアクセ頂いてどうもです。実は私も、主値と多価関数の関係が不透明過ぎて、この記事は消そうかとも思ったんですが。

でも振り返ってみるとやけに懐かしいんですね。素因数分解に関しては、既にギリシャ時代に発見された事で今更とは思いますが。

ゼータと素因数の関係は、オイラーで完成されてんで、説明するまでもないんですが。

何だかコメントになってなくてスンマセン。
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