前回「その5」では、ルベーグ積分のアイデアを再検証しましたが、リーマン積分では、x軸上の区間[0,1]をn個に分割し、n→∞とした時の微小区間dxとそれに対応するf(x)を掛けた長方形の面積f(x)dxを全て足し合わせ、面積を近似しました。 一方、ルベーグ積分では定義域[0,1]ではなく、値域の[0,∞)を分割する。この時、定義域[0,1]は不自然な形に分割され . . . 本文を読む
”ある男は分散攻撃という巧妙な戦術を思いついた。それは、滅多に人が踏み込まない地点に狙いを定めたのだが、不気味な荒涼たる谷間だった。ところが、まさに同一の戦術をビーバーが既に思いついていたし、選んだ地点も同じだった”(「ルイス・キャロル詩集」より) 「眠れぬ夜の確率論」の著者・原啓介氏は高校の頃に”人生には悩みは存在しない”との仮説を打ち立てる。社 . . . 本文を読む
前回「その4」では、”パスカルの賭け”を中心に述べましたが、39歳という短い生涯を”パスカルの原理”に基づくランダムネスの確率の計算に捧げただけでなく、確率論の中核をなす期待値の概念である”勝ち点問題”にも大きな影響を及ぼしました。 例えば、ワールドシリーズの7試合制での勝敗の不公平さや、少人数での閣議決定による誤謬と矛盾は . . . 本文を読む
前回までのおさらい 前々回「その3」では、確率論と測度論(積分論)の関係について述べましたが、ルベーグ積分では測度を使って積分値が求まる為に”積分と測度は同じ概念”とも言える。 また、確率論とルベーグ積分論はどちらも測度論という分野に属するが、最後に確率と積分の違いを簡単に言えば、まず測度論では”集合の元の量を測る”訳だが、集合の元の量を&rdquo . . . 本文を読む
前回「その3」では、パスカルの”勝ち点問題”を中心に述べました。 そこで、前回までのおさらいを大まかにしますが、今日の統計学には欠かせない”標本空間”の考え方は、生まれつき根っからのギャンブラーであり、現役の医者で天才数学者でもあるカルダーノによってもたらされた。また、ガリレオは「サイコロゲームの考察」で”確率の事象”を詳細 . . . 本文を読む
前回「その3」では、確率論と測度論(積分論)の関係について述べましたが、ルベーグ積分では測度を使って積分が求まる事から”積分と測度は同じ概念”とも言えます。 今では、ルベーグ積分論を測度論とみなす事で、確率論や金融工学などの分野でも大きく飛躍し、特に、現代の高度な確率論を(確率空間上で)記述する為の道具として測度論は注目されている。 一方、数学における確率論では、確率を& . . . 本文を読む
「その1」では、リーマン積分とルベーグ積分の密な関係を述べ、「その2」ではルベーグ積分の本質と定義について述べました。 特に、ルベーグ積分では、集合のσ加法族を定義し、その上のσ加法的な集合関数として測度と可測関数が定義され、更に単関数の近似の極限を使い、一般関数におけるルベーグ積分の主定理を紹介しました。 が、どうも”測度”という言葉が引っかかる . . . 本文を読む
前々回「その1」では、「ドランカーズ・ウォーク~日常に潜む”偶然”を科学する」の第1章”ランダムネスという不思議な世界―ベストセラーは<たまたま>生まれる?”の中のR・マリスの本塁打記録だけを簡単に述べたが、少し補足すると、本塁打を打つ確率は打席数が増える程にランダムな要素が平均化され、その平均から度々ズレる事がある。 こうしたスレの頻 . . . 本文を読む
前回「その1」では、”<たまたま>を科学する”というテーマで、偶然の特性であるランダムさの中に潜むバイアス(偏り)やバラツキやパターンをも科学の対象にし、更には、偶然に潜む錯覚や誤解までも科学の力で解明しようとした歴史を大まかに説明しました。 「ドランカーズ・ウォーク」では、著者のR・ムロディナウ氏がロジャー・マリスの本塁打世界記録の分析や、伝説のファンド・マ . . . 本文を読む
人は”情け”のある生き物である。 が故に、”直感”という流れに抗うのは困難であり、人間の思考がランダムな事象には上手く対応できなくなる。更に、偶然が絡むと思考のプロセスに重大な欠陥が見られるからだ。 つまり、人間の脳は1つの出来事に対し、1つの明確な原因を作る様に出きている。故に、人は無関係でランダムな要素の影響を受け入れる事は容易ではない。 こう . . . 本文を読む