夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

・ライブドア vs フジテレビ 予防と戦略,法務的勝敗は?

2005年03月07日 11時58分36秒 | 企業法務学習日記
 予防法務と戦略法務という言葉は,よく聞く言葉になってきているが,その内容ははっきりしない部分もある。
 まず,予防法務だが,これは比較的わかりやすい。一義的にいえば,法的紛争を予防するための活動といえる。例えば,契約書を検討したり,相手方の信用状況を調査したり,あるいは株主総会対策をしたりと,企業活動を行う上で自社が法的な不利益を被らないように手当てしておくことともいえる。法的活動としては,防衛的なものである。以前は,臨床法務という言葉も使われたが,臨床に至らないように予防するのが本義といえる。
 これに対して,戦略法務というのは,一義的にいいにくい部分がある。戦略法務とは,法務的観点からの経営参画であると抽象的にいうこともできるが,予防法務も戦略法務に含まれるといわれる場合もある。そうすると,予防法務の対立概念ではなく上位概念ということになるが,そうはいいにくい(契約書の検討や文書管理といったものが戦略法務といえるとは思えない)。そこで考えて見ると,法務的観点からの経営参画とは,積極的に法的活動をして行くことと言い換え得る。例えば,企業買収を行うことで企業規模を拡大し利益の増加を図るような活動の場合,企業買収という法的手段を積極的に利用していることになる。ここでは,予防法務の防衛的な性質はなく,むしろ攻撃的な法的活動といえる。
 このように考えて見ると,予防法務と戦略法務を区別するものは,その法的活動が防衛的か攻撃的かによるといえそうである。

 さて,ライブドア対フジテレビである。
 上記のような観点から今回の問題を見ると,買収しようとするライブドアは,攻撃的である戦略法務を,買収を阻止しようとするフジテレビは,防衛的な予防法務をそれぞれ行うことになると考えられる(ちなみに現在は臨床段階である)。
 現在までに明らかになっている事情を基礎に判断する限り,両者とも穴があるが,相対的に見ればライブドアの攻撃策に分があるといえる。

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