ネタがないなぁ、困ったなぁ、どうしよっか、また無断欠席しちゃおうかと外をぼんやり眺めていたら(勉強すりゃいいのに)今日は雨が降ってるのね。雨・・・雨、そうだ、あの日も雨が降っていた。
学生時代のある雨の日、僕は暇つぶしに、今はもうなくなってしまった西新宿の映画館に所謂ピンク映画を見に行った。題名も覚えていないし、映画を見出して10分も居ないで出て来ちゃったから、ストーリーも何も解らない。入場料損したなぁ。
大勢の立ち見客がいる程映画館は混雑していて、もちろん僕もうしろで立ち見となった。持っていたビニール傘の柄の部分に両手を起き、自分の前で立てて持っていた。
僕の前には背の高いオジサンが立っていてスクリーンが見え辛い。
右へ動き、少しでも映画を見ようとするんだけど、オジサンも右へ動く。
今度は左へ動くと、オジサンも左へ動く。
スクリーンに集中していたから最初は解らなかったんだけど、オジサンが動くたびにどんどん視界が狭くなって行くことに気が付いた。オジサンは横方向に動いていたのではなく、左右に動きながらうしろへも動いていて、僕との距離を縮めていたんだ。
そのことに気づくとともに、僕は自分の手にナニかが触れていることにも気づいた。視線を落とすと、暗がりになれた僕の目がとらえたモノは、僕の手の甲を撫でているオジサンの手だった。
瞬間、下半身にアツいものが込み上げて・・・ヂャなくって、体中の皮膚という皮膚がトリになり、頭の毛穴という毛穴から冷や汗が滲みだすのが解った。
そういえばオジサンは体勢を変える時に、1塁にランナーを抱えた右投げの投手が様子をうかがうかのように、首を捻っている。僕の手の位置を確認しながら動いていたんだな。
大したもんだ、なんて言われてんじゃねぇぞぉ、ゴルァ!!!
僕の手を襲った大事件に気づくと同時に、お尻にも今まで感じたことのない感触・・・。
誰かが僕のケツをこねくり回してる!!!
後ろを振り返ると男の手が3つ、僕の体を撫でている。
「ココに居てはいけない。」
亡くなった爺さんの声が聞こえたような気がした。
急いで踵を返すと、僕は廊下に飛び出した。大勢の男性が一気に僕の「目」を見た。どの目も僕の目の奥を突き刺すような視線。僕の「正体」を見抜こうとする視線だった。更なる鳥肌攻撃が僕を襲った。
あとで知った。ピンク映画だから男の観客が多かったのではない。その映画館は「巣窟」であったということを。
みんな「夜のご友人」を探しに来てたんだ。
その頃訪れたサン・フランシスコで知り合ったカフェのオヤジ。
夕方店のシャッターを締めようとしている時に会ったので「これからちょいと飲みに行かないか?」と誘われ、しばらく2人でビールを飲んでいると彼の「友人」が現れた。
自己紹介をしたあと喋っていると、そのうちオヤジと友人のスキンシップが始まった。男同士の友人にしてみたらちょいと度が過ぎるんじゃない?オヤジの肩に置かれた友人の手の甲に、オヤジがキスしてるじゃん。チョ・超キモ~イ(当時はそんな言い方はありませんお)と思ってたら、オヤジが「僕は家族がフロリダに居てね、今この友人と一緒に住んでるんだ。どうだい、これからウチに来て食事を一緒にしないか?僕が作るから。」
友人は細身だから、イザという時にはどうにか逃げられるかもしれない。が、オヤジは腕も太くその気になってしまったら、僕の春は散ることになるだろう。
まだ「男」として生きていたい・・・。
聞こえた。「ココに居てはいけない」。爺さんの声だ。
”So ・・so I ha ha have to GO・・ ” 用事考えるの大変ぢゃないか!
社会人になって電車通勤のある朝、僕はドアに向って立ち、週刊文春を読んでいた。
股間に違和感を感じた。文春を閉じて見た。特に異変はない。
また読み出すと、文春の向こう側でモゾモゾ感を感じる。
急いで閉じてみると、ドアにへばりついて僕に向ってスリークォーターの位置に立っている薄汚い男の手が、僕の股間から逃げて行くのが見えた。
次が僕の降りる駅ではなく、出社時間ギリでなければボコってやろうと思ったんだけどなぁ。
それから3年。先輩が新宿2丁目のオカマ・バーに誘ってくれた。乗り気ではなかったけど、その手の店には行ったことがなかったので、話の種に。
「こちら◯ちゃんて仰るのぉ?ス・テ・キ・ねぇ~。」
モテた。思いっきり。
キショク悪かった。
シャツのボタンを外されて、上半身をクチョクチョ触られて、キスの洗礼を受けた。
この手の店は願い下げだ。
気持ち悪いので、興ざめさせてやろうと「前職はなにしてたんですか?」と2人のカバちゃんに聞いてみた。
1人は中学校の数学の教師だって。どこでホントの自分に気が付いたんだ?
もう1人は急に背筋が真っすぐになって「はっ!自分は陸上自衛隊員であります!」
なんとなく解るような気がするなぁ。痔栄隊員かぁ。
学生時代のある雨の日、僕は暇つぶしに、今はもうなくなってしまった西新宿の映画館に所謂ピンク映画を見に行った。題名も覚えていないし、映画を見出して10分も居ないで出て来ちゃったから、ストーリーも何も解らない。入場料損したなぁ。
大勢の立ち見客がいる程映画館は混雑していて、もちろん僕もうしろで立ち見となった。持っていたビニール傘の柄の部分に両手を起き、自分の前で立てて持っていた。
僕の前には背の高いオジサンが立っていてスクリーンが見え辛い。
右へ動き、少しでも映画を見ようとするんだけど、オジサンも右へ動く。
今度は左へ動くと、オジサンも左へ動く。
スクリーンに集中していたから最初は解らなかったんだけど、オジサンが動くたびにどんどん視界が狭くなって行くことに気が付いた。オジサンは横方向に動いていたのではなく、左右に動きながらうしろへも動いていて、僕との距離を縮めていたんだ。
そのことに気づくとともに、僕は自分の手にナニかが触れていることにも気づいた。視線を落とすと、暗がりになれた僕の目がとらえたモノは、僕の手の甲を撫でているオジサンの手だった。
瞬間、下半身にアツいものが込み上げて・・・ヂャなくって、体中の皮膚という皮膚がトリになり、頭の毛穴という毛穴から冷や汗が滲みだすのが解った。
そういえばオジサンは体勢を変える時に、1塁にランナーを抱えた右投げの投手が様子をうかがうかのように、首を捻っている。僕の手の位置を確認しながら動いていたんだな。
大したもんだ、なんて言われてんじゃねぇぞぉ、ゴルァ!!!
僕の手を襲った大事件に気づくと同時に、お尻にも今まで感じたことのない感触・・・。
誰かが僕のケツをこねくり回してる!!!
後ろを振り返ると男の手が3つ、僕の体を撫でている。
「ココに居てはいけない。」
亡くなった爺さんの声が聞こえたような気がした。
急いで踵を返すと、僕は廊下に飛び出した。大勢の男性が一気に僕の「目」を見た。どの目も僕の目の奥を突き刺すような視線。僕の「正体」を見抜こうとする視線だった。更なる鳥肌攻撃が僕を襲った。
あとで知った。ピンク映画だから男の観客が多かったのではない。その映画館は「巣窟」であったということを。
みんな「夜のご友人」を探しに来てたんだ。
その頃訪れたサン・フランシスコで知り合ったカフェのオヤジ。
夕方店のシャッターを締めようとしている時に会ったので「これからちょいと飲みに行かないか?」と誘われ、しばらく2人でビールを飲んでいると彼の「友人」が現れた。
自己紹介をしたあと喋っていると、そのうちオヤジと友人のスキンシップが始まった。男同士の友人にしてみたらちょいと度が過ぎるんじゃない?オヤジの肩に置かれた友人の手の甲に、オヤジがキスしてるじゃん。チョ・超キモ~イ(当時はそんな言い方はありませんお)と思ってたら、オヤジが「僕は家族がフロリダに居てね、今この友人と一緒に住んでるんだ。どうだい、これからウチに来て食事を一緒にしないか?僕が作るから。」
友人は細身だから、イザという時にはどうにか逃げられるかもしれない。が、オヤジは腕も太くその気になってしまったら、僕の春は散ることになるだろう。
まだ「男」として生きていたい・・・。
聞こえた。「ココに居てはいけない」。爺さんの声だ。
”So ・・so I ha ha have to GO・・ ” 用事考えるの大変ぢゃないか!
社会人になって電車通勤のある朝、僕はドアに向って立ち、週刊文春を読んでいた。
股間に違和感を感じた。文春を閉じて見た。特に異変はない。
また読み出すと、文春の向こう側でモゾモゾ感を感じる。
急いで閉じてみると、ドアにへばりついて僕に向ってスリークォーターの位置に立っている薄汚い男の手が、僕の股間から逃げて行くのが見えた。
次が僕の降りる駅ではなく、出社時間ギリでなければボコってやろうと思ったんだけどなぁ。
それから3年。先輩が新宿2丁目のオカマ・バーに誘ってくれた。乗り気ではなかったけど、その手の店には行ったことがなかったので、話の種に。
「こちら◯ちゃんて仰るのぉ?ス・テ・キ・ねぇ~。」
モテた。思いっきり。
キショク悪かった。
シャツのボタンを外されて、上半身をクチョクチョ触られて、キスの洗礼を受けた。
この手の店は願い下げだ。
気持ち悪いので、興ざめさせてやろうと「前職はなにしてたんですか?」と2人のカバちゃんに聞いてみた。
1人は中学校の数学の教師だって。どこでホントの自分に気が付いたんだ?
もう1人は急に背筋が真っすぐになって「はっ!自分は陸上自衛隊員であります!」
なんとなく解るような気がするなぁ。痔栄隊員かぁ。