いくつかの漂流記を読んだ、今までは漂流記として読んだわけでなく、
吉村昭作品を読んだのである。 きっかけとなったのは愛知県知多出身の
船頭、小栗重吉を知ったことから始まった。
どの遭難も想像を絶する困難から、生きて故郷に
帰ることができたのは奇跡である。しかし必ずしも幸せではなかった。
その中でも「アメリカ彦蔵」は格別の面白さだった。
彦蔵は13歳で遭難、アメリカの艦船に助けられた。
鎖国政策中の徳川幕府、帰国してもどのような扱いを受けるかわからず、
アメリカへ行くことを選択、これが彦蔵の運命の岐路になった。
優しく裕福な篤志家のサンダース夫妻との出会いがあり、
大切に育てられた。
高等教育も受けさせてもらい、高等会計学なども学んだ。
リンカーンはじめ3人の大統領にも接見、民主主義も知ることになる。
また毎日刊行される新聞を知り、帰国後日本で初めて新聞をだした。
彦蔵がアメリカ滞在中、日本は幕末の動乱真っただ中、
アメリカでは南北戦争も終決しておらず、清国は列強に侵略され
間もなく清朝の崩壊を見た。ヨーロッパのことなど
同時期の各国の歴史を見る面白さがあった。
帰国後の彦蔵は英語は堪能、西洋のマナーに通じ、貿易などの
専門知識も豊富、日米双方から重宝がられた。
夢にまで見た故郷は貧しく馴染めない、
アメリカを恋うる自分、日本語より英語が堪能、
文章も漢字の知識不足のため、英文のほうが堪能、
自分は「一体何者?」と悩み続けた。
明治30年、61歳で彦蔵の波乱の生涯は終わりました。
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このところ私は家事山積しているのに、ブログも更新せず
面白さに「遭難記」の海に溺れていました。