
『黄色い髪』の解説・児童文学者の上野瞭さんの文章から抜き書きしてみます。物語のことをまとめてくださっています。
夫を亡くし、美容院で生計を立てている史子。娘で中学二年の夏実。小学校六年の春男。『黄色い髪』は、この家族を中心に展開する。夏実の無断早退は、そもそもクラスの中に醸成されている「いじめ」の結果である。最初、いじめられているのは、生まれつき髪の縮れた藤山里子である。夏実は、便所掃除を押しつけられたこの少女に手を貸したことから、「いじめ」の対象にされる。
今から40年近く前、その時にも「いじめ」はありました。もっと昔もあったのでしょう。いつそういうものが自分のまわりに起こるのか、不安で恐ろしくて、中学生たちは気が気ではありませんでした。
いじめは、かばってあげよう、助けてあげようという人もターゲットにする。とにかく、誰か対象があればよかったんだろうか。
夏実の母史子は、学校内で進行しているそうした隠微な言動を、里子の母親に会ってはじめて知る。
「里子の母親は涙ぐんでいる。男の子なら、やられたらやり返せということが、自分の身は自分で守らなければならないことだとすれば、男の子も女の子も同じだと思うが、身を守るどんな方法があるのだろうか……」
涙ぐむこの母親は、娘の父でもある夫が、そういって娘の問題に背を向けたことで悩んでいる。
そして主人公の夏実さんは家出して、母親の史子さんは娘さんを探す。娘さんは、いろんな人と出会い、母の苦労も知り、家に帰り、黄色い髪を丸刈りにして学校に復帰する。
そんなお話のようでした。何年もかかって読み終えましたが、夏実さんが家に帰ろうとしたのはなぜか? 史子さんは、東京のあちらこちらを探し回り、若い人たちの苦しみを知り、娘さんを受け入れることができた。
なぜ娘さんは家に帰ることになったのか。読んだのに見落としています。もう一度あちらこちら見直してみたいと思います。
ただ家出して苦労したから家に戻ってきた、というだけではないと思うんですけど、なぜなのか、読んだのにわからないなんてね。