
兼好さんが生き物の気持ちになって述べているところがありましたので、抜き書きしてみます。擬人法とか使ってるかな?
おほかた、生けるものを殺し、痛め、闘はしめて遊び楽しまん人は、畜生残害の類なり。
だいたいにおいて、生きているものを殺したり、痛めつけたり、闘わせて遊び楽しむような人は、互いを噛み合うケダモノの仲間である。
かなり過激なことから書き始めましたよ。動物虐待はダメだけど、ニワトリでも、ウシでも、クモでも、クワガタムシでも、それはもう人間たちは生き物同士を戦わせるの好きでしたよ。それが己のプライドやら、収入に関わって来るので、それはもう必死になって戦わせて来たんじゃないかな。
よろづの鳥獣、小さき虫までも、心をとめて有様を見るに、子を思ひ、親をなつかしくし、夫婦を伴ひ、嫉み、怒り、欲おほく、身を愛し、命を惜しめること、
すべての鳥獣は、たとえ小さな虫までも、注意をしてその様子を見てみると、どんな生き物だって、当たり前なんだけれども、子を思い、親を慕い、夫婦連れ添い、ねたみ、怒り、欲深く、わが身を愛し、命を惜しんでいることをしています。それはもう確かな事実です。
生き物って、自らの子孫を残すために、次の命のために、必死になって生きてるんだから、それはもう生きることにガムシャラですよ。ハイ、それはもう自らを振り返れば、なんとなく理解できます。みんなのんきに見えても、それなりに必死で生きている。
ひとへに( )なる故に、人よりもまさりて甚(はなは)だし。
生き物というのは、いちずに( )であるために、人間よりもずっとその個々の感情・思い入れ・むき出しの気持ちというのが、はなはだしいのである。……空欄に適切な漢字2字を考えてください!

彼に苦しみをあたへ、命を奪はんこと、いかでか痛ましからざらん。
こうした生き物たちに苦しみを与え、命を奪うようなことは、どうして痛ましくないことがあろう。いや、痛ましいというか、ひどいというか、人間のわがままというか、人間だけが人の気持ちをもてあそぶのです。
生き物は,他者の気持ちをもてあそぶことなんかしない。彼女を求めてオスどもはそれぞれの生き方でアピールしたりするけれど、ダメだったら、割とあっさり諦めたりするじゃないですか。付け回したり、逆恨みしたりしないで、新しい出会いを探そうとするじゃないですか。あの負けじ魂、あれは生き物ならではです。人間はすぐにいじけるからダメですね。もっと何度も挑戦しなくちゃ!
すべて、一切の有情を見て、( )の心なからん人は、人倫にあらず。
すべて、あらゆる生き物を見て、( )が起らないような人は、人間ではない。……空欄に適切な漢字2字を考えてください! 〈128段〉
☆ ことば
「残害(ざんがい)」……「残」「害」ともに、そこなう・傷つけるという意味です。
「有情(うじょう)」……〔仏教語〕感情などの心の働きを持っている、すべての人間や動物。
「人倫(じんりん)」……1人間。 2人として守るべき道。人道。
☆ 「心をとめて」、生き物たちを見ると、彼らはまるで人間と同じ感情を持っている。 そして、「親をなつかしくし」ている。二つとも面白い、今でも使いたい表現です!
「残害(ざんがい)」……「残」「害」ともに、そこなう・傷つけるという意味です。
「有情(うじょう)」……〔仏教語〕感情などの心の働きを持っている、すべての人間や動物。
「人倫(じんりん)」……1人間。 2人として守るべき道。人道。
☆ 「心をとめて」、生き物たちを見ると、彼らはまるで人間と同じ感情を持っている。 そして、「親をなつかしくし」ている。二つとも面白い、今でも使いたい表現です!

★ 答え 1つ目が「愚痴」です。愚か、素直、純朴、むき出しのまま、自然という意味になるでしょうか。
2つ目が「慈悲」です。生き物に対する憐れみの心という意味ですね。