いつ頃の作品なのか、詳しくはわかりません。私の住んでる町の昔の姿なので、うれしくて借りてきました。こんなになっていたのか、という気持ちです。
今とは少し様子は違います。でも、基本は同じ。地図だから鉄道や道路が描かれます。道路は今の方が細かいのやら、太いのやら、予想外のところがつながっているやら、いろいろな道があります。
鉄道は？ 鉄道は、今の方が少ないし、細くなっている感じです。鉄道は、よその地域と松阪とをつなげる方法・手段ではなくなりつつあります。今も、鉄道を利用してよその地域から来られる人もいるでしようけど、伊勢神宮にお参りしたら、「ハイ、それまでよ」となってしまうので、ちっとも町としての幅が広がりません。
昔みたいに、とことん伊勢志摩を味わい尽くし、もう一生の願いを達成したなんていう、ありがたみはもうないでしょうね。ただの観光地の一つでしかないかもしれない。
残念ながら、今はそんな地域です。そりゃ、観光をしようとやって来るから、伊勢志摩は観光するところはありませんよ、というしかありません。特別な食べ物があるわけではなく、ものすごい景色が見られるのでもない。古い学生街を歩けるわけでもないし、雰囲気のあるお店が並んでいるわけでもない。
それらに似せたものは作られていますが、どことなくニセモノっぽいようです。
だったら、観光地としては胡散臭いじゃないの！ という感じですけど、ゴチャゴチャ未整理だし、見たいものは見られないし、どこも同じみたいな感じではあるんだけど、何だか違う。突然立派な、由緒がありそうなお社があったり、何か秘められてそうな蔵があったり、地道に何かを造っている人たちがいたり、古いものを守ろうとしている人たちがいる。そんな人たちは、簡単には会えなくて、ぜひこの人たちに会いたいと思ってやって来てもらったら、満足してもらえるような、そんなところなのだと思います。
あまりキャッチーではないんですね。地味だし、パッとしない。でも、何となく古いのがそのまま残っている感じ。都会みたいに次から次とリセットして更新するみたいな、そんな目まぐるしいところはないのかも。
そういうのを売りにして、温泉もあるにはあるけど、そんなに目立たないけど、でも、ゆっくり滞在して、会いたい人に会う、みたいな旅をしてもらえると、楽しいのかなと思ったりします。
どこにでもあるような、ありふれてるけど、何か違うものがある町、そういうところでしょうか。
地図は、もう少し細かく見えたらいいのになと思うんですけど、とにかくお城がそびえていて、これは戦国武将の蒲生氏郷という人がここにお城を海側から持ってきたそうです。城下町もそれから後に生まれました。
あちらこちらに見える赤いラインは、路面電車・軽便鉄道などです。黒いラインが一筋ありますが、これは当時の国鉄、現在の紀勢線・参宮線です。
繊維産業を支える町として近代は頑張りましたし、その工場の跡が図書館やら、博物館やら公園になっています。もう少し都市計画みたいなのもあったらよかったけれど、地方都市としては普通の駅を中心とした計画になりました。
港から山奥までつながる鉄道があった時代は、それなりに町の発展や未来が見えて来そうだったかもしれませんが、それらは取っ払われ、その鉄道会社の作ったデパートもなくなりました。私は辛うじてそのデパートを利用させてもらい、そのデパートでホッと一息つかせてもらうこともありました。
でも、それらはなくなって、ただの駅前駐車場１日500円、というだけです。それが現代というものなんでしょう。
町は広がりました。道路も縦横にできました。人口は市域が広がった割にはイマイチかもしれない。産業は、特にありません。飛行機・ジェット機などの産業に期待した時もあったようですが、それらの産業もしぼんでいます。
なのに、外国の人たちはたくさん住みついて、すれ違うクルマも国際的です。たくさんの外国の人たちが、何か生み出してくれないか、私などは期待しますが、それがわかれば誰かがやっているでしょう。
近代的な大工場には期待できないです。基本的なこと、生活用具すべてをもう一度町全体で作れないかどうか、無理とは思いますが、食べ物すべてをまかなう。衣服を少しずつ作り出す。生活家具も作る。小さな事業をそれぞれ得意な範囲で作る。
私なんか、地域の麦で地ビールの醸造所を作るとか、できたらいいけど、才能も資本も努力も足りないから、夢で見るだけです。
地域のブランドを作り出していく。お金にはならないけど、こだわる価値はないかな。
