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「自分をモノ化」し「弱者が弱者をたたく」…なぜ人々はヤフコメだと上から目線なのか (1/6ページ)

2018年02月04日 13時14分13秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.sankeibiz.jp/compliance/news/180204/cpd1802041302001-n1.htm?utm_content=buffere9707&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

「自分をモノ化」し「弱者が弱者をたたく」…なぜ人々はヤフコメだと上から目線なのか (1/6ページ)
2018.2.4 13:02 メッセンジャー登録

 著名人の不倫が報じられると、ヤフーニュースのコメント欄(ヤフコメ)には、激怒する書き込みが相次ぐ。なぜそこまで“上から目線”で怒るのか。情報社会学者の塚越健司氏は「ネットの普及によって、目の前の自分に向き合うことより、何かの立場から社会を論じているほうが、心理的満足感が得られるようになったからだ」と指摘する--。

 なぜ人々は「芸能人の不倫」に怒るのか

 2017年も芸能人の不倫や大相撲の問題などがワイドショーなどで特集された。多くの人にとって芸能人の問題も大相撲の問題も他人事であるにもかかわらず、なぜ人々は怒りを込め、問題を論じようとするのだろう。それだけ人々はニュースを「自分のこととして」共感したからかと言われれば、そうではないようにも思う。ではなぜ我々は自分と関係ない事件にあれほどまで怒るのだろう。この問題について考えたい。

 英犯罪学者のジョック・ヤング(1942-2013)は2007年に著書『後期近代の眩暈』を出版している(翻訳は2008年出版)。SNSが本格的に普及する前に書かれた本だが、その後の社会を見通す上で示唆に富んでいる。

 我々は社会問題を論じる際、排除されている人と富裕層などの包摂されている人々の二項対立で考えることが多い。しかしヤングによれば、問題はむしろ多くの人々が社会に包摂された多数派と思ってしまう点にあるという。以下ヤングの議論を概観しよう。

「私も一発逆転できるかも」という思考回路

 言うまでもなく日本社会に生きる多くの人々が不安に苛まれている。不況やグローバル化などによる年功序列制度の実質的な崩壊や、非正規雇用が増大化し、未来に向けた見通しが立てづらい世の中だ。金銭による労働者のインセンティブ=動機づけが困難な社会において、職場環境の向上など、新たなインセンティブ獲得のための試行錯誤が求められている。

 他方、職業選択の自由や様々な価値の多様化によって、労働の自由も拡大している。職業においては「ユーチューバー」などが典型だが、芸能界とも異なる新しい労働形態が出現している。まだ人数は少ないが、社会的な成功を収めた人もいる。

 こうした新たな成功パターンは、努力よりも発想が重視される。従来であれば成功は、専門技術を獲得する努力の対価だった。だが近年は「一見すると」自分でもできそうなことで成功しているように受け止められる。「発想があればユーチューバーで稼げる」と考える人は、一昔前に比べて増えているはずだ。

 無論成功には発想だけでなく努力が不可欠だ(当然ユーチューバー等の人々が努力していないなどと考えているわけではない)。しかし「報酬の恣意性」とヤングが呼ぶように、どうすれば儲かるか、成功するかという道筋は複雑化し、そのため「私も一発逆転できるかも」という思考回路も増える。創造性はその性質故に、創造的であるための道筋を教えてはくれない。したがって現代社会は不安定化する一方、「夢(だけ)は無限に増殖する」中で一発逆転を夢みるという、期待と不安が同居した状況を呈している。

自分も「セレブ」になれるかもしれない

 セレブという言葉は欧米と日本で用いられ方が異なる概念だが、日本では単純化すれば概ね「成功した裕福な有名人」といった意味で語られる。付け加えるならば、セレブは有名であるだけでなく、エリートのように難しい言葉を使うこともない、常に私たちの身近な存在である。

 上述の通り不安が常態化する一方、それを拭うかのように人々は突如セレブの仲間入りをするような「一発逆転」を夢みており、実際にそのような成功者を生み出すチャンスが存在する。さらに現代社会はSNSによって、セレブにでも直接意見を送り、時には本人から返答が返ってくることもある。

 加えてテレビではセレブの生活が余すところなく放映されている。100年前の階級社会と異なり、セレブも一般人と同じような生活をしている姿が映し出され、セレブを身近に感じる一方、豪邸など成功者としての一面をのぞかせることから、人々は成功者に憧れと親近感を覚える。なぜなら、セレブは生まれながらのセレブだけでなく、自分ももしかしたらセレブ=celeblrity(名声)、つまり賞賛に値する有名人になれるかもしれない、と思わせてくれるからだ。

 このことは、自分が現在生きている厳しい暮らしを忘れさせてくれるものであるが、それ故に一発逆転幻想を強化する側面もある。ヤングは米法学者ローレンス・フリードマン(1930-)の「金持ちや有名人のライフスタイルは大衆のアヘンである」という一節を引用する。インスタ映えするセレブの姿に憧れを抱く社会に、重くのしかかる一言だ。

「視点の自由化」と「自分のモノ化」

 不安と期待が入り乱れる日々の中でセレブと同じ目線を可能にする社会では、自らが社会に排除されていると思うより、むしろ社会の多数派でいると感じるほうが心理的な満足を得られる。つまり、心理的な防衛反応として、自らをセレブの目線に位置づけて論じようとすることが多くなるというわけだ。

 これはセレブへの同化だけを意味しない。SNSやテレビをみれば、日々あらゆる意見があらゆる立場から発信されている。そこで、こうした意見の中から現在の自分が心理的に満足できる視点を自分の意見と重ね合わせれば、個人の心理的な視点に立てば「コスパがいい」。したがって、我々は常に自分にとって都合のいい立場から発信する「視点の自由化」を心理的に内包していると言えるだろう。

 簡単にいえば、自分の立ち位置は一貫しないまま、ポジションによって意見が変わるユーザーが多いということだ。昨今はツイッターやヤフーニュースのコメント欄でこうした事例が散見される。不倫は悪いと激昂したかと思えば、同じユーザーがセクハラ発言を平気で投稿する。例えばあるアイドルファンは、運営の立場からファンを否定したかと思えば、アイドルの立場から運営を否定し、しかしアイドルがスキャンダルを起こせばファンの立場からアイドルを否定する。どの立場から発言するかによって、投稿内容が変化する好例であろう(SNSは発言の履歴が残るので、投稿内容を参照しやすい)。

何かの立場から社会を論じることで心理的満足を得る

 自分が社会的に強者でも弱者でも、都合のいいときに都合のいい立場から社会問題を論じることが可能な社会では、主に社会的強者の目線から問題を論じることが安心につながる。ヤングは、それ故に人々は本当に苦しんでいる弱者が発見されず、むしろ弱者が弱者をたたくことで、社会的連帯が困難になっているとも指摘している。日本で数多く生じている問題にも通底しているのではないか。

 SNSが悪いというわけではないが、日本で発信される様々な怒りの背景には、上述の問題があるように思われる。怒っているというよりも、何かの立場から社会を論じることで心理的満足を得ようとする人が多くなっている、と捉えられる。

 しかし「視点の自由化」は、都合の悪い他者を排除するというより、「自分が自分を排除する」、そうした心理的傾向の表れでもあるだろう。視点の自由化は、もともと自分が何をどう捉えているか、といった問いを発する前に他者の意見を採り入れてしまう。故に問題は、目の前の自分に向き合うことを放棄すること、あるいはそうでもしなければ生きていくことが困難な状況にあるのではないか。

 他人をモノのように扱う人がよく批判される。だがより問題なのは「自分のモノ化」だ。怒りを表明しているようで、実は問題に関心があるのではなく、何かの立場に立つことで自らの不安を打ち消そうとする傾向が、あるのではないか。

 自分のモノ化は根深い問題だ。他人の立場に立って考えることは重要だが、どういう意図で他人の立場に立つか、なぜそのような立場に立つのか。そうした自分自身の心理的問題と向き合うことなく他者の意見を内在化しているからだ。しかし、自分自身の心理に向き合うのは難しい。

 SNSでの「祭り」が企業の儲けになる時代

 自分のモノ化の背景について付け加えておきたい。スマートフォンやSNSの普及に並行して「アテンション・エコノミー」という言葉が注目されている。SNSを通じて常に目の前でアテンション(注目)を集めるお祭りが行われることで、人々はスマホから離れられず脊髄反射的な反応を行うが、それも含めて企業の儲けになる、というものだ。

 自分の考えを練ろうとしても、スマホの先が常に「お祭り状態」であれば、そこから身を引き離すのは難しい。目の前の他者の声に、自分の言葉がかき消されてしまう。逆に自分をモノ(対象)として扱い、どうすれば社会で成功できるかを考えれば、必然的に(悪しき)自己啓発などにたどり着き、自己そのものが操作の対象となってしまう。自己実現という旗印のもの、仕事や美容、健康など、さまざまな意味で自分を輝かせることが求められる社会の中で、我々は逆説的にも自分自身に関わることが最も困難な時代を生きている。

 とはいえ、自分自身に関わるという問い自体も曖昧だ。人は自分自身について適切に理解できるほど賢くもなければ、意志が強い存在でもない。しかし少なくとも、スマホを含めた情報技術から距離を取るなど、意志の力ではなく、環境を整えることで心に余裕を持つことはできるだろう。そしてまた、情報技術を避けるだけでなく、技術を利用することで自己との関わりを刷新するような、そのような技術が求められている。

 問われた問題は重く、また簡単な解決策があるわけでもないが、こうした問題設定を理解して2018年を生きていくべきではないだろうか。

 (情報社会学者 塚越 健司 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)

【中国の視点】中英の金融協力強化、人民元国際化の布石[FISCO]

2018年02月02日 18時45分15秒 | 市場動向チェックメモ
【中国の視点】中英の金融協力強化、人民元国際化の布石[FISCO]

・中国の李克強首相は1月31日、英国のメイ首相と会談した際に、中国が適時に「上海株式市場とロンドン株式市場の相互取引(滬倫通)」の審査を開始すると発言した。
・また、メイ首相も、中国が金融分野における英国の強みを取り入れ、中英両国が「一帯一路(中国が提唱する経済圏構想)」での協力強化が両国の経済発展に寄与するとの見方を示した。

・中国のエコノミストは、両首相の発言からみると、滬倫通が予想より早く実現する可能性があると指摘。
・これが金融市場における中英両国の協力を強化させるほか、人民元の国際化プロセスの推移にも寄与すると強調した。

・欧州の金融関係者によると、多くの欧州銀行が人民元の越境業務について詳しくない上、人民元に関連した管理システムや貿易融資、金融商品も乏しいという。
・これらの要因は欧州における人民元の普及の足かせになっていると分析されている。

・関係者は、滬倫通の開始が欧州における人民元の普及を加速させるとの見方を示した。
・欧州の機関投資家らは香港やシンガポールなど経由せず人民元商品の投資ができるほか、欧州における人民元の投資価値も高まると指摘されている。

・また、ポートフォリオの人民元の配分も高められると強調された。

<AN>

HEARD ON THE STREET 早まる5G時代の到来、得するのは誰

2018年02月02日 18時20分44秒 | 市場動向チェックメモ
http://jp.wsj.com/articles/SB10498810886951743680904584019641440372738


早まる5G時代の到来、得するのは誰

米国電気電子技術者協会(IEEE)の5Gサミットでは通信ケーブルの展示も

PHOTO: MONIKA SKOLIMOWSKA/ZUMA PRESS
By Stephen Wilmot

2018 年 2 月 2 日 09:31 JST 更新

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

 ***

 第5世代移動通信システム(5G)の時代は思ったより早くやってくるかもしれない。電気通信事業者は恩恵を受けるはずだが、いったいどのような代価を払うことになるのだろうか。

 フィンランドの 通信機器大手ノキア は2014年に携帯端末事業を マイクロソフト に売却して以降、通信機器の販売や特許のライセンス供与に注力してきたが、19年と20年に「5G 通信網の本格展開」があると見込んでいる。これは業界が昨年時点で予想していたより2〜3年早い。通信技術を巡る複数の訴訟からは、米中が5G展開を共に先導しそうな兆しがみえる。

 ノキアとスウェーデンの同業エリクソンはここ数年、厳しい環境に堪え忍んでいる。携帯電話会社が4G網への支出を削ったうえ、中国の競合華為技術(ファーウェイ)や 中興通訊 (ZTE)は通信機器市場に全力を挙げて入り込んでいる。かつて世界首位だったエリクソンは最も原価率が高く、とりわけ大きな打撃を受けた。同社が31日発表した四半期決算は売上高が伸び悩み、株価は同日の取引で9%安をつけた。


国民のほぼ1人が携帯電話を保有している米国でAT&Tなど大手4社は今後の成長を模索(英語音声、英語字幕あり)
 一見すると5G時代の到来はいくら早くても早過ぎることはなさそうだ。ノキアは自信に満ちた姿勢を見せ、四半期決算も予想ほど悪くなかったことから、1日朝の取引で株価が10%上昇した。それでも、同社の2020年業績予想を真に受けるとすれば株価はまだ割安だ。

 だが危険信号も灯っている。中国では5G展開を前に供給業者が市場シェア争いにまい進し、競争が激しさを増している。エリクソンは、中国で利益率を抑えて事業を獲得することがなければ、利益率はもう1ポイント高くなったはずだと述べた。一方ノキアは、5G通信網への初期投資が今年の利益率を押し下げるとの慎重な見通しを示している。

 競争は激化する恐れがある。前世代までのモバイル通信技術はハードウエアに大きく頼っていたが、5Gはソフトウエアへの依存度が高い。そのため新手の競合が市場に参入する可能性を警戒する声もある。

 これまでのところ、シリコンバレーの企業群がスマートフォン革命の恩恵のほとんどを享受し、通信網を構築する事業者やサービス業者は置き去りにされてきた。不公平に思われるが、その点では5G時代も全く変わらないかもしれない。

NYの視点:米1月雇用統計:雇用ひっ迫で賃金上昇の兆候見極め、利上げペース加速観測も[FISCO]

2018年02月02日 08時25分19秒 | 市場動向チェックメモ
NYの視点:米1月雇用統計:雇用ひっ迫で賃金上昇の兆候見極め、利上げペース加速観測も[FISCO]

・米国労働省がワシントンで2日に発表を予定している最新1月の雇用統計で、雇用が引き続き20万前後の順調な伸びを継続すると見られている。
・労働省が発表する雇用統計と持つとも相関関係が強いとされるADP雇用指標が予想を上回り2カ月連続で20万人超の伸びを見せた。

・市場は18万人ほどの雇用増加を予想。
・一方で、過去10年間の統計で、1月の雇用は予想を下回る傾向にあるということには注視が必要か。

・ただ、利上げペースを覆す水準になることは考えにくい。
・ADP雇用指標は雇用市場のひっ迫を示しており、失業率が4%を割り込む可能性も指摘されている。

・市場の平均予想は12月と同じく4.1%。焦点は引き続き賃金だ。
・米10-12月期単位労働コスト改定値は前期比年率+2.0%と、予想外に3四半期ぶりの大幅な伸びとなった。

・労働市場のひっ迫がついに賃金の上昇として現れると、年内の利上げペース加速観測も強まることになる。

■1月雇用統計の先行指標・ADP雇用統計:前月比+23.4万人(予想:+18.5万人、12月:+24.2万人)・ISM製造業景況指数:雇用:54.2(12月58.1)・NY連銀製造業景況指数:雇用(現状):3.8(12月22.9)週平均就業時間:+0.8(12月9.3)6か月先雇用:26.9(12月24.0)週平均就業時間:+16.7(12月6.5)・フィラデルフィア連銀製造業景況指数雇用(現状):+16.8(12月+19.7、6カ月平均+18.4)週平均就業時間:+16.7(+12.6、6か月平均+15.7)6か月先雇用:34.9(12月36.1、6か月平均35.5)週平均就業時間:10.6(12月18.5、6か月平均16.2)・リッチモンド連銀製造業景況指数雇用(現状):10(12月20)週平均就業時間:2(12月8)賃金::24(12月22)6か月先雇用:21(12月26)週平均就業時間:7(12月9)賃金::33(12月44)・消費者信頼感指数雇用(現状)十分:37.6(12月36.3、前年同月27.1)不十分:46.0(12月47.7、前年同月51.80)困難:16.4(12月16.0、前年同月21.1)雇用(6か月先予想)増加:19.0(12月18.9、前年同月19.7)減少:11.8(12月15.9、14.4)不変:69.2(12月65.2、65.90)所得(6か月先予想)増加:20.4(12月22.7、前年同月18.1)減少:7.7(12月9.0、9.4)不変:71.9(12月68.3、72.5)・失業保険申請件数件数 前週比 4週平均 継続受給者数01/27/18| 230,000|  -1,000| 234,500 |   n/a01/20/18| 231,000|  15,000| 239,500 |  1,953,00001/13/18| 216,000| -45,000| 243,500 |  1,940,00001/06/18| 261,000|  11,000| 250,750 |  1,965,00012/30/17| 250,000|   3,000| 241,750 |  1,873,00012/23/17| 247,000|   2,000| 238,250 |  1,905,00012/16/17| 245,000|  20,000| 236,000 |  1,948,00012/09/17| 225,000| -11,000| 234,750 |  1,936,00012/02/17| 236,000|  -2,000| 241,500 |  1,889,000
■市場予想失業率:4.1%(12月4.1%)非農業部門雇用者数:前月比+18万人(12月+14.8万人)民間部門雇用者数:前月比+18.1万人(12月+14.6万人)平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+2.6%(12月+0.3%、+2.5%)

<CS>

安倍政権の「生産性革命」をダメ政策の寄せ集めにしそうな3大課題

2018年02月02日 06時00分14秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/150616

安倍政権の「生産性革命」をダメ政策の寄せ集めにしそうな3大課題
岸 博幸:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授  バックナンバー一覧へ

安倍政権は“生産性革命”の具体策の検討を急いでいるが、名前が示す方向性こそ正しいものの、中身は伴っておらず、空疎なものになりつつある。課題はどこにあるのか(写真はイメージです)

政府が唱える生産性革命の空虚
海外投資家からは厳しい評価
 安倍政権は“生産性革命”の具体策の検討を急いでいますが、新聞などで報道されるその内容を見る限り、残念ながら名前が示す方向性こそ正しいものの、中身はまったく伴っておらず、かなり空疎なものになりつつあるように見受けられます。
 
 そうした厳しい評価をしているのは私だけではありません。私は先週、ニューヨークでいくつかのヘッジファンドと意見交換しましたが、日本の事情に詳しいファンドの連中ほど、現在検討されている“生産性革命”の内容について厳しい評価をしていました。

 その最大の理由は、日本経済の生産性の向上のためには、生産性が低いままとなっているセクターにおいて岩盤規制の改革を進めることが一番必要であるにもかかわらず、それがほとんど進みそうにないことです。

 実際、おそらく新たな規制改革のアプローチである“サンドボックス”の具体的な制度設計は行われるでしょうが、これは今年前半の成長戦略ですでに決定したことがようやく具体化するに過ぎません。

 また、安倍首相は規制改革会議で“電波割当制度の改革”などに言及していますが、どうやらこれも、公共用電波を民間もある程度使えるようにするという、電波を所管する総務省の官僚が許容する範囲に止まり、電波割当へのオークション制度の導入といった本格的な改革が進む気配はありません。

 国家戦略特区も相変わらず活動が停滞し続けていることを考えると、“生産性革命”の本丸となるべき岩盤規制の改革はほとんど進みそうにないのです。

「筋悪」の政策ばかりが実現?
見過ごせない3つの問題点
 その一方で、報道を見ていると、政策としてあまり筋の良くないものはどんどん実現しそうです。現段階でもすでに3点の問題点を指摘できます。

 第一は、中小企業支援の政策です。設備投資を行った中小企業への減税措置の強化やものづくり補助金などが補正予算で措置されそうですが、こうした措置は結果的に非効率な中小企業の延命につながり、生産性の向上とは反対の結果をもたらしかねません。

 中小企業政策で本来必要なのは真逆な政策、つまり、非効率な中小企業の淘汰が進むようにしつつ、地方ほど人材不足が深刻になる中で生産性の高い中小企業に人材などの資源が集まるようにすることではないでしょうか。

賃上げと労働生産性の向上は
無関係という根本的な誤解
 第二に、3%以上の高い賃上げを実現した企業、積極的に設備投資を行った企業に対して法人税を減税することも検討しているようですが、これもちょっとおかしいと言わざるを得ません。

 というのは、当たり前の話ですが、「労働生産性=製品・サービスの生産量(付加価値)/労働者数×労働時間」という公式からもわかるように、高い賃上げを行うこと自体は労働生産性の向上とは無関係だからです。

 また、設備投資を増やした場合は生産性の向上が期待できますが、この場合でも、もし通常の設備投資減税のように対象設備が政府によって限定されるならば、政府の官僚が生産性の向上に資する設備を漏れなくリストアップできるのかと考えると、使い勝手や実効性の観点から疑問を感じざるを得ません。

 生産性向上のために減税を行うならば、特に国際的な法人税の引き下げ競争という現実を考えると、賃上げとか設備投資といった条件を付けず、やはり法人税自体の引き下げを行うべきです。企業が内部留保を溜め込むばかりで、それを賃上げや設備投資に使わないという政府の不満はよくわかりますが、それへの対応はコーポレートガバナンスの強化で対応すべきです。

 そして第三は、社会インフラの整備、言葉を変えれば公共事業の増額です。安倍首相は「物流ネットワークの整備が極めて重要」と発言していますが、生産性向上のために公共事業を増額するならば、どのセクターの生産性を高めるのか、そのために本当に必要なインフラの範囲はどこまでか、といった戦略的な分析が不可欠です。

 しかし、そもそも公共事業を所管する国交省や農水省にはそうした産業政策的な視点が欠如しているので、これまでそのような緻密な分析を行ったことなどありません。これまで何度となく繰り返されたように、年度予算で足りなかった分を補正予算で補強するだけになるでしょう。
 
 以上から明らかなように、今のままでは、“生産性革命”の内実は既存の政策の拡充版の寄せ集めになり、その一方で岩盤規制の改革はほとんど進まないという、ひどい内容になりかねません。

 それで本当に生産性が高まるのかは疑問と言わざるを得ませんし、選挙で大勝した後の政策の第一弾がそうであっては、やはり安倍政権では改革は進まないのか、と外国人投資家に思われかねないのではないでしょうか。

官邸はいつ気づくのか
“生産性革命”は失敗作に?
 ここで、“生産性革命”がダメになりつつある原因を考えると、その中身の検討を官僚任せにしていることが一番の問題と言えます。

 そもそも官僚は改革が嫌いなので、任せていては岩盤規制の改革が進むはずはありません。また、官邸が唐突に“生産性革命”をぶち上げて、具体的方向性を指示しないまま短期間でその中身を詰めさせたら、官僚は既存の政策を拡充するくらいしかできません。官僚には思い切った改革を進める度胸も気概もない一方で、それを補うに足るような知恵もないのです。

 ただ、同時に、経済界の情けなさも影響しているのではないでしょうか。賃上げや設備投資をしたら法人減税とか、中小企業への支援とか、企業を甘やかす政策ばかりが報道されていますが、景気が良くて大企業の内部留保も多い今のタイミングで、本来はそのような甘やかしの政策は不要なはずです。それでもやらなければならないというのは、これまで政府が甘やかし続けたツケという面もあるとはいえ、常に政府の支援を求めるのが当たり前になってしまい、それなしでは動けなくなった経済界の情けなさもあると思います。

 実際、経済界の情けなさは論外の領域にまで来ています。典型例が、幼児教育の無償化の原資として経済界が3000億円の拠出を決めたことです。総理の一声で3000億円も出すくらいならば、なぜその巨額の資金を賃上げや投資に使わないのでしょうか。

 賃上げや投資というリスクのある行動には踏み出せないけれど、上に言われたらすぐ動くというこの行動を見ていると、いかに今の経済界のトップがサラリーマンのなれの果てであり、サラリーマン根性が抜けていない行動原理の人ばかりであるかを、如実に物語っていると思います。

 いずれにしても、このままでは安倍政権の経済政策に対する外国人投資家の期待度はさらに下がるだけです。霞が関の官僚、そして情けない経済界の現実を考えると、現状を挽回するには、やはりとにかく目玉政策の中身の検討を官僚任せにせず、官邸主導で行い、特に岩盤規制の改革を着実に進めるしかありません。

 いったい官邸は、いつになったらその気になってくれるのでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)

安倍政権の改革に灯る3大黄信号、もうやる気を失ったのか?

2018年02月02日 05時56分46秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/153981

安倍政権の改革に灯る3大黄信号、もうやる気を失ったのか?
岸 博幸:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授  バックナンバー一覧へ
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足もとで、安倍政権の改革姿勢には明確に黄色信号が灯った。その証拠として3つの点を指摘したい
写真:首相官邸HPより

 まだ地方などでは実感できない方も多いとは思いますが、2期連続で2%を超える経済成長率を達成していることを考えると、今の日本の景気はかなり良くなってきていると判断できます。

 それに対して、日本経済が長期的に達成可能な成長率を表す潜在成長率が1%弱であることを考えると、経済政策では構造改革を進めて経済の生産性を高めることが必要です。

 しかし、これまでの経験から、足下の景気が良いときは政権の改革姿勢は後退しがちです。国政選挙に大勝した後についても同様です。今はまさにその2つが当てはまる状況だからでしょうか、安倍政権の改革姿勢には明確に黄色信号が灯ったと言わざるを得ません。その証拠として3つの点を指摘できます。

安倍政権の改革気運は後退?
改革より財政出動という姿勢
 1つ目は、今月打ち出された政策の内容です。足下の景気が良い一方で潜在成長率が低い状況では、財政出動で足元の景気をさらに良くするよりも、構造改革を進めて潜在成長率を高めることを優先すべきです。

 しかし、12月8日に発表された“生産性革命”“人づくり革命”の政策パッケージの内容を見ると、賃上げや投資を行った企業の法人税率の軽減といった生産性向上に資する政策もありますが、構造改革については、規制のサンドボックス制度の制度設計や電波制度の改革以外、目立ったものはありません。

 その一方で、今の景気をさらに良くするのが最優先ではないのに、2兆円の補正予算という財政出動を行うことを決めました。デフレ脱却に財政の力も使うという意図があるのでしょうが、それでも大した改革がない中で財政出動だけはしっかり行うという姿勢には、疑問を感じざるを得ません。

経済財政諮問会議を通さない
政策決定プロセスの変質
 2つ目は、政策の決定プロセスの変質です。これまで安倍政権は、かつての小泉政権と同様に、経済政策に関する大きな決定は経済財政諮問会議での検討を経て行っていました。改革に後ろ向きな官僚に任せていては改革は進まないので、経済財政諮問会議で民間有識者の後押しを受けつつ官邸主導で政策を決定していたのです。

 ところが、今回の“生産性革命”と“人づくり革命”、そしてそれに連動した補正予算については、経済財政諮問会議での議論を経ずに決定されました。メディアでは報道されませんでしたが、安倍政権の5年で初めて政策決定プロセスが大きく変わったのです。

 その理由はわかりません。諮問会議の民間有識者が官僚の言いなりで頼りにならないからかもしれませんが、いずれにしても“民間有識者の力を借りない官邸主導”になったのです。それ自体を全面的に否定する気はありませんが、それで政策決定プロセスの透明性が確保できるのか、そして何より、官邸の意向に沿った民間有識者の意見のみが非公式な意見交換を通じて取り入れられることになるので、政策が独善的にならないかは、やはり気になります。

 実際、官邸が経済政策についてよく意見を聞く人たちは、金融緩和や財政出動の重要性を唱えている人ばかりですので、それが影響して、今回の政策パッケージで大した改革が入らなかったとも考えられます。

 そして3つ目は、これが一番重要だと思いますが、数少ない“規制のサンドボックス制度”の制度設計における改革色の大きな後退です。この点について、日本経済新聞以外はどのメディアも報道していないので、多少詳しめに説明しておきます。

「規制のサンドボックス制度」は
骨抜きな制度設計に
 ざっくり言うと、これまで日本で規制改革があまり進まなかったのは、規制改革を自治体や企業が要望すると、その規制を所管する官庁と交渉をして、その官庁が了解したら規制が緩和されるという仕組みになっていたからです。そもそも官僚は自分の役所が所管する規制の緩和には常に後ろ向きですので、これでは規制改革が進むはずがありません。

 かつ、仮に官庁が規制改革を了解した場合、具体的なやり方としては、規制緩和の具体的な内容を法律で明示する方法と、法律は変更せず運用で規制を緩和する方法の2種類がありますが、運用で対応すると規制を所管する官僚の側が裁量権を持ち続けるので、規制改革としては不十分です。極端に言えば、規制を緩和してもすぐに「やっぱり止めた」とできるからです。

 そこで、安倍政権における規制改革の推進主体について言えば、規制改革会議については、前者の官僚主導を防ぐために安倍首相がトップの会議を組織し、民間有識者が規制改革の妥当性を検討した上で、政治主導で規制改革を進めることを可能にしています。

 また、国家戦略特区諮問会議については、安倍首相がトップの諮問会議で民間有識者による検討と政治主導を行うことに加え、規制改革の項目は特区法に明示的に書き込む手法を採用しているので、双方の問題点をクリアして規制改革を進めやすくしていると評価できます。

 さて、この前提をご理解いただいた上でサンドボックス制度の話に入りますが、この制度は日本全国を対象としたものと特定の地域を対象としたもの(国家戦略特区の延長)の2種類に分かれます。

 前者の全国を対象としたものについては、12月8日に発表された“生産性革命”の中で制度設計の詳細が明らかになりましたが、残念ながら、上記の2つの点が抜け落ちたものとなりました。安倍首相が前面に出ず、かつ規制改革の中身も運用により対応する形となったのです。これでは、全国対象のサンドボックス制度は、実際にはあまり機能しない懸念が残ります。

 一方、後者の特定の地域を対象としたサンドボックス制度の制度設計については、いまだに国家戦略特区諮問会議で議論が対立したままです。内閣府の側は全国対象と同様に安倍首相を前面に出さず、かつ運用で対応しようと考えているのに対して、諮問会議の民間有識者の側は、これまでの特区制度の延長、すなわち安倍首相がトップの体制でサンドボックス制度の対象地域や事業者を決定し、かつ凍結する規制についても法律に書き込むべきと主張しています。
 
 ちなみに、12月15日に開催された国家戦略特区諮問会議では、この点についてかなり激しい議論が行われています。

 全国対象のサンドボックス制度が規制改革の観点からかなり後退した制度となり、特定地域を対象としたものについても官僚の側が同様の制度としようとしているのは、家計学園問題のようにまた疑念を持たれるのを避けるために安倍首相の関与を減らし、かつ規制を所管する各省庁の意向(運用による規制改革ならまだ許容できるというもの)を踏まえたからなのでしょう。

安倍政権は改革を進める
気がなくなったのか?
 この問題がどう決着するかは、最後は官邸の判断だと思います。もちろん、官邸は家計学園問題で痛い目に遭っているので、安全サイドを考えたら安倍首相の関与を減らすという選択肢を選ぶことにも合理性はあるのでしょう。個人的には、安倍首相が国会答弁で「家計学園問題でやましい点は何もない」と断言しているのですから、安倍首相の関与を減らす、つまり規制改革の仕組みを後退させる必要はないと思いますが……。

 いずれにしても、もし官邸がそうした判断をして、特定地域を対象としたサンドボックス制度までもが後退した仕組みになってしまったら、いよいよ安倍政権は改革を進める気がないという烙印を押されかねません。

 その意味では、特定地域を対象としたサンドボックス制度の制度設計がどのような形でまとまるかは、おそらく越年での決着になると思われますが、その動向は要注目です。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)

日馬富士事件で痛感、若者を蝕む「スマホ中毒」の深刻

2018年02月02日 05時53分01秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/152233

日馬富士事件で痛感、若者を蝕む「スマホ中毒」の深刻
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日馬富士の貴ノ岩関に対する暴行問題で真に議論すべきは、人間関係のもつれよりも、スマホやSNSではないか。いつでもどこでもスマホをいじる人々は、今や社会のいたるところに見られる(写真はイメージです)

日馬富士暴行事件で
真に論じるべきは「スマホ中毒」
 大相撲の元横綱・日馬富士の貴ノ岩関に対する暴行問題が、いまだに尾を引いています。連日報道が続くなか、論点は暴行問題から、貴乃花親方と相撲協会の対立、さらには日本人力士が重視する相撲道とモンゴル人力士が重視する勝ち負け優先の勝負観の対立へと、どんどん発散している観があります。

 そこで、発散ついでではありませんが、まったく違った観点から、今回の暴行問題を考えてみたいと思います。最大の悪者は人間ではなく、スマホではないかという観点です。

 報道によると、白鵬が説教している最中に貴ノ岩が彼女からの連絡でスマホをいじったことに日馬富士が激怒して、暴行に及んだそうです。また、貴ノ岩の態度が悪かったので、同席していた力士たちもすぐには暴行を止めに入らなかったそうです。

 こうした報道からは、横綱の説教の最中にスマホをいじるのはよくないけれど、だからといって暴力を振るうのは論外、というシンプルな結論になってしまいます。しかしここで、なぜ貴ノ岩は目上の人に説教されている最中にもかかわらず、スマホをいじったのかを考えなくてはいけません。

 ステレオタイプな考え方をすると、今の若者はいつでもどこでもスマホをいじるのが当たり前と思われがちですが、実際にはそこまで単純な話ではないように思えます。

 というのは、彼女からの連絡があり、貴ノ岩がそれに反応してスマホをいじったのはスマホ中毒による行動、しかも貴ノ岩本人の意思に基づく行動というよりも、スマホやそれに関連するSNS(ソーシャルメディア)などのサービスによって中毒にさせられてしまった結果としての、無意識の行動だった可能性もあるからです。

 さて、先月の本連載『立憲民主党を「にわかヒーロー」に祭り上げたSNSの恐ろしさ』で述べたように、私はとりわけSNSが社会に与える影響を問題視しています。多くの人がSNSにハマって1日に何十回とアクセスし、また長時間そこに滞在するのは、自らの意思による行動というよりも、SNS企業の仕掛けによってそう仕向けられている側面があります。

 まず、最先端のデザイン理論(persuasive design)を駆使してインターフェースをデザインし、SNS上で単に投稿を1つ読むだけでなく、様々なコンテンツを消費して長時間、滞在するように仕向けています。

 また、たとえば“プッシュ通知”機能(新たな書き込みがあったなどの知らせ)でユーザが何度でもアクセスするように仕向けています。これを繰り返すうちにユーザーは、プッシュ通知がなくても新しい更新という“報酬”を求めて、自分から何度もアクセスするようになります。

 “引っ張って更新”機能(スマホの画面を下にスワイプしたらSNSの表示が更新される)は、どのような新しい更新という“報酬”があるかを求めるユーザのワクワク感を高める点で、実はカジノのスロットマシーンと同じ役目を果たしています。つまりSNSは、それを提供する企業の様々な工夫により、本人の意思と関係なく、それにハマる中毒性を備えているのです。

 今回、貴ノ岩が横綱の説教中にもかかわらずスマホをいじったり、それを咎められた貴ノ岩が日馬富士を睨んだという報道もありましたが、それにも彼がスマホを通じて、日頃からSNSにアクセスしていた影響があるのかもしれません。

 というのは、SNS企業はユーザーの気を引くために、内容や色使いなどセンセーショナルなコンテンツをたくさん提供するので、それに馴染んでしまううちに、人間はロジックや合理性よりも直感や衝動で判断・行動するようになってしまうからです。先の米国大統領選で、トランプ氏が当選に至ったのがその典型例です。

スマホで会議に集中できない
“貴ノ岩現象”は角界だけにあらず
 ちなみに、このように考えると、横綱という目上の人間の説教中にスマホをいじってしまったという“貴ノ岩現象”は、実は世の中に蔓延していることに気づきます。

 たとえば会議の場、さらには1対1で話している場でもスマホを机の上に置いて、プッシュ通知機能でSNSの更新やメールが来たことがわかるとすぐにスマホをいじり出す人は、たくさんいます。若い世代のみならず、政治家などかなり偉い立場の人でもそういう行動をする人は多いのが現実です。

 しかし、そもそも1対1で話しているときに机の上にスマホを置くというのは、目の前の会話よりもSNSやメールの連絡の方が大事と言っているのに等しい点で、これは非常識な行動と言わざるを得ません。実際、米国人でも、会話中に相手がスマホをいじるのを不快に感じている人はたくさんいます。

もちろん、一般社会は角界ほど礼儀やしきたりが厳しくないので、そうした行動が暴行などの事件に発展することはありませんが、実はスマホ・SNS中毒は社会全体に蔓延していて、その明示的な実害が今回の暴行事件、そしてその責任を取った横綱引退という形で現れたと考えることもできるのではないでしょうか。

人間が物事に集中できるように
なったのは印刷技術の発明以降
 それでは、このスマホ・SNS中毒に社会はどう対処すればいいのでしょうか。

 人によっては、若い世代が会議や会話の最中もスマホやSNSをいじり続けるのは時代が変わったからであり、それが新しい常識になってしまったのでもう止むを得ない、といった趣旨の発言をしていますが、それは明らかに間違っていると思います。

 というのは、そもそも歴史的に考えると、人間が1つの物事に集中できるようになったのは、15世紀半ばにグーテンベルクが印刷技術を発明してからです。それまでは原始時代からずっと注意散漫だったのが、本という単一の静止した対象に向かって切れ目なく注意を持続させられるという不自然な行為を繰り返すうちに、人間は集中して考えたり行動したりすることができるようになったのです。

 つまり、人間が目の前の人との会話などに集中できるようになったのは、人類の長い歴史の中で最近の600年というすごく短い時間に過ぎないのです。それが、スマホやSNSによって、またグーテンベルク以前の注意散漫な状態に戻りつつあるとも考えることができます。

 そして、それが不可逆な変化なのか、時代が変わった中での新たな常識なのかは、まだ判断できないはずです。スマホやSNSが普及してからまだわずか10年しか経っていないからです。

 たとえば、グーテンベルクが印刷技術を発明して50年くらい経つと、クオリティの低い本が粗製乱造されて世の中に出回り、本当に大事な本が読まれなくなりました。当時の哲学者エラスムスも「印刷機のせいで世の中に下らない本、有害な本ばかりが出回り、本当に良い本の素晴らしさが認識されなくなった」と嘆いていたくらいです。

 しかし、結果的には粗製乱造されたくだらない本が当時の“不可逆な変化”や“新たな常識”にはなりませんでした。当時の人たちが知恵を絞って、本を読みながら重要な部分のメモを取ること(ノート・テイク)が教育の中で推奨される、様々な名著の重要な部分を引用してまとめた参照本(レファランス・ブック)が出版されるなど、くだらない本の氾濫に対処する新しいツールが生み出されたからです。

 そうした歴史の経験も踏まえると、わずか10年の間に、人との会話中にもスマホやSNSを優先するのが新たな常識になってしまったかは、判別できないはずです。

 かつ、米国での心理学者などによる様々な実験により、たとえばスマホやパソコンで当たり前になっているマルチタスクよりも“モノタスク”、すなわち1つの物事に集中する方が生産性が高いことや、仕事をする上でのコミュニケーションをメールや電話よりも直接の対話によって行うほうが生産性が高いことが証明されています。“目は口ほどに物を言う”というのは本当だったのです。

 こうした実験結果からも、スマホやSNSに注意が向いたままでの会話や仕事、スマホの画面に目を落としながらの会話といったものが、いかに非効率であるかがわかります。

 つまり、説教中や会話中にスマホをいじってSNSを使うことは、礼儀を失しているのみならず、生産性を下げる観点からも社会にとって有害なのです。特にSNSは自発的というよりもSNS企業によって人為的につくり出されたものであることを考えると、社会としての対抗策を考える必要があるのではないでしょうか。

 そのためにまず必要なのは、やはり教育のはずです。スマホやSNSの存在は否定しようがないので、グーテンベルクの時代のようにSNS中毒への有効な対抗手段が生み出されるまでは、教育でそれを防ぐしかありません。

礼儀に厳しい角界こそが率先して
スマホ・SNSへの接し方を教育すべき
 そう考えると、今回の日馬富士暴行事件については、相撲協会や貴ノ岩が所属する部屋の親方(貴乃花)の責任も大きいのではないでしょうか。力士の多くは中学卒業後などの本当に若いうちから部屋に入門するので、多くの力士は十分な教育を受けているとはいえないと思います。特に、この10年で普及したスマホやSNSへの対処の仕方については、社会一般でも何の教育もされていないくらいなので、なおさらです。

 しかし、礼儀やしきたりに厳しい角界だからこそ、本来は世の中に率先してスマホやSNSへの接し方を教育すべきだったのではないでしょうか。

 そして、横綱による暴行事件、その責任を取った横綱引退というスマホ中毒の実害がショッキングな形で公になった以上、私たち一般人もそうした教育の必要性を意識する段階になったのではないかと思います。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)

「スマホ・ネット禁止令」で働き方改革は簡単に実現できる

2018年02月02日 05時47分46秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/121597

「スマホ・ネット禁止令」で働き方改革は簡単に実現できる
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生産性向上に向けた政策が
不十分な働き方改革
 新聞を見ると、毎日にように“働き方改革”という言葉が踊っています。安倍政権の現在の最重要政策なので当然ではありますが、ちょっと首を傾げたくなってしまいます。

 というのは、実際に動いている目立った政策が、同一労働同一賃金の実現に向けた非正規雇用の待遇改善と、長時間労働の是正くらいだからです。後者について、今週に入って残業時間の上限を設定することで政府・経団連・連合が合意しましたが、それを総理や官房長官が“歴史的な大改革”と自画自賛するのを見ると、いよいよ首を傾げたくなってしまいます。

 そもそも働き方改革は何のために行うのでしょうか。働く側のために賃金の上昇とワークライフバランスを実現するとともに、経済全体では生産性の向上と労働人口の増加(人口減少への対応)を実現するためになると思います。政策目的としては4つが考えられるのです。

 この観点から考えると、長時間労働の是正をはじめ、働き方改革で検討されているテーマの多く(テレワーク、女性の活躍、高齢者の就業促進、子育て・介護と仕事の両立、外国人受け入れ)が、主にワークライフバランスや労働人口増加のための政策です。逆に言えば、日本経済にとってもっとも重要な課題である生産性の向上と賃金の上昇に向けた政策はそんなに多くないのです。

 もちろん、非正規雇用の待遇改善は、非正規の賃金上昇のためにやって当然の政策です。ただ、低賃金で喘いでいるのは非正規だけではありません。最低賃金を大幅に上げることが、ブラック企業を撲滅するためにも必要なはずです。

 かつ、大事なのは、それらはあくまで賃金上昇のための政策に過ぎず、それだけで自動的に生産性も向上するなどあり得ないということです。

 真剣に労働者の生産性を向上させたいなら、やはり労働者がスキルアップできる機会を増やすことが必要です。北欧のように政府が提供する職業訓練プログラムや失業手当を充実するなど、教育・訓練の機会を抜本的に強化し、労働者のスキルアップは企業のOJT任せという高度成長期以来の仕組みを転換すべきではないでしょうか。

スマホとネットが
脳に与える三つの悪影響
 ただ、そうした政策は多額の予算が必要だし、ハローワークなど既得権益も絡みますので、おそらく抜本的な改革はやらない今の政権では無理でしょう。それでは、予算をかけずに労働者の生産性を向上させる政策はないでしょうか。一つあります。それは“スマホ・ネット禁止令”を出すことです。

 既にこのコーナーで何度か軽く触れたことがありますが、スマホやネットを使い過ぎると、人間の脳には三つの悪影響が生じる可能性が高いと言われています。

 第一は集中力が低下することです。スマホやネットで画面をどんどん変えていろんなウェブサイトやソーシャルメディアを見ていると、脳が常に情報の刺激を求めるようになるので、集中して勉強したり考えるということができなくなります。

 第二は画面をスクロールしながらテキストを読んでばかりいると、読み方が“浅い読み”(字面だけを追って記憶に残らない流し読み)ばかりになり、“深い読み”(じっくり読んで内容を吸収するとともに、自分が持っている知識と新しい情報を結合して新しいアイディアを生み出す)ができなくなります。

 第三は行動全般が受け身になることです。特にスマホは、能動的に使いこなしているようで、実はだいたい決まったウェブサイトやソーシャルメディアを巡回しているだけ、ゲームも与えられたルールに従ってやっているだけと、スマホが情報を与えてくれるのに従うという受け身の状態になります。脳がそれに慣れてしまうと、スマホを使っていない時も行動が受け身になりがちです。

 ここで、恐ろしいデータを紹介しましょう。いずれも米国での調査の結果ですが、まずiPhoneユーザは1日に80回、Androidユーザは1日に110もスマホをアンロック、つまりスマホをいじっていました。平均して1日に100回として、また睡眠時間を除いた1日の時間が仕事をしている時間も含めて17時間とすると、なんと10分に1回はスマホをいじっていることになります。

 次に、スマホやネットのユーザは、平均的なウェブサイトに書かれている文章(英単語で593語が含まれている)の20%しか読んでいないそうです。

 さらに、これが一番恐ろしいのは、今や仕事ではパソコンやスマホによりマルチタスクが当たり前になり、また様々なデジタルのサービス(メール、携帯電話、メッセンジャーなど)が入り込んだ結果、人は平均して3分ごとに違ったタスクをこなしますが、一度止めたタスクに戻るには23分も要したそうです。

「歩きスマホは危険です」ではなく
「スマホは危険です」
 私自身、自分の日々の行動を思い返すと思い当たる節が多いので、自己反省を込めて考えると、おそらく日本人の行動も同じようなものだと思います。人間は、スマホやネットを通じた情報の過剰摂取により、これまでにないくらいに注意散漫になってしまっているのです。こんなに落ち着きのない行動をしていては、そもそも仕事の生産性も高まりませんし、また集中してスキルアップに取り組めるはずもありません。

 もちろん、スマホやネットは、賢く使えば生産性アップに大きく貢献する化物のような道具、手段です。でも、残念ながら今はまだ賢く使いこなすどころか、逆に人間がスマホやネットに使われてしまっているために、マイナスの影響の方が大きく出ているのです。

 そう考えると、スマホやネットの利用の全面禁止は当然無理ですが、まず使い過ぎある程度制限するキャンペーン、ムーブメントを起こすだけでも、労働者の生産性の向上に役立つのではないでしょうか。例えば、車内や公共交通機関の中ではスマホの利用を禁止するとか、オフィスや大学の教室の中ではウェブ閲覧を完全に禁止するとか…。最近は電車の中で「歩きスマホは危険です」という表示をよく見かけますが、それだけでは不十分、「スマホは危険です」というキャンペーンを始めるべきです。

 …もちろん、私の妄想レベルではこれがすぐにやれるベストの政策だと思うものの、実際にはこうした取り組みを政策として行うのは確実に無理です。ただ、少なくとも欧米では様々な調査でスマホやネットの問題点、人間に与える悪影響が明らかになりつつあるからこそ、生産性の向上が最重要課題の日本がこの問題に率先して取り組んでもいいのではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)

「子どものスマホ害毒」を訴えたアップル大株主に日本人が学ぶこと

2018年02月02日 05時43分43秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/156383

「子どものスマホ害毒」を訴えたアップル大株主に日本人が学ぶこと
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米国でアップルの大株主である2つのファンドが、同社へスマホの子どもに対する悪影響に警鐘を鳴らす公開書簡を提出した。iPhoneを発売する企業の大株主の行動として、注目に値する photo:DW

親が子どもを適切に管理すべき
大株主がスマホの悪影響を指摘
 日本ではあまり話題になっていませんが、米国では1月6日にアップルの大株主である2つのファンドがアップルに公開書簡を提出しました。その内容があまりに正論であり、この行動から日本が学ぶべき点もあると思いますので、今回はその内容を紹介したいと思います。

 この公開書簡を提出したのは、米国のアクティビストファンド(物言う株主)のジャナ・パートナーズと、全米第2位の公的年金基金であるカリフォルニア州教職員退職年金基金(Calstrs)です。

 両者でアップルの株を20億ドル分も持っているのですが、その大株主がアップルに対して、専門家や著名人(ミュージシャンのスティングなど)と連携した上で、スマホは脳が発達過程にある子どもに対して大きな悪影響を及ぼす懸念があるのだから、iPhoneとiPadの製造者であるアップルは、親が子どものスマホ利用を適切に管理できるようにするのを手伝うべきだと主張しているのです。

 この公開書簡の内容を簡単に紹介しますと、まずスマホの子どもに対する悪影響を以下のように具体的に羅列しています。

・米国のティーンエイジャーは平均して、10歳で初めてスマホを入手し、電話やテキストメッセージを除いて1日平均4.5時間以上もスマホを使っている。

・ティーンエイジャーの80%近くが1時間に1回はスマホを使っており、半数以上が“スマホ中毒”にかかっていると感じている。

・ある大学が2300人以上の教師に調査をしたところ、75%以上が生徒の勉強に対する集中力が低下していると回答した。

・1日に5時間以上スマホを使っているティーンエイジャーは、スマホ利用が1日に1時間以下のティーンエイジャーと比べて71%も高い自殺のリスクを抱えている。

・スマホやパソコンを使いすぎている子どもほど、眠りが浅くなっている。

・デジタル・デトックス(スマホ、パソコン、ネットといったデジタルが何もない環境で一定期間過ごすこと)を経た子どもの学業のパフォーマンスは向上している。

・3500人以上の親を対象とした心理学会のサーベイによると、その58%がソーシャルメディアの子どもへの悪影響を心配しており、また48%は子どものスマホ使用時間を制限するのにすごく苦労したと回答している。

 そして、2つのファンドはアップルに対して、スマホの子どもへの悪影響についての研究と、親が子どものスマホ利用の状況を監視・制限できるツールの開発に、資金と人材を投入すべきと示唆しています。

 その具体策としては、端末の設定オプションに、親が子どもの年齢を入力するとスマホの使用時間や適切なソーシャルメディアなどについて、アドバイスを受けられるようなメニューを加えるべきではないかと提言しています。

公開書簡に含まれた重要な示唆
米国の株主はしっかりしている
 また、アップルは環境への負荷やサプライチェーンについて、プログレスレポートを毎年発表しているのだから、子どものスマホ利用についても同様にプログレスレポートを作成・公表すべきではないかとも提言しています。

 その上で2つのファンドは、「アップルがこの問題に適切に対応して、今の顧客により多くの選択肢とオプションを提供するとともに、次世代のリーダーやイノベーターである子どもたちと将来の顧客を守ることが、アップルの長期的な企業価値を高めることに貢献するだろう」と述べています。

 ちなみにこの公開書簡では、ソーシャルメディア企業に対しても、「iPhoneやiPadが入り口となるソーシャルメディアは、ユーザの中毒性を高め、できるだけ長時間使い続けるようにデザインされている」と言及しています。

 この公開書簡を読んで感じたのは、米国の株主はしっかりしているなあということです。

 公開書簡が主張している内容は非常に正しく、かつ重要なものです。私がこの連載で何度も述べているように、スマホやソーシャルメディアは使いすぎると、子どものみならず大人の集中力も大きく低下させるので、個人の能力や生産性、経済の生産性といった観点からは明らかにマイナスです。

 そうした正論を、大株主であるアクティビストファンドがアップルに対して直接表明したというのがすごいと思います。アップルの短期的な株価だけを考えるならば、今回のような意見を表明する必要はまったくなかったはずです。おそらく、この問題は深刻なので、いずれ大きな社会問題になるだろうし、そうなったらアップルの株価にも悪影響が生じるだろうと考えたのではないでしょうか。

日本では誰がこの問題を
声高に唱えてくれるのか?
 翻って日本を見ると、この問題は非常に深刻であるにもかかわらず、まずマスメディアでスマホやソーシャルメディア、さらにはネットゲームなどの悪影響を問題提起するところはほぼ皆無です。世の流れや先を読む力が落ちているのか、それらの製品やサービスを提供する企業は大スポンサーなので扱いにくいのでしょう。

 それならば、本来は米国のようにそれらの企業の大株主が問題を率直に指摘すべきです。特に、日本でも企業の持続的成長やコーポレートガバナンスの強化に向けた機関投資家による監督の重要性が謳われ、金融庁もスチュワードシップ・コードを策定しているのですから、なおさらです。

 ですが、日本でファンドなどの大株主がこの問題を指摘したというのは聞いたことがありません。残念ながら、日本の機関投資家の社会問題に対する意識は、まだまだなのかもしれません。

 しかし、米国と同様に日本でも、スマホ、ソーシャルメディア、ネットゲームなどの悪影響は子どものみならず大人にも生じているであろうことを考えると、そろそろ誰か影響力のあるプレーヤーがこの重要な問題を声高に指摘し、対応策を企業や社会が考えるように促すべきです。

 実際米国では、この公開書簡が提出された数日後に、アップルが将来的にペアレンタルコントロールの機能を充実させる意向を表明しました。誰か影響力あるプレーヤーが動けば、問題解決に向けた動きはできるのです。

 日本では、マスメディアや機関投資家にその役割が期待できないとしたら、この問題を指摘できる最後の砦は政府になってしまうのでしょうか。スマホ料金の引き下げや企業の賃上げといった、民間が自分で決めるべき問題も政府が最初に言い出す国だから、それが現実的なのかもしれませんね……。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)

スマホが子どもにもたらす「隠された3つの弊害」

2018年02月02日 05時39分54秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/106072

スマホが子どもにもたらす「隠された3つの弊害」
岸 博幸:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授  バックナンバー一覧へ

スマホを子どもに持たせる親は、世間で語られているスマホの弊害を、もっと別の側面からも理解しておくことが必要だ。その「隠された3つの弊害」とは?
 最近、小学生や中学生の親御さんと話す機会が多いのですが、そこで多くの親御さんが「子どもにスマホを持たせていいのか」について悩んでいることがわかりました。

 友達が持っていると自分も持ちたがるのは子どもの常ですが、親御さんの立場からすれば、緊急連絡などで便利とはいえ、ネット上にはポルノなどの不適切なコンテンツが氾濫し、SNSを使ったイジメもあるとなると、当然不安になると思います。

 ただ、多くの親御さんに、スマホが持つ別の側面におけるもっと深刻な悪影響もぜひ理解しておいていただきたいと思います。子どもがスマホを持ったら、間違いなくウェブサイトの閲覧、SNS、ゲームなどをフルに使いこなしますが、それが度を過ぎてスマホを使い過ぎると、子どもの能力を低下させるという危険性についてです。スマホは3つの弊害をもたらすからです。

ポルノやSNSいじめだけではない
スマホがもたらす「隠れた3つの弊害」
 弊害の1つ目は集中力の低下です。スマホを使いこなしている人はだいたい例外なく、ウェブサイトの閲覧、友人のフェイスブックへの書き込みのチェック、LINEで友達と会話、と多くの人が忙しく画面を変えています。

 ネット上でコンテンツを提供する事業者は、ページビュー数が増えてこそ儲かるので、たくさんのページを見てもらえるよう、たくさんのリンクを貼っていますし、スマホはやれメールが届いた、やれLINEで新しいメッセージが届いたなどと、毎回ご丁寧に知らせてくれるので、そうなるのは止むを得ません。

 しかし問題は、人間の脳は見事なまでに環境に順応してしまうので、このマルチタスクをずっと続けていると、脳が常に新たな情報という刺激を求めるようになってしまう、ということです。

 その結果として、人間の集中力は低下することになります。試しに、スマホに触らずに1時間集中して本を読み続けることができるか、やってみてください。スマホ中毒の人ほど、メールやメッセージの到着を知らせるスマホの誘惑に打ち勝って、集中を続けるのは難しいはずです。

 2つ目の弊害は、スマホを使い過ぎると行動全体が受け身になってしまうということです。スマホ上でマルチタスクで忙しく画面を変えていると、つい能動的に情報を集めている気分になりがちですが、実際はどうもそうではありません。

 多くの人が、自分がブックマークしたウェブサイトを見たり、SNSでの友人の発言を見たりと、ルーチンのように決まった場所を巡回しているのではないでしょうか。また、ネット上で調べものをする場合も、検索した後は、検索結果やそこから行った先のサイトに貼られたリンクをクリックしている場合が多いと思います。

 これは言い換えると、与えられたものをひたすらクリックし続けているだけです。ちなみに、最近はスマホゲームに熱中している人も多いですが、これも同じです。能動的にゲームをプレイしているように思いがちですが、実は与えられたルールの範囲の中で一生懸命やっているだけだからです。

 そして、人間の脳は環境に順応するため、常に受け身で情報を与えられるのに慣れてしまうと、行動全般にその影響が出ることになります。その典型例は、電車を降りるときの行動の遅さです。

 たとえば、スマホが普及する10年前や20年前だったら、多くの人が、自分が降りる駅が近づくとそれを能動的に意識していたので、電車の乗り降りは整然としていました。しかし、今はスマホをいじっていない人でも、自分が降りる駅に着いてドアが開いてからはっと気がついて立ち上がる人が多くなっているので、電車の乗り降りにすごく時間がかかるようになってしまったように感じられます。

 そして3つ目の弊害は、テキストの読み方が「浅い読み」になってしまうということです。そもそも、テキストの読み方には“深い読み”と“浅い読み”の2種類があります。“深い読み”とは、本などをじっくり読んで、その中身をしっかりと理解するだけではなく、自分の中にすでにある知識や経験と結びつけて新たな洞察を生み出す行為であり、単に受動的に知識を吸収するだけではありません。

 それに対して、“浅い読み”とは、まさに字面をザーッと読んで表面的に中身を理解する行為ですが、スマホで画面を忙しくスクロールしながら読むときは、まさにこの読み方をしているのです。

 脳科学の世界の理解では、浅い読みだと脳内の短期記憶を司る部位に読んだ内容が納められるだけなので、遠からずその内容を忘れてしまいますが、深い読みの場合は、そこで得た知識が脳内の短期記憶を司る部位から長期記憶を司る部位に移行されるので、まさにその知識は本人のものになるようです。

 そして、ここでもやはり人間の脳の環境順応能力が発揮されてしまい、スマホで浅い読みばかりを日々行っていると、脳がそれに順応し、たまに本を読むときも同じように浅い読みばかりになってしまうのです。

スマホだけではない、
子どもだけの問題でもない
 このようにスマホの使い過ぎは、集中力が低下する、行動が受け身になる、そしてテキストの読み方が浅い読みばかりになる、という3つの悪影響をもたらす危険性があるので、脳が発達・成長する過程の子どもにはなるべくスマホを持たせない、使わせるにしても1日で使える時間を厳しく制限する、といったことが必要ではないかと思います。

 実際、3つの悪影響以外にも、寝る前にスマホを見ていると、脳はスマホが提供する様々なコンテンツに刺激されて興奮状態になるため、寝つきがあまり良くなくなるそうです。

 ところで、さらに指摘しておくべき重要な点が2つあります。1つは、ここまでの内容はスマホに限定した話ではないということです。パソコンを使ってネットやメール、ゲームをする場合にも、使い過ぎたら同じ悪影響が生じます。もう1つは、この議論は子どもに限定した話ではなく、大人にも当てはまるということです。人間の脳は何歳になっても環境に順応するからです。

賢く使えば有益なツールに
子どもの「スマホルール」を決めるべき
 そう、スマホやネットの使い過ぎは大人にも悪影響が大きいのです。特に、今のようにイノベーションやクリエイティビティの重要性が叫ばれる時代に、集中力が低下したり浅い読みばかりになってしまっては、じっくりと考えてクリエイティブな問題解決策を考案することができなくなってしまいます。それは、仕事をする上では大きなマイナスではないでしょうか。

 そうした問題意識から、米国ではデジタルダイエット、デジタルデトックスといった、たとえば週末はデジタル機器から完全に離れた生活を送るといった取り組みも盛んに行われています。

 もちろん、だからと言ってスマホやネットを使うなといったアナクロな主張をする気はありません。賢く使いこなせば、これほど個人の力を高めてくれる道具はないのですから。かつ、スマホやネットでマルチタスクを行っていると、脳の働きのうち認知能力が高度化されるのは事実ですし、それ自体は今後必要な能力の1つです。

 それでも、使いこなしているつもりが、気がついたらスマホやネットに使われてしまっているようでは逆効果です。認知能力ばかりではなく、思考能力もバランス良く高度化できるよう、意識してスマホやネットの使い方をコントロールする必要があるのではないでしょうか。

 今は電車に乗ると大半の人がスマホをいじってばかりです。もちろん、通勤ラッシュの苦痛を忘れるためには、ある意味でスポーツ新聞の代わりとしてスマホは不可欠でしょう。でも、それも度を過ぎるとあなたのクリエイティビティや生産性を低下させかねません。

 人間は誘惑に弱いので、個人的には政府にスマホ利用を規制してほしいくらいに思っていますが、まずは多くの人が自分なりのスマホやネットの使い方のルールを決めることから始めてみてはいかがでしょうか。

スマホ依存が人間の脳に与える2つの悪影響

2018年02月02日 05時36分33秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/87340

スマホ依存が人間の脳に与える2つの悪影響
岸 博幸:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授  バックナンバー一覧へ

スマホ依存の本当の深刻さを知らない人が意外に多い
 兵庫県は、スマホ利用のルール作りを学校や保護者に求める条例を県議会に提出しました。この条例は今月成立する見通しですが、既に兵庫県以外でも幾つかの自治体が、小中学生のスマホ利用を午後9時までと制限しています。

 これらの動き自体は正しいと思いますが、子どものスマホ利用を制限する理由となると、スマホ依存が過ぎると朝起きられなくなる、学校の成績が下がるといった抽象的な説明に終始しており、ちょっと説得力に欠けると言わざるを得ません。そこで、今回はスマホ依存がもたらす本質的な問題点について考えてみたいと思います。

米国の研究で明らかになった
スマホがもたらす2つの影響
 米国での様々な研究からは、スマホの使い過ぎは二つの影響を人間の脳にもたらすと考えられます。

 第一は、テキストの読み方が“浅い読み”ばかりになるということです。

 人がテキストを読むとき、その読み方には“浅い読み”と“深い読み”の二種類があります。“浅い読み”とは、例えば電車の車窓から見える看板などの文字を読むときがそうであるように、無意識のうちに短時間でさっと読んで内容を認知はするけれど、特に記憶に残すこともないという読み方です。

 それに対して“深い読み”とは、じっくりと読む過程で、テキストから取得した新しい知識が読み手の個人的な知識や経験と統合され、新たな洞察を生み出すという読み方です。

 平たく言えば、“浅い読み”が受動的な行為であるのに対して、“深い読み”は能動的な行為であると言えるでしょう。

 そして、スマホでコンテンツを読む際の眼球の動きなどについての研究から分かることは、スマホ上でテキストを読むときは“浅い読み”が圧倒的になっているということです。

 第二は、スマホ上でのマルチタスクは人間の集中力を大きく低下させるということです。

 スマホを使う際にはマルチタスクが当たり前です。電車の中で熱心にスマホを使っている人の行動を見ると、様々なウェブサイトやブログを見て、友人のFacebookやTwitterの更新をチェックして、LINEで友人と会話して、YouTubeで様々な動画を見て、と大忙しです。

 それ自体非常に効率的に新たな情報を摂取しているように見えますが、逆に言えば、マルチタスクは一つの情報に集中することを妨げていると言うことができます。

 更に言えば、ウェブサイトに貼られているリンクをどんどんクリックしている人も多いですが、こうしたリンクはテキストの拾い読みを促進しています。検索サイトはテキストを断片化しています。動画サイトはたくさんの関連動画を提示することで動画のつまみ食いを促進しています。SNSはフォローしている友人の更新を教えることで、頻繁にチェックすることを要求します。

 要は、マルチタスク、そしてそこで利用可能な様々なネットサービスは、人間の集中力をどんどん低下させているのです。ページビュー数を増やしてこそ広告収入も増えるという今のネットビジネスの構造からは、一つのコンテンツに集中して長時間とどまるより、集中力を低下させて何度もアクセスさせるのが合理的ですので、これはやむを得ません。

 そして、人間の脳は環境への順応性が非常に高いということを忘れてはいけません。脳の基本構造はほとんど変わっていないにも拘らず、人間の思考や行動の方法は過去数千年の間に原型をとどめないほど大きく変化している位です。

 特にスマホを使っていると、視覚(コンテンツの閲覧)、聴覚(新着メールなどのお知らせや音楽)、触覚(画面のスクロール)と五感のうち3つを独占しますので、脳は容易にマルチタスクの環境に順応します。

 すると、脳は常に新たな情報やコンテンツという刺激を求めるようになってしまうのです。これが集中力の低下に他なりません。

スマホだけではなくネットも同じ
 このように、スマホを使い過ぎると、テキストの読み方が自然と“浅い読み”ばかりになり、集中力も低下してしまうという、人間の脳にとって望ましくない事態が引き起こされることになります。

 もともと人間は他の動物と同様に注意散漫でした。“浅い読み”が当たり前だし集中力もなかったのです。それは幼児の行動を見れば明らかです。

 しかし、グーテンベルグによる印刷技術の発明により、一つの書物をじっくり読むという“深い読み”と集中力の向上が可能となったことで、人の創造性の発揮や文明の進化がもたらされました。

 そう考えると、テレビやラジオといったマスメディアの普及は、人間を原始的な注意散漫状態にある程度引き戻したと考えることができます。“深い読み”や高い集中力というのは後天的に身に着けた能力だからです。

 しかし、人間を注意散漫に引き戻すパワーという点で考えると、情報量の多さや双方向性などから、スマホはマスメディアを大きく凌駕しています。

 マクルーハンの「長期的にみれば、我々の思考や行動に影響を与えるのは、メディアの伝える内容よりもむしろメディア自体である」という名言から考えると、スマホは過去数百年で最も大きな影響を人間の脳に与えつつあるのです。

 ところで、これまで敢えてスマホにフォーカスして書いてきましたが、当然ながら同じロジックはパソコンからのネット利用にも当てはまります。

 スマホとネットに共通して、マルチタスクで様々なコンテンツに長時間アクセスしていると、“浅い読み”と集中力の低下が引き起こされるのです。より正確に言えば、スマホやパソコンの画面にはすごく集中しているけど、そこで流し読みしているコンテンツへの集中力は極度に低下しているのです。

スマホとネットだけでは
クリエイティブになれない
 そう考えると、スマホ規制条例の動きをきっかけに一人でも多くの人が意識すべきは、スマホやネットの使い過ぎは、子どものみならず大人の脳にもかなりの悪影響を及ぼすということではないでしょうか。その理由は、人間の脳は何歳になっても環境に順応して進化するからです。

 もちろんスマホやネットには、人間の認知能力を高度化するという大きなメリットがあります。凄まじいまでに多量の情報を短時間でスキミングして認識できるという能力は、スマホやネットの普及により人間が新たに身に着けることができたと言えます。

 ただ、例えば米国のある研究によると、仕事を効率的に処理できるチームは二つの異なったフェーズを繰り返しています。一つは新しい情報を収集するフェーズで、もう一つはそれらの情報を消化・統合させてクリエイティブな解決策を見出すフェーズです。

 これと同じことは個人にも当てはまるはずですが、残念ながら人間の脳はsingle-purpose engineであり、二つのフェーズを同時にこなすことはできません。一時にできるのは、情報を収集するか、思考を展開するかのどちらか一つです。

 そもそも日本経済の再生や個人の所得の増大のためには生産性の向上が不可欠であり、それを実現するのは個人のクリエイティビティです。今の時代は、どんな仕事でも、そしてもちろん勉学でもクリエイティビティが求められているのです。だからこそ、子どものみならず大人もスマホやネットを使い過ぎないよう、自らを律することが必要ではないでしょうか。

 ついでに言えば、同じ議論はスマホのゲームにも当てはまると思います。RPGはともかく普通のゲームは、確かにプレー中はすごく集中してやっているように見えますが、実際はゲームの側に規定された動きを繰り返しやっているだけですので、集中力の向上にはまったくつながりません。

 私は、電車の中で大半の大人がスマホに熱中して、マルチタスクで様々なコンテンツを流し読みしたりゲームに興じている姿を見ると、この人たちは家に帰ったらスマホやネットから離れて“深い読み”をしたり集中して物事を考えることをやっているだろうか、と余計な心配をしてしまいます。

スマホ利用の制限はまず大人からやるべき
 結論として私は、二つの理由から、まずスマホ利用を制限すべきは大人の側ではないかと思っています。

 一つは、日本経済の再生もさることながら、個々人が自らの生産性を高めて収入を増やすには、“深い読み”や集中力の向上を通じてもっとクリエイティブにならないとダメだからです。

 もう一つは、子どものスマホ利用を制限するという方向は正しいですが、それをやるにはまずは大人の側が自らのスマホ利用を制限しないと無理です。子どもは大人をよく見ています。多くの大人が電車の中でスマホに熱中していては、また親がスマホばかりいじっていては、子どもにスマホを使い過ぎるなと言っても全然説得力がありません。

 繰り返しになりますが、スマホやネットには凄まじいまでに大きなメリットがあるし、何よりこの上なく便利です。多くの人がスマホやネットを頻繁に使うのはやむを得ませんし、それを全面否定したりはしません。

 でも、便利だからと言って際限なくのめり込んでいては“浅い読み”しかできなくなって集中力も低下して、頭が働かなくなるだけです。スマホやネットを賢く能動的に使いこなしてクリエイティブになれるか、または受動的にそれらに使われてバカになるかは、個々人の心がけ次第です。子どもがどちらの道に行ってしまうかも、親の心がけ次第です。

 一人でも多くの人がそうした意識を持つようにすることが、スマホ条例よりもよっぽど重要ではないでしょうか。

ジョージ・ソロスもダボス会議で語った「スマホ・SNS害悪論」

2018年02月02日 05時27分32秒 | 市場動向チェックメモ
http://diamond.jp/articles/-/158117

ジョージ・ソロスもダボス会議で語った「スマホ・SNS害悪論」
岸 博幸:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授  バックナンバー一覧へ

日本ではあまり知られていないが、先週開催されたダボス会議で、ジョージ・ソロス氏が、スマホやSNSがもたらす悪影響について警鐘を鳴らした。これはグローバルな問題意識という点で、興味深い

日本では知られていない
ダボス会議での「ソロス演説」

 先週1月22~26日に開催されたダボス会議に関する日本での報道は、米国トランプ大統領の演説ばかりでした。しかし、実際には様々なグローバル・アジェンダについての議論が行われており、中でも第4次産業革命やデータ覇権についての議論が盛り上がったそうです。

 その関連で個人的に注目したのは、投資家であり慈善家でもあるジョージ・ソロス氏の演説です。ソロス氏は演説の中で、データ覇権のみならず、当連載で前回も含めて何度も指摘しているスマホやソーシャルメディアがもたらす悪影響についても、警鐘を鳴らしているのです。

 日本ではソロス演説については報道されていないと思うので、演説の関連部分を引用しておくと以下の通りです。

・フェイスブックやグーグルが強大な独占企業になったことで、イノベーションの障害となるのみならず、私たちがこれまで気づかなかった様々な問題を引き起こしている。

・ソーシャルメディア企業は、ユーザの関心(attention)を操作して自らの利益の最大化に役立つよう仕向けている点で、ユーザを欺いている。彼らは、計画的に提供しているサービスに中毒性(addiction)の要素を盛り込んでいる。これは、特に青少年には非常に有害である。ネットのプラットホーム企業がやっていることは、カジノでギャンブル企業が客をカモにする(hook)のと同じである。

・その結果として、今のデジタル時代は、非常に有害でおそらく不可逆的な事態が、人間の注意力や意識に起きつつある。それは単に集中力の低下(distraction)や中毒に止まらない。ソーシャルメディア企業は、人々から自主自律の精神(autonomy)を奪いつつあるのである。人々の関心や意識を形づくる力は、ごく少数の企業にどんどん集中してしまっている。

・ジョン・スチュアート・ミルがその重要性を訴えた “精神の自由”(freedom of mind)を人々が確立して維持するには、多大な努力を要する。それを一度失ってしまうと、デジタル時代に育った人々がそれを回復させるのは非常に困難であろう。

・これは社会や政治にも非常に大きな悪影響を及ぼす。精神の自由を失った人々は容易に意識をコントロールされてしまう。このリスクは将来のことではない。それはすでに2016年の米国大統領選に大きな影響を及ぼした。

・そして、もし人々の関心や意識をコントロールできるそれらデータ独占企業と独裁国家が連携し出したら、ジョージ・オーウェルなどが想像した以上の全体主義的な監視社会ができかねない。それが起きそうな国はロシアと中国である。

・強大なプラットホーム企業は自らを全能の神と思っているかもしれないが、実際には彼らは自分の支配的な地位を維持するのに追われているだけである。適切な規制と税制の導入により、彼らの支配力を低下させるべきである。

スマホやSNSに対する日本の
問題意識はグローバルとかけ離れている

 ソロスの演説のうち関係部分を引用したのは、べつに私の主張が正しいと主張するためではありませんし、ソロスが言っていることが正しいと強要するつもりも全然ありません。スマホやソーシャルメディアが普及してまだ10年しか経っていませんから、何が正しいのかがわかるはずはないからです。

 それよりも、この演説を通じて理解してほしいのは、日本国内の世論や考え方は、グローバルな問題意識とはかなり異なっているということです。

 スマホやソーシャルメディアについて言えば、日本人は概して新しい物や流行り物が好きで、またテクノロジー系の新しい潮流は無条件に受け入れて賛美する傾向があるので、その問題点を考えたり議論したりする風潮は、非常に乏しいように見受けられます。

 しかし、グローバルな議論はすでにその一周先に行っており、データ独占の弊害、ソーシャルメディア企業によるデータ独占が人々や社会に及ぼす悪影響が懸念され出しているのです。

 もちろん、なんでもグローバルが正しいと言う気はありません。ただ、何事もプラスの面もあればマイナスの面もあるのが世の常ですから、グローバルな議論の動向へのアンテナを高くして、今後一層深刻になるデータ独占やソーシャルメディアの問題点について、少しでも多くの人に早めに問題意識を持ってほしいと思っています。

生産性を高めて収入を増やす
スマホやSNSとの「付き合い方」
 最後に宣伝になってしまい恐縮ですが、私の著書『オリンピック恐慌』が幻冬社から発売になりました。今の安倍政権の経済運営では2020年以降の日本経済はかなり悪くなるはずですので、そこで困らないようにするために個人は今からどのような準備をすべきかについて書いています。

 最後の章では、個人の生産性を高めて収入を増やす観点から、スマホやソーシャルメディアが持つリスクと、それに個人がどう対処すべきかについて詳しく書いています。この問題に関心のある方は、ぜひご一読いただければと思います。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)

[FT]トランプ氏、規制緩和への困難な戦い(社説)

2018年02月01日 18時42分15秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26404940R00C18A2000000/?n_cid=DSTPCS001

[FT]トランプ氏、規制緩和への困難な戦い(社説)
トランプ1年 北米 FT
2018/2/1 17:00[有料会員限定]

Financial Times
 「我々は最初の1年で歴代のどの政権よりも多くの規制を撤廃した」と、トランプ米大統領は1月30日の一般教書演説で述べた。この勝利宣言の正否を確かめようとしても、微に入り細をうがつ果てなき論争に行き着くだけだろう。しかし、要点ははっきりしている。米国の規制は過剰で、トランプ政権はそれをどうにかしようとしているのだ。


米がミサイル迎撃実験失敗 日本と共同開発、ハワイで 北朝鮮にらみ防衛拡充狙う

2018年02月01日 18時38分57秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26403750R00C18A2EAF000/

米がミサイル迎撃実験失敗 日本と共同開発、ハワイで
北朝鮮にらみ防衛拡充狙う
政治 北米
2018/2/1 12:19[有料会員限定]

 【ワシントン=共同】米軍は1月31日、日米両国で共同開発した改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を使った迎撃実験に失敗した。米メディアが報じた。実験はハワイで行ったが、標的を撃墜できなかったとみられる。ブロック2Aの実験失敗は昨年6月に続いて2回目、同2月には成功していた。


初めて天皇誕生日なし 政府が19年の祝日発表

2018年02月01日 18時37分57秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26424440R00C18A2PP8000/?nf=1

初めて天皇誕生日なし 政府が19年の祝日発表
政治
2018/2/1 18:00

 政府は1日、2019年の祝日を発表した。1948年の祝日法の施行以来、天皇誕生日がない初めての年となる。誕生日が12月23日の天皇陛下が19年4月30日に退位し、2月23日の皇太子さまが同年5月1日に新天皇に即位するため。20年から2月23日が天皇誕生日になる。

 政府は19年5月1日を祝日か休日とする方向で検討している。祝日法を改正して祝日にした場合、4月29日の昭和の日と5月3日の憲法記念日にはさまれた前後の平日を休日にできる。土曜日の4月27日からの10連休が可能となる。