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【note】甲州街道・駒木野宿から小原宿まで歩いてみた(2)-小仏宿を往く-

2016-12-03 | 旧甲州街道を往く

駒木野宿を出て、西に連なる小仏宿に入ります。

「甲州道中宿村大概帳」によると、天保14(1843)年の小仏宿は、

・本陣…なし
・脇本陣…なし
・問屋場…1ヶ所
・旅籠…11軒
・宿内の家数…58軒
・宿内の人口…252人

データだけ見ると小さな宿場ですが、西に小仏峠があり、旅人はここで休憩をとることが多かったたため、幕末から明治にかけては茶店が出るなど、結構な賑わいだったといいます。
駒木野宿と合宿で、毎月1日から15日まで小仏宿が宿駅業務を勤めました。
旅籠は比較的大きな農家が兼業していたようです。
宿から峠の頂上までは、約17町(約1.8キロ)程と、「新編武蔵風土記稿」には記されています。

【小仏宿・東の入口辺り】


JRの赤レンガのガード下を潜ると小仏宿に入る、とガイドブックにあります。宿の中心はもう少し西へ歩いたところのようですが、ま、とりあえずは小仏宿に入ったとしましょう。

【小仏宿・JRと並行する甲州街道】


JR中央本線を左手に見ながら進みます。結構間近なところを電車が走り抜けていきます。

【小仏宿・街道沿いの自然】


「副業として炭を焼き、薪をとり、鳥や獣を獲って暮らしている」(「新編武蔵風土記稿」)
この地に豊かな水田はやはり無理そうです。今、私たちは自然に癒される~なんて呑気なことを思ってしまいますが、当時の生活は厳しいものだったに違いありません。

【三度屋跡】


小仏宿の中心地に到着です。
この辺りに旅籠「三度屋」があったといいます。
三度屋は三度飛脚(江戸と甲府を月に3度往復した町飛脚)の定宿だったそうです。
高札場が東側にあったといいます。
写真だと奥の方(西)、旅籠屋「鈴木藤右衛門」は名主を勤め、明治天皇が甲州街道を行幸された際には小休止をされたとこと。ガイドブックによると、その記念碑があるはずですが見つけられませんでした。残念。
宿場の西側に問屋場があったそうです。
すべて、この辺りに集中していたのでしょうね。
それにしても、宿場の痕跡を残すものは何もありませんでした。

【小仏バス停】


高尾駅方面からのバスはここが終点。折り返していきます。
バス停の横に公衆トイレがありますが(普通レベル(?)にきれいです)、ここを過ぎると小原宿にたどり着くまでトイレはありません。結構、重要なポイントですのでお忘れなく!

【浅川神社】


街道左側にある小さな神社です。
ガイドブックによると、境内の湧き水が、八王子市民とは切っても切れない縁の浅川の源流とのこと。八王子市民の私としては、それは確認せねば!と探してみたのですが、結局わかりませんでした。これまた残念。

【宝珠寺】


浅川神社のお隣は宝珠寺。
開山は奈良時代の行基上人と伝わる臨済宗の古いお寺です。山号は小仏山。
このお寺、見どころがたくさんありますので、ちょっと寄り道を。

【宝珠寺・馬頭観音】


参道前にある馬頭観音。弘化4(1847)年の建立です。

【宝珠寺・カゴノキ】


参道を登っていくと左手にあります。
東京都の天然記念物に指定されている大樹で、樹皮がはがれて鹿の背のように斑模様に見えることから「鹿子(かこ)の木」と呼ばれます。カゴノキは鹿子の木が訛って発音されたものだとか。高さは23メートル、確かに見上げるような大木でした。

【宝珠寺・常夜燈】


本堂から奥の方へ進むと、三度飛脚たちが奉納した常夜燈が残っています。文久2(1862)年のものです。
ここ宝珠寺は三度飛脚の定宿である旅籠、三度屋の青木氏の菩提寺とのこと。その縁での奉納です。

【小仏峠を目指しての道中1】


宝珠寺をあとにして、いよいよ小仏峠へと向かいます。
この辺り、登山客もちらほらといますが、甲州街道を進んで小仏峠を越えて行くのか、それとも高尾山の他の観光スポットを目指すのか、どちらでしょうか?

【小仏峠を目指しての道中2】


景信山への分岐点。
その昔、山頂に小仏関が置かれていた時代(戦国時代でしょうか)、そこを守備した横地景信という武将の名をとって景信山と呼んだとか。
景信山は、このあたりの最高峰(727メートル)です。

【小仏峠を目指しての道中3】


下方に、登ってきた道が見えます。峠道といった雰囲気になってきました。

【小仏峠を目指しての道中4】


そして到着。
ここが小仏峠?いえいえ、違います。ここから先が本当の意味での峠越えの道です。
駐車場になっていますが、ここまでが舗装道路で、ここから先がいよいよ本格的な山道。

小仏宿を出て、いざ、小仏峠へ!


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