会計業界戦線 異常アリ

インターネットの登場によって、顧客の流動化が進む会計業界。このブログでは、会計業界の変化を綴っていければと思います。

日本マクドナルド好業績の向こう側8/スーパーコンビニエンスへ

2009-05-23 23:38:55 | 活躍するビジネスマン
最新の日経ビジネスに、躍進著しい日本マクドナルドの原田社長についての記事がありました。

外資系企業で、数々の成功を収めてきた原田氏。

店長の残業不払い問題を乗り越えての、好業績のストーリーを追います。


甘えを断つ一志貫徹8

日本マクドナルドホールディングス 原田泳幸CEO(最高経営責任者)

1948年長崎県生まれ。東海大学工学部を卒業後、アップルコンピュータ日本法人などを経て2004年日本マクドナルドホールディングスに転じる。現在、社長・会長・CEOを兼ねる。


◆「カイゼン」続く店舗

マクドナルドにはAJCC(オール・ジャパン・クルー・コンテスト)と呼ばれるイベントがある。同社では、アルバイト店員を「クルー」と呼んでいるが、全国およそ16万人のクルーがその技量を競い合う全国大会だ。

「グリル(焼き)」や「アッセンブラー(ハンバーガーの包装)」など8つに大別された店内での仕事について、その速さ、正確さ、同僚や顧客とのコミュニケーション能力の高さなどを競う。店内予選、地区予選と勝ち抜けば全国大会に出場でき、1年に1度、8人のチャンピオンが選ばれる。

同社では「TET(トータル・エクスペリエンス・タイム)」と呼ばれる指標を重視し、全社員が共有している。顧客が列に並び始めてから商品を受け取るまでの時間だ。秒単位で計測してその削減を目指している。

2005年から2008年までの3年間で、TETを30秒間削減した。

TETを削減した分、新たな顧客に対応できると仮定すれば、TETを1秒間短縮することで売上高は8億円上がる。これにより3年間で250億円の売り上げ押し上げ効果があった。AJCCなどを通してクルーが技量を磨くことは、当然ながらTETの削減にもつながる。

ここまでお読みいただけばもう気づくはずだ。

これらの活動は、製造業における「カイゼン」の取り組みにほかならない。AJCCは「QC(品質管理)サークル活動」であり、TETの考え方はストップウオッチで工程の所要時間を測定してコスト管理する「ABC(活動基準原価計算)管理」に通じる。

客席で注文を受けるわけでも、客席に料理を運ぶのでもないマクドナルドの業態は、純粋に経営の視点から見るなら、サービス業として捉えるよりも製造業と見た方が本質は見えやすい。

店舗が工場と店舗であり、本社が商品開発やマーケティングを担う部門に見立てられる。つまり同社の事業モデルはSPA(製造小売業)に近い。

2007年3月、原田はこう宣言した。

「FC比率(全店舗に占めるFC店の割合)を2010年までに現状の30%から70%まで引き上げる」。2008年末時点で42%まで高まっている。

この施策も、製造業の観点から見れば分かりやすい。狙いは、半導体業界などに見られる「ファブレス」化。つまり、自社工場を持たず、外部工場に製造を委託しながら、商品開発やマーケティングに専念する事業形態だ。FC化すれば、店舗(=工場)が同社のバランスシートから切り離される。

47ページ上のグラフを見ていただきたい。2003年12月期、同社の資産効率と利益率は逆境に苦しむ現在のモスフードサービスよりも低い水準だった。

「原田改革」でこれらの指標は飛躍的に高まったが、それでもコンビニエンスストアチェーンのそれにはまだかなわない。

なぜコンビニはここまで効率性が高いのか。

店舗を直営でなくFCの仕組みで展開し、総菜や食品などの工場を持たずに製造を外部委託する。本部は開発・マーケティング機能に特化できる。つまりコンビニとは、小売業におけるファブレスの成功例なのだ。

奇しくも原田は、マクドナルドの営業戦略を「スーパーコンビニエンス」と表現している。

24時間営業や100円メニューの拡充、店舗でのパソコン利用環境の整備などにより、顧客の利便性を最大化するという意図の言葉だが、ビジネスの構造もコンビニのモデルに徐々に近づいている。

視点を変えれば、日本マクドナルド自身、米マクドナルドから「オフバランス」されていることが分かる。米マクドナルドのフランチャイジー(FC加盟店)という立場にあるからだ。米マクドナルドに支払うロイヤルティーは全店売上高の2.5%(2011年から3%)。2008年12月期にはおよそ130億円が支払われた計算になる。

世界各地のフランチャイジーを「持たざる経営」で運営している米マクドナルドの効率性は、日本のコンビニをも凌駕する。


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