黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

風のガーデン 最終回を見て

2008年12月19日 | Weblog
昨夜、「風のガーデン」最終回を視聴した。放映開始当初は、人が亡くなるドラマである上に、出演者が急逝してしまうという重苦しさに耐え切れず、見ずにすませてしまった。ショックでもあり、残念でもあったからなのだが、やはり見逃したのは惜しい事をしたと悔やんでいる。
このドラマで主演した中井貴一氏は、以前も確かガン死する医者を演じた事がある、と記憶している。今回はその折の亡くなりかたとは違い、ずいぶんリアルであるような感じがした。そのような亡くなりかたを目の当たりにした事はないので、あくまでも個人的なイメージであるが。もっとも、貞美センセイ、お亡くなりになる前にしては結構ふくよかではある。
その貞美の死を見守る父にして老医を演じたのが緒形拳氏である。あのシーンをどんな思いで演じておられたのか、今となっては知る術がない。
氏のブログがひそかに人気を呼んでいる、とその数ヶ月前にテレビで聞いた事がある。大変にバランスのよく取れた食事の写真と、ちょっとした一言がそえてあったのだが、まさかこんな理由の含まれた、大変に大事な食事であったとは。
昔、ある外国の俳優さん(元になった本にはちゃんとお名前が記してあったのだが、ウカツにも忘れてしまった)は、己が不治の病に冒されると知るや、名作をえらんで片っ端から出演契約を結び、可能な限り出演してから亡くなった、と聞いた事がある。どちらもものすごい役者根性である。
一時期、日本映画は二人の「ケンさん」によって支えられていた。一人は高倉健氏であり、もう一人が緒形拳氏であった。その氏の最後の映画出演が妖怪のぬらりひょんというのは、私としては複雑な気持ちだ。その氏の文字通り最後の出演が「風のガーデン」というのは、誠にふさわしいと私は思う。