地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

メルカトルの北極圏図

2008-02-26 12:29:53 | Weblog
ここに示したのは、ランベルトが1772年に考案したとされている正積方位図法が、約200年前の1569年、メルカトルの北極圏地図で既に使われていたことです。

1595年に刊行された、メルカトルの「アトラス」には、メルカトルの描いた北極圏図が方位図法により掲載されていました。それが、この写真の地図です。
メルカトル時代には、まだ北極地域は殆ど未知であり、極点に存在する磁石島を取り囲んで、グリーンランドなど4つの大島が配列していると想像されていました。
問題は、展開図法ですが、・・・


メルカトル (Gerardus Mercator,あるいは Gerhard Kremer 1512-1594) は1512年、ベルギーで生まれました。卒業後、印刷関係や理工機器の製造関係の仕事をしました。
1569年に、彼を有名にした正角円筒図法を考案しました。
その図法によると、子午線に常に同じ角度を保って航行する「等角航路」が、この図法の地図では、直線で示されるため、大航海時代でもあり、重宝されたわけです。
緯度が高くなるにつれて距離が大きく拡大されてしまう欠点はありますが、初めて数学的にも正確に地図を作る技術が導入されたわけで、その意義は大きいとされています。

メルカトール自身も自分の図法で地図帳の制作に取り組み、彼はこの地図帳にギリシャ神話の天を支える巨人神の名前を採ってアトラス(Atlas)という名前を付けました。
アトラスは1594年に彼が亡くなった後、息子の手で1595年完成していますが、その後アトラスという言葉は地図帳一般を指す普通名詞になるに至っています。



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