地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

一等三角点網図

2009-08-31 10:24:37 | Weblog
一等三角点網図

測量の基本である三角測量の最初の材料(骨組み)が一等三角点です。
三角形の一辺の長さを正確に測り(基線測量)、その両端から三角形の頂点になる点への内角を測ることにより、ひとつの三角形(骨組み)をこしらえます。逐次それを広げることにより、日本全国の三角点網を組み立てます。

伊能忠敬さんは、その積み重ねによる誤差を少なくするために、夜は星空を仰いで天体測量をあわせ行ったそうです。

一等三角点の一辺の長さは、大体45kmで、基線は海岸線に沿わせ、大体、正三角形に近い形になるよう、内陸部にその頂点を設定したようです。もちろん基線の両端からの見通しのよい山頂などの地点でなければなりません。

こうして作ったのが、上の図の一等三角点網図です。日本全国だ約950点あります。

ちなみに、その一等三角点網を細分化した二等三角点の基線の長さは8Kmで、約5000点、更に4kmにしたのが三等三角点です。32,600余あるそうです。

また、縮尺の大きい(例えば1:10,000図など)地図を作成する場合は、一辺約2km程度の四等三角点も設けられています。(約40,000点)

そして、地図に書いてある標高数字は、近くの水準点から仰角を図って求めます。(垂直角と、水平距離から求める)

昔はこれらの三角網を基準に平板測量で地図を作っていましたが、最近は空中写真測量です。でも、この三角点網は必須です。

先日、西穂高の近くの「西穂独標」の恐ろしい岩山に登ってきましたが、ここは三角点でなく「独立標高点」です。これは三角点標石が埋設されていない標高点の意味で、高さも小数点以下が省略され、「2701」とのみかかれています。記号も単に「・」のみです。大縮尺の地図作成のとき設けられる四等三角点と同じです。

先日、新田次郎原作の、映画「剣岳 点の記」を見ましたが、この剣岳には山が険しすぎて標石を運びあげることが出来ず、泣く泣く独立標高点扱いになったそうです。つい最近、100周年を記念して、ヘリコプターで標石を運び上げ、ようやく三等三角点に昇格しました。国土地理院長さんの粋な計らいです。
その映画にも映し出されましたが、一等から三等までの三角点設置の記録は書類として確り残るのですが、標石のない剣岳の記録は残っていなかったようです。今回の埋設でようやく一人前に扱われるようになったようです。
メデタシメデタシ!

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