地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

近畿・中部圏の活断層

2008-02-20 10:31:00 | Weblog
平成15年の地震調査研究推進本部の長期評価によると、花折断層帯(中南部)の今後30年以内の地震発生確率は、ほぼ0%~0.6%だそうですが・・・

平成20年2月19日の日経新聞では
「国の中央防災会議は18日近畿・中部圏で今世紀中に起きる可能性があるマグニチュード(M)7~8級の直下型地震で、最大、国宝51件を含む255件の重要文化財が倒壊か焼失の恐れがあるとの被害想定をまとめた。京都・清水寺や奈良・東大寺など日本を代表する歴史建造物が被災することになり、同会議は文化庁や自治体に耐震補強や破震や延焼防止策を実施するよう求める。
中部・近畿圏で起きる可能性のある13の地震のうち、重要文化財が集中する京都や奈良などに大きな被害が予想される6地震の被害を想定した。
最も深刻な被害が予相されるのは京都府南部と琵琶湖南岸にある「花折(はなおれ)断層帯」.(M7.4・想定死者約1,1万人)の地震。同府南部を中心に震度6強以上のゆれに見舞われ、255件の重要文化財が倒壊したり、消失したりする可能性がある。・・・」と・・・

恐ろしい記事が目に留まりました。
21世紀の今日までこの地域の文化財が生き延びてきたのに、「今世紀中に起きる可能性があるマグニチュード(M)7~8級の直下型地震」とは・・・
世間を騒がせないように気を配りながらも、専門家がこうした記事を新聞に掲載させるのは、余程危険が迫っているとしか・・・?


また、今回の中央防災会議の専門調査会が公表した花折断層帯の被害想定結果は、従来、県が実施していたものを大きく上回っているそうです。
ますます、恐ろしいニュースですね・・・!

国土地理院でも、平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災を機に、「都市圏活断層図」の作成を始めました。 (08.2.8ブログ)
地図は、活断層の位置を詳細に表示した縮尺1:25,000図で、色数は5色です。

この際、もう少し真剣に、「都市圏活断層図」の見方を調べておきましょう。
 
活断層(花折断層帯ほか、上の地図の赤線はこの部類です)
最近数十万年に、概ね千年から数万年の周期で繰り返し動いてきた断層の跡が地形に見られ、今後も活動を繰り返す恐れのある断層で、明瞭な地形的証拠から位置が特定できるもの。

活断層(位置やや不明確)
活断層のうち、活動の痕跡が侵食や人工的な要因等によって改変されているために、その位置が明確には特定できないもの。

活断層(活とう曲)
活断層のうち、変位が軟らかい地層内で拡散し、地表に段差ではなくたわみとして現れたもの。たわみの範囲及び傾斜方向を示す。

活断層(伏在部)
活断層のうち、最新の活動時以後の地層で覆われ、変位を示す地形が直接現れていない部分。

などなど・・・、少なくとも、活断層に近い地帯の建造物は、文化財でなくても、耐震強度の補強や、防災対策を考えておく必要がありますね。

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