地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

アフリカ開発会議で見えた課題

2008-06-02 09:51:12 | Weblog
アフリカ開発会議で見えた課題

アフリカ内の紛争や内戦が一分を除いて沈静化したのと同時に、資源高が重なり、石油をはじめ資源権益を狙う各国が援助攻勢にしのぎを削っています。

アフリカ開発会議(TICAD)に出席された各国の首脳や閣僚に聞いた課題が日経に掲載されましたので、彼らが日本に何を最も期待しているかをまとめてみました。

①、ウガンダ(大統領)
面積:24.1万K㎡(ほぼ日本の本州大)
人口:2,990万人(2006年)(世銀)
首都:カンパラ(標高1,312m)
言語:英語、スワヒリ語、ルガンダ語
宗教:キリスト教(6割)、伝統宗教(3割)、イスラム教(1割)

食料は余剰ができ、輸出先を探している。
コーヒーや肉類、食料品の輸出に関税をかけられているのと、原料を買い付けて自国で加工している。それを、国内で加工して、関税無しの貿易自由化を希望している。
(安い原料と、人件費で食料品を作り、関税無しで国際価格で販売できれば、経済的に豊かになれるということ)
日本企業には、農畜産物を利用する食品加工工業に投資して貰いたい。
具体的には、コーヒーや牛乳、牛肉、魚、ナッツ、皮革、綿など、鉱物資源ではコバルト。
外資誘致に当っては、工業用地を無償で提供し、法人税を一定期間免除するなどの優遇措置を用意しているという。
また、輸出促進のためには、道路網などのインフラ整備が必要。ウガンダは輸出用に隣国ケニアの港を使っている。
また、電力も不足しており、日本からのODAはこうした分野に集中して投資して欲しい。

②、エチオピア(首相)
面積:109.7万K㎡(日本の約3倍)
人口:7,720万人(2006年:世銀) 人口増加率2.6%(2006年:世銀)
首都:アディスアベバ
民族:アムハラ族、ティグライ族、オロモ族等約80の民族
言語:アムハラ語、英語
宗教:キリスト教、イスラム教他

日本には、特に、労働集約型の製造業や農業への投資を求めたい。
最近の食料価格高騰で、都市部では食糧高に苦しむが、人口の8割以上を占める農村部には恩恵をもたらしています。
むしろ問題なのは原油高、エチオピアは非産油国だけに深刻。
地球温暖化も脅威だ。アフリカは温暖化ガスの排出量が少ないのに、最大の被害を受けている。

③、モロッコ(首相)
面積:44.6万平方K㎡(日本の約1.2倍 西サハラ除く)
人口:3,051万人(2006年 モロッコ統計局報告書)
首都:ラバト
民族:アラブ人(65%) ベルベル人(30%)
言語:アラビア語(公用語)、フランス語
宗教:イスラム教スンニ派がほとんど

外資受け入れの促進策として、進出当初5年間は優遇税制する。また、進出企業に工場用地の低価格売却・貸与などの措置を講じています。
日本や欧州には、農業・食品加工、観光、自動車関連への投資を歓迎しています。
日本からは、矢崎工業など25社が進出済み。昨年はルノーと日産が提携し、アフリカ市場向け商用車の生産に新工場を建設決定。
農業はモロッコの主要産業だが、近年気候の変動が激しく、降水量の減少で食料自給率に問題が出始めている。小麦のように降水量に左右されやすい農作物から、オリーブ、薬草など、比較的降水量が少なくても影響が出にくい作物に切り替えつつある。
同時に、ダムなどを建設し、農業用貯水池の建設計画を進めている。

④、スーダン(外務担当国務相)
面積:250万平方K㎡(日本の約7倍、アフリカ大陸最大の国)
人口:3,623万人(2005年)
首都:ハルツーム(人口約494万人)
人種・民族:アラブ系40%、アフリカ系31%、その他(ナイロン・ハム等)
言語:アラビア語(公用語)、英語
宗教:イスラム教(主に北部)、キリスト教(主に南部)、土着宗教

西部ダルフール地方の紛争は気候変動による水不足が原因。しかし現在は平和が戻ってきている。国際社会には地域安定に繋がる経済復興への協力を求めている。
そのため、ソルガム(イネ科)、ゴマ、綿花などの農業分野への投資を望んでいる。
原油は、日量50万バレルにとどまっているが増産は可能。

⑤、ケニア(計画・国家開発相)
面積:58.3万平方K㎡(日本の約1.5倍)
人口:3,510万人(2006年:世銀)
首都:ナイロビ(220万人)
民族:キクユ人、ルヒヤ人、カレンジン人、ルオ人等
言語:スワヒリ語、英語
宗教:伝統宗教、キリスト教、イスラム教

ドバイに比肩する自由貿易港をインド洋に面するモンバサに建設予定。そこを拠点に、ナイロビ、隣国ウガンダに繋がる鉄道路線の整備を計画、これらのインフラ整備に日本の投資を望んでいる。

資源争奪戦に巻き込まれないよう、現地生産を主体に相互にメリットのある長期的な投資を望みたいものですが・・・


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