初判断聖域に風穴 県公文書審査会が捜査費開示答申。高知新聞と高知県警。
2009.12.14 Monday
もうすぐ大河ドラマ「龍馬伝」が始まります。その竜馬の高知で、かつて高知県警と高知新聞は闘っていた。その、高知新聞の記事を紹介します。高知県警の裏金作りが無くなったかどうか分らないですが、高知新聞は、追求をやめてしまったようです。
高知新聞
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初判断聖域に風穴 県公文書審査会が捜査費開示答申
県警の捜査費をめぐる公文書開示で新たな判断が示された。市民オンブズマン高知のメンバーの異議申し立てを受けて、県公文書開示審査会が17日までに橋本大二郎知事に対し、県が保管する県警の14年度の県費捜査費の月別執行額などの開示を求めた答申は、捜査費関係の公文書開示をめぐる近年の司法判断などを踏まえたものといえる。捜査費の金額自体を開示しても「捜査に支障はない」との判断は県内では初めてで、これまで聖域だった捜査費文書の壁に一定の風穴をあけた。
捜査費の情報公開をめぐっては、仙台市民オンブズマンが起こした捜査費文書開示訴訟で、仙台地裁が15年1月、月別収支の開示を命令。昨年10月の仙台高裁判決もこの判断を支持した(上告中)。
しかし本県では、市民オンブズマン高知が県警本部捜査一課など3部署の捜査費文書の開示を求めた訴訟で、高知地裁は昨年5月、「月別収支を開示すれば執行額の変動により犯罪者らに捜査活動が推察される」との県警側の主張を採用した。
その上で、オンブズマン側が疑惑を指摘した捜査一課については「不正経理の疑いは相当強い」と指摘し、開示の公益性を認定。同課の月別収支に加え、全国で初めて個別執行額や捜査員の階級の開示などを命じた。
ただ、高知地裁は不正疑惑の有無を開示判断の中心に据えており、捜査一課以外の2部署については「(捜査一課と)同水準の疑惑があるとはいえない」と開示を認めなかった。開示要件を限定的にとらえており、情報公開の観点からは仙台訴訟よりも低い水準にとどまった(控訴中)。
その意味で、高知地裁の判断より踏み込んだ審査会答申の意義は大きい。県情報公開条例は「答申を尊重すべき」(15条)としているが法的拘束力はなく、橋本知事が開示するかどうかを最終判断する。
今回の問題でオンブズマン側は、県警を管理する県公安委員会にも不服を申し立てており同審査会が審議中。しかし、今回と同様の答申がされても、公安委員会がそれに従うかどうかは全国でも判断が分かれている。
宮城県公文書開示審査会は16年9月、捜査費執行額の「開示」を答申したが、公安委員会が拒否。逆に、秋田県公安委員会は今年2月、答申通り開示した。
捜査費をめぐる不正疑惑追及の動きは全国で広がっている。橋本知事と県議会が昨年7月に請求した県費捜査費の特別監査の結果は、22日の県議会2月定例会の冒頭で報告される。
(政治部・竹内誠、社会部・大山哲也 村上和陽)
【写真説明】本紙の請求に対し県警が開示した捜査費関連の公文書。大半が黒塗りで執行額は分からない
(2006年2月18日・朝刊)