雨戸を開ける。ホーホケキョと聞こえる。玄関から外へ出る。上の段の竹やぶを見上げる。そうだ。、たけのこが出ている筈だ。暖かい年ならもう終わる頃だけれど、暖冬なのにうすら寒い春の陽気にうちの筍は未だ目を覚まさないでいた。もう起き出して騒いでいるに違いない。子供が小さい頃から一番喜んでいたたけのこ堀り。もう40近くなって今はその子が小学生になった。私が3歳の頃、父は私と上の姉2人を連れてイチゴ狩りに連れて行ってくれた。その時のイチゴの味は覚えていないが、小さなリュックサックを背負って出かけたあの日の事だけは忘れない。だから私は子供達には出来るだけ小さいうちに印象に残るような旅をさせた。聞いた事はないが、多分強烈に残っていると思っている。