古里の暮らしの中で

私の住んでいる地域の文化を紹介する

中逮夜(なかだんや)

2010-08-14 12:59:02 | 地域の行事
昨夜は町内で亡くなられた方の、なかだんやの念仏があった。
「なかたいや」と言うのが本当かもしれないが、訛っているのかこう言っている。
亡くなられた日を入れて数えて4日目に町内のものが集まり、お宅にお邪魔し念仏を唱える。
原則として各家1000円のご仏前をお供えして拝んだ後、念仏が始まる。
同じ市内でも地域によって発声や節回しがかなり違うが、どうも旧村は同じ調子らしい。
姑はこの「念仏をあげる」ことを、「ねぶつをおもす」と言っていた。

私達の町内では、
先立ち(せんだち)の方が、「なむあみだんぶつ、なむあみだんぶつ、なむあみだー」
と鉦をならしながら唱えると、その後を全員で唱和する。
これを1回として、13回を3回繰り返す。
先立ちの隣にはもう1人座り、マッチ棒や数珠などで数を数えていて先立ちに知らせる。
私の町内では昔からこの二人の役は男性がするということになっているようだ。

今回は、同じ班の家だったので夫が先立ちをすることになった。
以前、中だんやは私ばかり出かけていたが、最近は夫が拝みに行くようになり、回数を重ねるうち、
だいぶ節回しもさまになってきた。
私が「予習してみて」と言ったら、夫も心配だったのか食卓の皿をわりばしでたたいて練習を始めた。
節回しは良かったが、鉦をたたくところに私が注文を出した。《ほんとにうるさい奥さんだ》
最近は、「なむあみだんぶつ」の 「な、あ、だ、ぶ 」で鉦をたたく人が多いが、昔は「あ、ぶ」で鉦をたたいた。
4回もたたくと仏さんを追い立てるみたいだが、2回だと仏さんがゆっくり、ゆっくり遠ざかっていかれる感じがする。

念仏が終わるとお茶やお菓子をよばれて、生菓子の3個~5個入りの包みをいただいて帰る。
「どうだった」との問に夫は、「少しテンポが速かったかな」と言っていた。
鉦は初めはうまく行っていたそうだが、2回目の時に出だしを間違えたら
そのまま直すことが出来ずに終わってしまったとのこと。
まだまだ修行はこれからだ。

葬家にとっては、この中だんやが終わるとほっと一段落になる。
病院の付き添い、通夜、密葬、葬式、7日法事、札打ち、中だんやと、悲しんでいる暇がないほど
つぎつぎ、することがある。
またお寺によって違うが、逮夜ごとに寺参りをする場合もあれば、お寺から拝みに来られる寺もある。

49日の法要、お彼岸、初盆、みかわり(1周忌の法要)、3年の法要(まる2年の法事)と毎年、行事が続く。
人ひとりが亡くなるということは、悲しみだけでは終わらない。
ただ、こんな行事があるたび、人はその悲しみを少しづつ癒していくのかもしれない。




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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
地域の風習 (岩田 篤志)
2017-03-19 16:31:20
中逮夜・札打ちの行事に同地区の内容が載せられ過去に実施した内容に確信を持ちました、札打ちに関しては全てを回り場所も認識しています。

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